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鏡のなかの言葉(定期購読)

映画監督松井久子が編集長となり、生き方、暮し、アート、映画、表現等について4人のプロが書くコラムと、映画づくり、ライティング、YOGA等のワークショップ、そして編集長がお勧めする… もっと読む
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#いま私にできること

松井久子のNoteマガジン「鏡のなかの言葉」

ごあいさつ桜が散り、紫陽花が咲くのを待つ間、樹々の葉はウイルスの脅威などなんのその季節のめぐり通りに耀いています。 そんな5月21日。特別な誕生日を迎えました。 あの人と逢いたい、でも逢えない…。 Stay Homeで、そんな淋しさのなかにいたとき、かつて映画をつくるたびに全国の皆さんと繋がっていた、あの懐かしい頃を思い出していました。 『折り梅』のときは約480人、『レオニー』のときは約4700人の人びとが  私の映画に関心を寄せてくださって、寄付を頂いたり前売りチケ

民間療法で育ったわたしと花粉症。タラ・ウェストオーバーを読了して【つくり手であること】

衝撃的な半生が大きな話題となった、Tara Westover (タラ・ウェストオーバー) の本、読みましたか? 2018年に出版されたオリジナルが"Educated: A Memoir"、昨年末に発売された日本語版は『エデュケーション』です。 世界中の人が「タラ ウェストオーバー?誰それ?」となったほど無名の状態だった彼女ですが、想像を絶する人生を経ており、出版後すぐにNew York Timesベストセラーに。さらにミシェル オバマをはじめとする文化人が話題にしたことでロ

つくり手であること 08*新聞ごみ袋

おばあちゃんがよく作っていた、とか、古い定食屋さんで枝豆のカラ入れに出てきた、とか、詳細こそ違えど、きっと多くの日本人が人生のうちに何度かは見かけたことがある、広告チラシでつくるゴミ袋。 わたし自身はこれが山ほどある家で育ちました。小さい頃お友達の家に行って、これがないご家庭もあると初めて知った衝撃の瞬間も記憶にあるほど、ウチでは当たり前のものでした。 ただ親の家を出て以降、自分でこれを作ることはありません。でもこれの便利さは知っています。特に近年、プラスチック製品を生活

つくり手であること 07*お米

母がお米農家さんと再婚して20年になりました。 おかげさまで私もこの20余年は、母と義父のお米を食べて、健康でいます。 義父の家は新潟県・佐渡市。そのためこの20年は、母に会い に佐渡まで行くようになりました。 親戚も友達もいないまま通い続け、故郷でもないのに常に市政や天候も気にしたりして、私にとってはすっかり親近感のある存在となった佐渡。さらにこの10年ほどは夫も一緒に佐渡でのんびり過ごすことが定番の夏の予定となりました。 佐渡の家は隣家も遠いし自宅の敷地も広いため

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つくり手であること 06*さらし使い

少し前にこちらの記事を書きました。 内容は、キッチンで使い捨てのプラスチックを減らす一例として、炊いたご飯を冷凍する時はラップではなく「晒し」が使えるよ、という視点をまとめたもの。家庭から出るプラスチックゴミを無くすほんの小さな手法ではありますが、視野は大きく、いつか世界の海洋汚染が解決することへの願いを込めて書いています。 現代の暮らしでプラスチックを減らすということは、便利なアイテムを手放すこととほぼ同意です。私自身は目的優先型の性格でもあり、こういう話を聞くと、知っ

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つくり手であること 05*納豆

好ききらいが分かれやすい食材、納豆。 結論からいうと、私は実母にまで「納豆で大きくなった」といわれる納豆人間で、今日は手づくり納豆について書きます。 もしも、目にすることもできないほど納豆が無理!という方は、今回のコラムをスキップしていただく方がいいかもしれません...苦手と感じるものを無理に摂るほど体にわるいことはないと思うのです。 ただもしもあなたが、今は苦手なんだけどでも納豆の魅力は理解したい..!と心の奥底に秘めているようでしたら、ぜひとも今日もお付き合いください。

つくり手であること 04*塩の存在

2020年の梅雨は、もやは雨期と言えるほどの長雨。実母をはじめ、日本中の誠意ある農家さんたちもなかなか大変そうです。どちらかといえば能天気な我が家でさえ、ひと月に4回もコインランドリーで洗濯物を乾かすことになろうとは、なんだかちょっと、世界が尋常じゃないことになってる空気を否めずにいます。 この状況下でさらに、座ってする作業時間が多くなり(これを書いている今も椅子に座っているわけですが)わざわざ意識的に体を動かさないことには、体内にも湿気が溜まってることを実感する始末。結果

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自分史という視点の楽しみ方04

今年は本当に梅雨が長いですね。 もはや「梅雨」というよりも「雨季」というほうがピッタリ。 私が子どもの頃、日本は「温帯気候」と習った記憶がありますが、もはやここ近年では「亜熱帯気候」の国になってしまった感があります。 これからどうなってしまうんでしょうか。 さて、自分史という視点の楽しみ方も4回目となりました。 みなさん、日々の生活を「自分史視点」を意識して生活されていますか? 少しずつでも構いませんので、自分というひとりの人間が生きるドラマを、客観視し、冷静に見る視線をも

つくり手であること 03*腸と意識

小学校の低学年だった頃、母が突然、山伏の修行に出ていきました。 専業主婦だった母が、私だけでなく、高校生の兄、公務員の父、姑にあたる私の祖母、そのほか彼女の暮らしの全てを置いて、山形県の羽黒山に籠り、しばらくしたら修行を終えて帰ってきた、ということがあったのです。 そのことをつい先日、実に30年近く経って思い返していました。 なんだったんだろう、あれは。 振り返ればあれは、父が亡くなる6〜7年前のことで、でも、すでに父は担当事業が振るわなかったストレスで酒量が増え始め

自分史という視点の楽しみ方03

今年も梅雨前線が猛威を奮って熊本などに大きな被害が出ました。 被災された方々に、心よりお見舞い申し上げつつ、そうした方々が今回のことを自分史として残すことが、これからの生活を新たに考えるきっかけになり、多くの方々が未然に災害を防ぐ教えとして残ってほしいと願うばかりです。 さて、前回は「自分史とはなんぞや?」というテーマで書かせていただき、そのポイントは「自分の人生を客観的に捉える視点と、その軌跡の作品性」であるとお伝えしました。 そこで今日は「自分史ってどんなところがいいん

つくり手であること 02*野草の楽しみ方

小さい頃、母がせっせとドライハーブをつくっているのを見て「なぜ枯らすんだろう」と思っていました。もっというと、子どもながらに「まめによくやるなぁ」と感心してもいました。 ラベンダーなど香りのいいドライハーブをミックスして、お手製の小袋に納めたポプリをわたしの枕元にも置いてくれていましたが、今思えば、当時まだ30代で、夫(わたしの実父)が体を壊したり、姑の世話もあったり、子どもも二人いて、さらに慣れないパートに出始めたりと、必死だった母自身が癒されるために作っていたのだろうと思

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自分史という視点の楽しみ方02

みなさんこんにちは。今年は梅雨らしく雨の日が続きますね。 ここ近年は空梅雨でいきなり猛暑だったので、ちょっとありがたい気分もありますし、年齢からか、梅雨を楽しめる感覚というのも分かるような気がします。 さて、先日の自分史という視点の楽しみ方01では、自分史ということばが生まれた経緯や、社会での認知についてお話しました。 そこで2回めの今日は、そのもの「自分史とはなんぞや?」ということについてお話したいと思います。 自分史の肝は「視点と作品性」いきなりのっけから、分かるよう

「自分史という視点」の楽しみ方 柳澤史樹

みなさんはじめまして。 自分史活用アドバイザーの柳澤史樹(やなぎさわふみき)と申します。 今回、松井監督からのお声がけをいただき、私のライフワークである「自分史」をテーマにコーナーを持たせていただくことになりました。 どうぞよろしくお願い致します。 自分史という言葉は、歴史学者の色川大吉先生が1975年に出版された「ある昭和史 -自分史の試み」という著書に初登場し、以後シニアの方々を中心に大きな広がりをみせて現在に至ります。 そのため自分史は「人生の終末期に人生を振り