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冷房と春の訪れ #13

前回

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2024/08/26-2024/09/01 (渡航89~95日目)
大学8週目

8月26日(月)

夏。急に夏。今日の最高気温は29度だったし、この先10日間の予報を見てみても大体30とか31とか。なんなら34度の日もある。しかも全部晴れマーク。9月が1年を通じて1番雨が少ないらしいんだけど、気温もそれに比例する感じ?? この地域に春ってないの??

暖かくなってきたねと話す先生に対して、前々回だったか登場したオージーアクセント強めな彼が"It'll be summer before you know it" と言っていて、その言い方がすごく抑揚強めだったせいか洋画の台詞を聞いたような気持ちになった。

来週の月曜の授業がもしかするとオンラインになるかもと言われた。まだ確定ではないけど、土曜日には最終決定のメールが来るらしい。

帰り道、ショッピングモールを突っ切ったら冷房が効いていた。ついこの間まで生ぬるい暖房で、この気温で暖房は要らないだろ、と密かに思っていたのに。

明日の授業が教授の体調不良でキャンセルになった。来週は今週の内容をカバーするためにいつもより30分早く授業を始める、とメールに書かれている。いつも8時半には教室に着くようにしている私からすれば9時半開始の授業が9時に始まったところでなにも不都合はないけど、いつも3時間みっちり授業するのにそれを経ったの30分に凝縮できるのかということが疑問ではある。あと3時間半も集中力が持つ気がしない。

今日は半袖Tシャツの上にパーカーを羽織っていた。帰ってからパーカーを脱いで何気なく鏡に目をやったら、自分の腕が記憶よりも白くてびっくりした。そういえば、去年の10月ごろから今までずっと長袖しか着ていなかったんだった。元が地黒な上に幼少期は日焼け止めを一切塗らずに常夏の国で何年も過ごしたせいで、私比で白くなったといっても日本人の平均的な肌の色の範囲におさまってはいる。とは言えなんだか見慣れない。

8月27日(火)

火曜日唯一の授業がなくなり、もともと全休である水木と合体したことで予期していなかった三連休が到来。かといって何か生産的な過ごし方ができるわけではない。

久しぶりにアジアンスーパーへ行って、キムチと納豆を買って帰ってきた。両方オーストラリアで買うのは初めて。キムチはローカルのスーパーにも置いてあるけど、500gで12ドルとか10ドルとかするものばかりで買う勇気が出ない。今日買ったのは150gで3.79ドル、日本と比べると高すぎることに変わりはないけど、500gの方を買って口に合わない悲劇が起こるよりかはマシだろうと思ったので。

8月28日(水)

昨日買ったキムチが全く辛くなくて全力で萎えている。自分が求めていたのは味ではなく辛さだったのだということを知った。 加えて私は酸味が好きではない。

久しぶりに納豆を食べたことで味覚が日本モードになったらしく、買ってから3ヶ月近く未開封のまま冷蔵庫の奥に仕舞い込んでいた味噌を開ける踏ん切りがついた。自慢じゃないが私は日本で一人暮らしをしていた頃、みそ汁を鍋で作ったことがない。毎回スプーンで適当に味噌をお椀に入れては熱湯をかけてせっせと溶かしていた。具材は乾燥わかめか溶き卵かレンチンした豆腐の3択。自分1人のためにわざわざ鍋を出してみそ汁を作ることができるような丁寧な暮らしはきっと死ぬまでできない。そんなことは丁寧の枠組みに掠りもしないとか言わないで。

日本にいようがオーストラリアにいようが私のすることは変わらない。やっぱりお椀でちまちまみそ汁を作る。ふと思い立ってベビーほうれん草をレンチンして具材にした。実家ではほうれん草がみそ汁に入っていたことは一度もなくて、小学生の頃家庭科の教科書を読んで初めてほうれん草が具材になり得ることを知ったことを思い出す。じゃがいもも同じ。

ここでは日本で売られているような大きなほうれん草が売られているのは見かけない。ベビーほうれん草が主流のようだ。おそらく生のままサラダに入れるのがスタンダードなのだけど、ズボラみそ汁の具材としてはアリだなと思った。

8月29日(木)

専門Aのオンラインテストの締め切りが迫っている。これまた全体の成績の30%を占めるやつ。1時間半の制限時間内にマックス1500 words くらい書かなければならない。書かされるトピックの大枠は予めいくつか教えてもらっていて、その中のどれが出題されるかはわからない、という形なので事前にある程度文章を準備しておこうと下書きを進めているのだが、まだ書き終えていないにもかかわらず既に3200はある。費やした労力の半分以上は無駄になるのがわかっているのが若干悔しい。興味のある内容だからまあ良いんだけど。全部いつかの私の糧になれよ〜〜。

8月30日(金)

渡豪して間もない頃に、モスバーガーが日本の会社であることを初めて知った、こっちでも店舗展開してた、みたいなことを書いたと思うんだけど、明日でオーストラリアから全店舗撤退するらしい。

バスを降りるとき、そこで降りたのが私1人だったんだけど、運転手のおっちゃんに「降りるなら降車ボタン押さなあかんで」と言われた。呆れ笑いっぽい表情を浮かべていたのであまり良い気はしなかった(ので不快感を緩和すべく脳内関西弁補正でお送りしています)。いや、私、確かに押したんですよね降車ボタン。私が座った位置から若干離れたところにあったから押すために腰を浮かせる必要があって、だからこそはっきり覚えている。次停まりますよ〜の表示が光ってることも確認した。……どない??

授業開始ギリギリになって教室に滑り込んできた三郎に、最近暑いね、と当たり障りのない挨拶をしたら、例年より10度くらい高いらしいよ、と返された。

今日の基礎Aの授業の後半は3週間後のチームプレゼンに向けたチームメンバー決めと、そのチームでの初回ミーティングだった。いろいろあって私・三郎・留学生男子もう1人、の3人グループになった。三郎じゃない方の男子学生の名前はジョンにする。ベトナムの人だけど、名前なんて発音するの?と聞いたらイングリッシュネームを教えてくれたので。君はどこの人?と聞かれて日本だと答えると、そうかなと思ったんだけど名前がそれっぽくなかったから、と言われた。やっぱり名前だけ見ると日本人とは思えないよなあ私の名前、と何度目かの噛み締め。それが良いとか悪いとかはないんだけど。

正直に書かせてもらうと、これまで一緒に授業を受けてきた感覚から英語については私の方が三郎よりもかなり上であるという認識があるんだけど、ちょっと話をしてみた感じ、ジョンもそれほど英語が得意だというわけではなさそうだと感じた。下手するとこのチーム内では私が会話の主導権を握ることになってしまう。少々雲行きが怪しい。

8月31日(土)

もう夜なのに、土曜日に送ると言われた月曜の授業が対面かオンラインかの連絡メールが来ない。明日になっても来なければ、月曜日はあるかどうかもわからない授業のために学校に行くのか……。

専門Aのオンラインテストを受けた。3問とも私が予め用意していた答えがぴったりはまる質問で、心の中でガッツポーズ。精度はさておき制限時間と睨めっこしながら爆速ライティングをするスリルは味わわずに済んだ。

9月1日(日)

夜です。まだメールは来ない。この時間まで来なかったならもう今日中に来ることはないでしょう。

9月だね。もう1年のラスト3分の1に入ったとかちょっと信じられない。

月ごとにはっきり季節を分けるとするなら、私は日本では9月から11月が秋、という認識なので、こっちでは今日から春ってことでいいかなあなどと思ったりしている。気温的には日中は春を通り越して夏だけど、気持ち的には全然春じゃない。気持ち的に春っていうのがどういうことかというと、なんとなく浮き足立ってる、うきうきしている感じというか。書いてて思ったけどそれって私の人生にほとんど登場しないモードだな。そう考えると、人間1人ひとりにもどれかの季節っぽさ、というのがあることがちょっと納得できるかも。私は確実に春の人間では、ない。

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