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UXについてマーケティングチームと話してみた

こんにちは!hisahisa135です。
私は現在AI×教育のスタートアップ atama plusのUX/UIデザイナーをしております。社内でのあだ名は「しらこ」で通っております。

note書きたいな〜と思いつつテーマを絞りきれなかったのですが「UXデザイナー以外とUXの話がしたいぞい!」と思い立ち、今回はatama plus のマーケターとUXについてあれこれ話してみたオンラインインタビュー記事をお送りしたいと思います。

なかなか赤裸々で興味深いインタビューになっていると思います。
どうぞ最後までお付き合いください〜。

👫 登場人物

椿 遼(つばき りょう / Ryo)
atama plusのマーケター。日本コカ・コーラやレッドブル・ジャパンでマーケティングをやっていた現役バンドマン。芸名みたいですが本名。社内でのあだ名はRyo。
前例もない。正解もない。 だからこそ、楽しみ、チャレンジし続ける。

白崎 寿子(しらさき ひさこ / しらこ)
atama plusのUX/UIデザイナー。弾ける楽器はトロンボーン。

あらたまって真面目な話をしようとすると若干の照れが入る2人


🎤 インタビュー本編

💬 UXデザインってどういうイメージだった?

ーどうもどうも!本日はよろしくお願いします〜!

椿 遼(以下 Ryo) どうも〜。

ー早速ですが、RyoさんはUXデザインってどんなイメージあった?

Ryo う〜ん、いわゆるデザインって外観だったり見栄えの良さみたいなことを指すことが多いように感じるけど、そういうのではないよね。
去年「ユーザーフレンドリー」全史っていう本を読んだんだけど、逆に「いかに意識させないか」が大事なんだなと思った。iPhoneが説明書なしで使えることとか。

ーあ、これね!(本棚から取り出す)

モザイクがかかってしまいましたが、決して怪しい本ではございません

Ryo そうそうそれ。透明であることが重要なんだなって思ったかな。だから広告のクリエイティブのデザインとは全然意味が違うよね。

ーとても分かる。過去にアートディレクター養成講座(※1)に通ってたんだけど、某広告代理店のアートディレクターが「広告の仕事の8割は、気づいてもらうこと」って言ってて。

Ryo いやほんまにそう。

ー受講生の中でも、本業が広告デザインの人ってちょっとひねりをきかせたアプローチがすごく上手だったんだよね。ただ目立つとかただ綺麗なだけじゃなくて、思わず視線を向けてしまうような心に引っかかりをつくる表現がめちゃくちゃ上手だなって。

Ryo うんうん。

ー私は当時からWebアプリケーションのUIデザインの仕事をしていたので、いかにユーザーのこれまでの学習を生かしてスムーズに使ってもらえるかを常日頃考えてるんだけど、広告デザインの課題にトライしてみると「気付いてもらうデザイン」と「透明なデザイン」では脳の使いどころが全然違うな〜!って感じたよ。目的が違うから当たり前なんだけども。

Ryo うんうん。まさにその通りだと思います。

UXの概念についてで言うと、atama plusに入る前まではそんなに意識したことはなかったかな〜。UXデザイナーという職種が存在するのは知ってたけど一緒に仕事をしたこともなかったし、atama plusで初めて一緒に仕事してる感じですね。

ーふむふむ。UXっていう言葉じゃなかっただけで何らか体験のデザインには関わってたんじゃないかな〜と思うんだけど、そこはどう思う?

Ryo う〜ん、飲料で言うとペットボトルの開けやすさ、持ちやすさ、ラベルの剥がしやすさみたいなところがUXに当たるのかもしれないな?

マーケの仕事は購買してもらうまでだったから、そっちの領域には全然関わってなかったし、心理的距離感もあったからこんな感じでUXの人とラフに話すなんてあり得なかったな(笑)

ーそうだったんだ。ちなみにUX白書ってご存知?

Ryo 存じ上げない。何ですか?

ーUXの基本概念がまとまっている資料なんだけど、それによるとUXって期間によって分類されるんだよね。

出典:UX白書(日本語版)

マーケティングって消費者との一番最初のタッチポイントなので、ここで言うまさに予期的UXの部分を担ってるんだよね。だからRyoさんがUXデザイナーを名乗ったっておかしくないとも言えるんだけど、それ聞いてどう思う?

Ryo UXってデカいよね (笑)

ーそれな (笑)

Ryo ユーザーのあらゆる体験だもんなぁ...。でもマーケターもUXデザイナーも、基本的には自分じゃない誰かのことを考えて、その人に行動変容してもらうにはどうしたらいいんだろうみたいなことを考えるって意味では近いのかも。

それって当たり前のように見えて、意外と普通じゃないんだろうなって僕は思う。やっぱ他者を想像することが好きじゃないと難しいんじゃないかな。思いやりがないと難しいと思う。特にブランドマーケターとUXデザイナーはかなり思考が近いと思う。


💬 もしatama plusのUX/UIデザイナーになったら何する?

ーじゃあもしRyoさんがatama plus株式会社のUX/UIデザイナーだったら何からやります?

Ryo いきなり面接みたいなこと聞いてくるやん(笑)

ー確かに(笑) Ryoさんから見てatama plusのUX/UIデザイナーってどういう風に見えてるのかな〜を知りたくての質問でした!

Ryo 何するだろうなぁ。僕の場合、中学生で言うとサービスの購買意思決定者である保護者が抱えてる悩みについては解像度が高いんですけど、実際にatama plusを使って学習している生徒の悩みについては解像度が低いんですよ。

真剣に学習している生徒にとってどういう使い心地が良いのかとか、プロダクトの伸び代が分からないので、まずはプロダクトを使う生徒の解像度を上げんといかんでしょうね。スタート地点にも立ててない (笑)

ー確かに同じプロダクトに関わっているけど、普段見ている景色はお互い全然違うもんねぇ。

Ryo そうですねぇ。あとUXデザイナーって大変だろうなぁって思うのは、自分たちは絶対に生徒にはなれないわけじゃないですか。どれだけ生徒の気持ちを想像してみても絶対に100%本人にはなれないし、年齢で言うと20歳とか離れている今の自分とはかけ離れた存在。

あと「どこが不満?」って聞いても、行動って無意識的なもの多いからユーザーの言葉からは出てこないことって多いじゃないですか。そんな中で「相手の立場になって考える」って言うは易し行うは難しで、マーケでやってる消費者理解より難しいことやってるんじゃないかなって思う。

ーどうしてそう思うの?

Ryo 商材によっても違うけど、教育サービスを選択するときって無意識に支配される要素は比較的少ないと思うんよね。インタビューをしっかり設計しておけば、教育に関する悩みだったり購買に至るまでの要素って割としっかり聞けるんですよ。
飲料だと衝動買いが多い商材なので無意識で行動してることもあるんで、脳波調査とか疑似棚でのアイトラッキングをすることもあるんですけど、atama plusについてはそこまでする必要はあんまりないというか。

一方で、プロダクト体験って無意識の比重が高いと思うんですよね。最初の「UXデザインは意識させないこと」みたいな話にもあったように。
……う〜ん、でも分からん!やったことないからそう思うだけかもしれん!でも「消費者理解」って大変だよな、とは思います。

Ryoさんはじっくり考え言葉を紡いでくれるナイスガイです


💬 UXのペルソナとマーケティングのペルソナ

ー本当だよねぇ。でもそれが楽しくもあるからお互い続けられてるんだろうね。UXとマーケターは近いかもという話でいうと、過去のペルソナオンボーディングのイベント(※2)で「UXのペルソナとマーケティングのペルソナってどう違うのか?」という質問を頂きました。これについてぜひRyoさんにもご意見お伺いしたいです。

Ryo ほいほい。

ーマーケのペルソナってサービス利用前のユーザーなので、購買の意思決定に寄与する情報が重要なんだろうなと思っている。
atama plusの新入社員向けのペルソナオンボーディングでは「デモグラフィック情報より価値観やモチベーション、ゴールイメージが大事」と伝えているのだけど、仮に年収や居住地域が購買を左右するのであればそういうデモグラフィック情報も重要になってくるんだろなと思う。そこらへんどうお考えです??

Ryo 今の話だと利用前/利用後っていうのは確かに大きな差異ですよね。あと僕はマーケとしての打ち手が変わるんならペルソナは複数あってもいいと思っている。つまり、消費行動に差異が生まれるんだったらね。

ーなんで行動が違うかっていうと価値観が違うからだよね?てことはやっぱりデモグラ情報より価値観の方が重要...?

Ryo にわとりたまごみたいなとこありますけどね。住んでる場所が東京だからこういう価値観になった、もあると思うし。

ーあぁ確かに...!デモグラか価値観かっていうより、純粋に行動差異の要因で切り分けていく感じなのね。

Ryo そうだね。例えば缶コーヒーを例にとって。同じデスクワーク30代男性をターゲットにしていても、車通勤で日々行動してるか、都心に住んでて電車しか使わないのでは広告で使う媒体も違ったりするので、そのケースではペルソナ分けたりする。

前者にはラジオ広告だよね、後者には電車広告だよねーみたいな会話がそこから生まれる感じ。

ーなるほどね〜。なぜ行動差異に着目するかというと、購買につながる "打ち手が変わる" からなんだね。それは確かにプロダクトもそうかも。

Ryo うん。だから例えば、今のプロダクトチームで定義している保護者のペルソナで十分なマーケティングを行えるかというと難しいかな。(※3)

ーそれは本質情報!どうして不十分なの?

Ryo 今のプロダクトチームの保護者ペルソナは、保護者向けプロダクトを検討している時に作ったペルソナだよね?東京在住のお母さんってなってるけど、教育に対する感覚1つをとってみても住んでるエリアで全然違う。

都心部のように最新情報が入りやすいエリアってatama+みたいな最新学習サービスへの受容度が他のエリアよりも高い。だからその感覚で他エリアの保護者にマーケティングやると上手くいかなかったりする。

それ以外にも保護者自身が過去に勉強にどれだけ時間を割いてきたかとか、地域に有名な大手塾があるかどうかでも保護者の行動って変わる。変数がめちゃくちゃ多いのでatama+のマーケティングは、めちゃ難易度高い(笑)

ー変数ね。りんだまん(※4)も似たようなこと言ってたね(笑)

Ryo ペルソナって形を作るのは簡単だけど、使いこなすのめちゃ難しいしね。

ー難しいよね。じゃあ、なんでRyoさんはペルソナを作るんですか?

Ryo それはやっぱり、複数の関係者間で共通言語が持てるからかな。

ーすごく共感。共通言語によって目線がそろうからみんなで同じ人を中心に考えられるようになるもんね。

過去にRyoさんが行ったマーケティングワークショップの資料


💬 atama plusのUX/UIデザイナーへメッセージ

ー最後にatama plusのUX/UIデザイナーにメッセージをお願いします!

Ryo UX/UIデザイナー含めたプロダクトチームの皆さんがユーザーに真摯に向き合っていることで、マーケティングチームは100%自信を持って保護者・生徒に対して”atama+使ってくださいよ”って広告できるのは本当に心強い。これからもよろしくお願いします!

ー嬉しい〜!こちらこそよろしくお願いします!!

インタビューが終わった解放感からベースをぶんぶん振り回すRyoさん
ご協力ありがとうございました!


(※1)株式会社宣伝会議が開講しているデザイナー向けのアートディレクション講座
(※2)atama plusの新入社員向けのペルソナに関するオンボーディングを実際に受けてもらうイベント。過去3回実施しご好評いただいています!https://atama-plus.connpass.com/event/231268/
(※3)プロダクトチームとは別に、マーケティングチームもマーケティングに利用するペルソナを定義し活用しています。
(※4)atama plusのプロダクトオーナー 林田智樹(はやしだ ともき)のあだ名。


😌まとめ

いかがでしたか?
マーケターとUXについてじっくり話す機会は私自身あまりなかったので、とても興味深く楽しかったです!

ユーザーエクスペリエンスそのものの概念やその設計に用いるペルソナ手法など、明確な定義が難しかったりなかなか教科書通りにはいかなかったり、理論と実践の間で試行錯誤の毎日ですが、物作りにあたって大事なことって本当に根っこは同じなんだなと感じました。

透明なデザインも気付いてもらうデザインも、人間の認知の仕組みや、届けたい相手の心理と行動をしっかり理解していないと実現できない。

同じように様々な手法も、目の前の仲間がいま何に困っているのか・誰に対して何を成し遂げようとしているのかをまず知ることによって、本当に組織にとって必要なありようになっていくのかもしれないな、なんて思いました。

atama plus もまだまだ成長途中です。職種を超えてミッション実現のために協力できる仲間を大募集しています!ご興味ある方、ぜひぜひお話ししましょう!

最後までお読みいただきありがとうございました!!

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