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モザイク菅野、丸の三振……コロナで「声援」がなくなった東京ドームへ行ってきた

(本記事は、「#スポーツ観戦記」のために、昨年夏に観戦したプロ野球公式試合観戦の記録を記事化したものです)

野球場で最もいい席はどこだと思う? と聞かれたら躊躇なく「外野応援席」だと答える。

チケットの値段が安いこともさることながら、1球1球に気兼ねなく大声を出せるし、外野応援席一体となって大声で応援歌やチャンステーマを歌う高揚感、そして何よりホームランが最後に着地するのは、外野応援席なのだ。打球が高く上がり、放物線を描いてこちらへ向かって飛んでくる、まだ着地しない、その一瞬一瞬の打球を見ている瞬間の幸福感ったらない(無論、カープの選手が打ったホームランに限る)。だから、球場に行くときは野球を見に行くのじゃなく、応援しに行っている。だから負ければ行かなければ良かったと思うし、勝ったらそれはどんな勝ち方であってもうれしい。まあ勝ったら嬉しいのはテレビで中継を見ていても嬉しいけど負けたときの悔しさたるや、本当に悔しくて悔しくてたまらない。

そんななににも代えられない体験が、コロナで失われた。球場に行くことはできる。でも、行っても大声で応援することはできない。鋭い打球が飛んで席から立ち上がって見守ることもできない。このままでは、もう野球場に行くことはないんじゃないだろうか。そう思っていたのだが、消息筋から東京ドームのチケット、それもバックネット裏の席で、カープは関係ない巨人と中日の試合だったので、まあコロナ下での野球観戦も悪くないかと思い、東京ドームへ行ってきた。

消息筋とはいいながら明かしてしまうとチケットの出どころは巨人ファンで俺が若いときに巨人ファンに洗脳しようとして失敗した父親で、逆に巨人ファンへと洗脳された弟と、俺がカープファンになるよう洗脳して成功した俺の配偶者と4人で行ってきた。

●何より人が少ない!

水道橋駅で待ち合わせ、ツッコミ待ちでかぶっていったカープの帽子にしっかりとツッコミが入ったので脱帽。ドームについてまず感じた以前との変化は、手荷物検査がザルだということ。以前であれば、ビン・カン・ペットボトル・生卵・ロケット弾・核弾頭・政府機密書類・日米地位協定密約などを持ち込んでいないか、目を血走らせてギョロつかせた係員が糞のついた手で鞄の中をこねくり回してきたのだが、今は鞄の口を開けて見せるだけ。これではテロし放題である。こと他球団から強奪しまくってヘイトを蓄積している巨人なのだから気をつけないといけないところだと思うのだが。

入場すると、コンコースの人の少なさに驚いた。いつもなら、回転ドアをくぐって入るとそこそこの人がコンコースを回遊しているのだが、それがほとんどいない。それに、入場時に配られるパンフレットみたいなのも、内容量が減っている。消費増税の影響か。あと、応援用のハリセンも配られた。蛇腹状に折ってハリセンにする、A2サイズくらいの厚紙だ。

あとは目立った変化は特にないように感じた。まあ、アルコール販売を休止していたり売店が間引かれていたりという変化はあった。あと、座席にQRコードが貼っつけてあって、登録すると感染者が出たときにアラートがもらえるらしい。

●モザイク菅野

試合前、一番腹たったのが「モザイク菅野」だ。

モザイク菅野とはなにか。かたくなにモザイク状態で有り続けた菅野智之のことだ。どういうことなのか、真相はかうだ。

試合前とか、幕間のときにアナウンサーみたいなやつが軽く話をするタイミングがあるじゃない。で、そのときに飛沫防止用にアナウンサーと他の人との間にボードが置かれた。別にそれだけならよかったのだが、試合前に月間MVPを受賞した菅野が出てきたのだが、そのボードとちょうどかぶってしまい、せっかく菅野が出てきたというのにモザイク様の菅野しか見ることができなかったのだ。

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↑記念撮影までモザイクの中でこなしやがったんだよ、こいつ

●試合中に感じた変化

さて、モザイク菅野の悲劇を乗り越えプレイボールを迎えたが、まず感じた変化は、バックスクリーン横のでっけえ広告から「財宝」が消えたことだ。ずーっとあったような気がするが、なんで消えたんだろ。

あとは、中継を見ていても思うのだが、一球ごとの投手の発声、ボールがミットに収まる音、打球音などが鮮明に聞こえる。これが思っていたよりも楽しい。快音を残した打球は、やっぱり遠くまで飛んでいく。野球本来の音といえば、ベンチからの声出しも結構聞こえた。大声禁止のはずなのに結構怒鳴ってるやつがいて、「なんだなんだ」と思って出どころを探すと両軍ベンチ、ということが結構あった。

応援などは声援禁止で手拍子やハリセンに限られるのだが、それでも違和感はなかったし、巨人のチャンスでは結構「圧」も感じた。ただこれはドームの構造上生まれる「圧」かもしれず、屋外球場では応援の圧を出すのは難しそうだ。ハリセンや手拍子の音は結構響いた。あと巨人のチャンスではチャンステーマがおそらくバックスクリーンのあたりのスピーカーから流れるのだが、これは意外に違和感がなくて驚いた。

サインボールの投げ込みやイニング間のプレゼント射出といったサービスは当然なくなっていた。その代わり、ことあるごとに係員が堂々と客席にしゃしゃり出てきて、目を血走らせてメガホンを通して「マスクはしてください、していないひとにはこちらから注意して最悪退場させます」とドヤ顔で怒鳴り散らしていた。

肝心の試合展開は、中日の先発ロドリゲスの前に巨人打線が沈黙。得点チャンスは巨人も少なくなかったが、残塁多し。ロドリゲスはすごかった。変化球のコントロールが怪しかったが、何よりストレートが素晴らしい。巨人の先発田口はまあまあ踏ん張ったが、その後中継ぎが打ち込まれて最終的に7-4で中日の勝利。ビシエド、ウィーラーのホームランも見られたし、贔屓でなくても退屈しない試合運びで面白かった。あとやけにバットが折れた。しかし、中日はロドリゲス・ビシエド・マルチネスと外国人が結構機能してるのになんでビリなんだろう。

まあ、総じて違和感のない観戦だったかな。動員も間引いてるから人のこない席があり、荷物とかも置けるし、それはいい。ただ、いつも以上にコンコースを見て回るということもないし、あまりトイレにも行かなかったし、打球が飛んだり点が入ったりしても立ち上がらず座りどおしだったから、脚がとにかくつらかった。今後、新設される球場は今後の動員減も見据えて、ゆったりした設計にしてほしいなあ。そしてやっぱり、カープが関係ない試合だったから文句ないけど、声を出して、応援歌を歌って応援したいよなあという思いは拭い去れなかった。

最後に、金に目が眩み魂を売った、丸佳浩という男の無様な空振り姿をアップして締めます。


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