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私のくじらは薄紫

クジラとかイルカとか、海棲の哺乳類にはファンが多い。生き物として人気が高い故に、モチーフやキャラクターとしてはありきたりですらある。

私もクジラが好きだが、生き物自体に特に惹かれる訳ではなくクジラをデフォルメして図案化したものが好き。

チンアナゴとかダイオウグソクムシとかヒョウモンダコといった、斜めから切り込む感じの生き物がフィーチャーされるようになって久しいが、私が言葉と歩行もおぼつかない時分には、水族館のお土産コーナーといえばイルカとアザラシとペンギンばっかりだった記憶がある。女児達はその中からまっとうに可愛いのを選んで買っていた。クジラは普通の水族館では飼育していなかったせいかそんなにグッズが展開していたイメージはないが、それ以上に一般化されたモチーフだった。我が家にもクジラ関連グッズがあった。

私の実家には、来歴不明のくじら(生き物のクジラと分けて表記する。平仮名の方が可愛いので)のおもちゃがあった(記事トップ画像参照)。プラスチック製で薄紫色のくじら。頭の部分がスイッチになっていて、押すと喋る。喋るというか、2パターンの独特な音が出る。

「くじらー」

「ぷっしゅー」

発声のパターンは右のヒレで変えられるし、やかましい時はオフにできる。私はそれを2回ずつ押して「ぷっしゅー、ぷっしゅー」「くじらー、くじらー」と鳴らすのが好きだった。

今もこれがやけに気に入っていて、引っ越しのタイミングで出て来たので実家を出る時に一緒に持って来た。

今のHNはこいつにあやかって付けたものだ。久慈良は単にくじらに万葉かなを当てただけで、青森銘菓の久慈良餅とは関係ない。食べたこともない。そのうち食べておきたい。

終わりに、これはそれなりに成長してから知ったことだが、こいつがただ鳴くだけのおもちゃじゃなくて紙1枚に丸い穴がいっこだけ開けられる穴あけパンチだということを申し添える。あと電池を入れられてから20年は余裕で経ってるはずなのに、未だに押し込む角度に気を使うとちゃんと鳴くこともお知らせしておく。昔のおもちゃってこういう付喪神みたいな粘り強さを見せる物がたまにある。

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