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哲学的思考が未来を切り拓く

資本主義は成功のレシピだと言われてきた。確かに、経済の発展、社会の進歩、技術革命など、資本主義の手で多くの変化がもたらされた。人類は資本主義のもと、分業と交換、そしてそれに伴う専門家で圧倒的に豊かな生活を手に入れた。昔の王族よりも、今の一般市民の方が遥かに豊かな生活をしているという。

しかし、一方で資本主義には罠がある。それは過去の成功を未来の成功の基盤としてしまうこと。確かに株主との信頼関係を築き、短期の業績追求、ステークホルダーとの関係強化などで、安定した経営を行うことは重要だ。同時にそれは経営に対して未来に向けた変革を避けるプレッシャーとなってしまう。

ここで、哲学の持つ力に目を向けたい。哲学は、世界や存在、意義についての考察を深める学問だ。一見すると経済やビジネスとは無関係に思えるかもしれないが、実はこの哲学の中に未来を創るヒントが隠されている。哲学者は常に、世界を独自の視点で再定義し、新しい価値観や思考のフレームワークを提示する。過去の延長線上ではない未来を自ら定義する力が、哲学にはある

哲学的思考をビジネスにどう活かすか。それは自社のビジョンやミッション、パーパスを再考すること。既存の枠組みや常識に囚われず、自らの存在意義や価値を深く掘り下げる。ソクラテスは「神こそが唯一の知者であり、人間は無知、不知である自覚をもつべきである」と語った。この言葉の通り、自分たちの知らないことを自覚することが、真のイノベーションを生む土壌となり、未知の領域への挑戦を促す

資本主義は過去の延長線上の未来を予測することを前提としており、対照的に哲学は常に未知の領域、新しい価値観を追求するものだ。経営者こそが常に哲学的思考を持ち、常に自らの組織や事業の方向性を見つめ直すことが必要だ。それが、真の未来を創る近道となる。


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