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【新規事業の要諦 №003】 #パーパス #SNS #MaaS #ダイナミックケイパビリティ

プラットフォーム型事業の多角化成功事例「ラクスル」 #パーパス #両利きの経営

経営で最も重要なのは「正しい問いを立てること」

「3年に1つは事業を作っていこう」

ラクスルを作った時「仕組みを変えれば、 世界はもっと良くなる」というビジョンを掲げた。「印刷」という言葉を入れなかったのは、事業が印刷業だけに限られてしまうから。

事業家はいない、デジタル化が遅れているために、誰もアドレスしない……。非効率な分野をデジタル化した時のポテンシャルは大きい

シリーズbが終わったタイミングで、次のチャレンジとして印刷に業界構造が近い、上位は寡占的で、下位は多重下請け構造になっている業界はないか探した。物流業界が該当すると、物流のシェアリングビジネスを始めることにした

経営で一番重要なのは、どういう問いを立てて経営をしていくか

「顧客にとっての価値は何か?」。我々は顧客にコストメリットを提供するのか、業務を簡略化することを提供するのか、優れた情報を提供するのか、など戦略の全体像を描く手段になりうる、重要な問いかけ

経営とは、課題を特定し、方向性を示すこと。そのためにはどういう問いを持つかが重要で、正しい問いを持つことこそが、世の中に価値を生むために必要

既存事業においても、新規事業においても、重要なことは「パーパス」だ。何のために事業に取り組むのか。それは未来のあるべき姿としてのビジョンであり、使命としてのミッションであり、顧客への本質的な提供価値であり、KGIであり、経営戦略でもある。


googleに買収された「SCHAFT」の結末 #パーパス #支柱

アンディは「とにかく素晴らしい!」と訥々と褒め続ける。次第に顔も興奮を抑えきれないというふうに紅潮してきて、「この素晴らしいものを、どう世界に解き放つのかが重要だ!」と力説し始めた

「ヒト型ロボットの産業を立ち上げるには、1000億円投下したって全然足りないし、そもそもSCHAFTだけでそれをやるのは不可能だ。だから、会社を丸ごと売ってほしい」と

ほどなくしてアンディが社内の政治闘争で失脚し、会社を去ってしまった

ベンチャーが往々にしてそうであるように、支柱を失うと、スタビライザーがないから迷走する

SCHAFTやボストン・ダイナミクスなど8社くらいが集まったヒト型ロボットプロジェクトのドリームチームはばらばらになっていった

天才って、めちゃくちゃエッジが利いている分、言うことを聞かないし、会社のルールも守らないオオカミみたいな連中

支柱(哲学、ロマン、情熱、あるいはそれらを体現する人)がなくなると、スタートアップはホールドしておけない

人生をかけるとき、何かが立ち上がるときは、必ずそうした支柱がある

それを抜きにして大企業のある意味普通の人々が天才をインテグレートすることは、ほぼ不可能です。グーグルですら無理だった

成熟期の長い企業では、業務を細分化し、分業による歯車を回すことで成立している。だから、過去から現在の延長線上にある未来に対して、計画を立てて進めることは可能だ。しかし、そこにあるロマンは、創業者が作り出したロマンであって、今のチームメンバーのロマンではない。また同時に計画通りに進めるために手段を目的化することで、合理化・効率化・平準化を図るため、ロマンといった個性は足枷になってしまう。

新規事業にはスタートアップと同様にロマンが必要だ。そしてそのロマンを軸に人が集まることが重要になる。そのロマンがパーパスとなり、全ての決断基準となる。誰もみたことのない未来を切り拓くには、過去の判断基準は使えない。計画は立てられない。進んでみた先があっているのか間違っているのかを客観的に判断する指標はないのだ。だから、パーパスを軸に駆動目標を設定し、決断し続ける必要があり、それをチームメンバーが共有していることが重要なのだ。

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Instagramの新規顧客獲得「オイシックス」 #SNS

オイシックスの人気商品といえば、主菜と副菜が20分で完成する時短ミールキット「Kit Oisix」だ。パッケージ内に人数分の野菜や肉、調味料、写真付きのレシピが入っている

「当時はミールキットの認知度が低く、何か分からない。サブスクもよく分からないという人が多かった」。さらに一部の消費者の中には、家事の時短は「楽をしている」という罪悪感を持つ人もいる。「そうした方々も、おいしくて“映える”料理が20分でできるという価値や時短を誇りに感じてほしい」

それら訴求のためにはビジュアル重視でユーザー投稿による拡散も期待できるInstagramが最適と考えた。

さらにInstagramのユーザーがオイシックス関連のハッシュタグを付けて投稿したUGCは、公式アカウントでリグラムする。「最近は企業側からの広告宣伝よりも、身近な人の口コミやアドバイスのほうが感覚的に商品購入のきっかけにつながりやすくなっていると感じる」

企業の顧客とのコミュニケーションの取り方も時代によって変わる。一方的にブランドメッセージを伝えるStory、相手を想像し相手の言葉で語るNarrative、そして相互にコミュニケーションをとるInteractiveへ。

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シェアリング商業プラットフォーム「MIKKE!」 #MaaS

サービス名は「MIKKE!(ミッケ)」。三井不動産とグループ会社のShareTomorrowがタッグを組んで、東京の湾岸エリアを中心に“動くお店”を展開している

取り扱っている商品がとにかく幅広い

サンドイッチやシフォンケーキといった飲食系のほかに、生活雑貨、アパレル、リラクゼーション、食器、写真プリントなどもある。

移動販売にとってフォローの風が吹き始めたわけだが、実績がなかったので、消費者はどんなモノを欲しいと思っているのかがよく分からない。そもそもこのビジネスはうまくやっていけるのかどうか不透明なところがあったので、20年9月に実証実験を始めてみた。

「移動販売=お弁当」の固定観念があるので、価格は1000円ほどという考えがびたーっとこびりついているのだ。しかし、である。1万円以上の商品が人気を集めていて、売り上げのトップ3を見ると、「アクセサリー」「オーダースーツ」「健康器具」が並び、想定の3倍以上も売れたところもあった

大型の商業施設と違って、移動販売はクルマの中である。販売スペースはとにかく「狭い」わけだが、そのデメリットをメリットにした動きをした。スペースが「狭い」ので、たくさんの商品を並べるわけにはいかない。あれもこれもそれもといった世界ではなく、「これはどうですか?」「オススメです!」と提案できるかどうかが勝負の分かれ道になる

商業施設と違って、クルマの前を歩く人はそれほど多くない。ただ、マンションの敷地内であれば、住民はクルマで販売している商品を何度も何度も目にすることになる。商品との接点が増えていくことで、心理的なハードルが下がって購買につながりやすいことが分かってきた

移動販売の最大のキモは何か。「マッチング」である。例えば、10カ所で販売するとしよう。平日の午前と午後、休日の午前と午後を分けると、40パターンのデータが出てくる。場所は豊洲、店はアパレル。この場合、最適な時間は? お客が最も集まる曜日は? どんな商品が人気なのか? こうした情報をどんどん貯めていくことで、店側は効率よく運営することができるようになるし、消費者側は思わず手に取ってしまうアイテムが増えていくかもしれない。


そうした気持ちになる商品は何か。その場所で、どのくらいの期間、クルマを停車すればいいのか。「マッチングは商品によっても違いますし、地域や年齢などによっても違う。たくさんのデータを取得して、もっとももっと分析しなければいけません。そうすると、おもしろいことが待っているかもしれませんね」

これまでココでやると決めた場所でビジネスをすることに縛られていたビジネスモデルも、アフターデジタル、アフターコロナで、その常識を覆すUXが求められている。

令和の時代に新たにフィットするUXは過去の延長線上にはない。妄想と挑戦と仮説検証の繰り返しの先に組み上げられるものだ。

企業の規模の大小にとらわれず、スピーディーに「やってみなはれ」の精神でトライアンドエラーを繰り返すことが、イノベーションの本質そのものだ。

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パラダイムへの固執がもたらす沈没 #ダイナミックケイパビリティ

真面目な日本人は、成功すると怠けることなく、より努力して成功を確実なものにしようとする。この成功後の過剰な努力こそが、不条理にも真面目な日本人を失敗に導くのである

ある特定の科学者がパラダイムに関する深刻な問題を見いだし、パラダイムの大変革を求めても、科学者たちはそのパラダイムを簡単に放棄したり変革したりできないだろう。というのも、これまで行ってきたパラダイム内の特殊な投資がすべて無駄(埋没コスト)になるからであり、このままパラダイムに従って研究していれば得られるであろう利益も失うこと(機会コスト)になるからである

パラダイム内の研究者は、パラダイムの放棄や変革に強く抵抗し、変革を促すために彼らを説得する取引コストは非常に高くなるだろう。このコストを考慮すると、たとえパラダイム内に深刻な問題が発生しても、そのパラダイムに固執した方が合理的となる。こうして、パラダイム内の人々は合理的に失敗するのである

既存のパラダイムを変革すれば、これまで行った多額の投資はすべて埋没コストになるからであり、既存のパラダイムに固執する多くの利害関係者を説得する必要があり、その取引コストがあまりにも大きかったから

変革しない方が合理的という、パラダイムの不条理

既存のパラダイムの中で育ち、それを精緻化し、それに投資してきた人々が既存のパラダイムを自己変革することは困難だったのである。変革するためのコストは、あまりにも高かった

絶えず内外の変化や不確実性を感知し、既存の知識や技術を再構成、再利用、再配置し、常に批判的に自己否定し、自己改革を続けている

環境変化を感知して(Sensing)、そこに機会を捕捉し(Seizing)、既存の資源を再構成して自己変容(Transforming)する能力は、ダイナミック・ケイパビリティ(企業変革力あるいは変化対応的な自己変革力)と呼ばれる

ダイナミック・ケイパビリティをベースとする企業では、変化することが定常状態であり、変化しないことが異常となる

常に変化や不確実性に対応して既存の技術や知識を批判的に検討し、改善し、漸次工学的に進化させている

成熟した既存事業は、先人たちの試行錯誤の末に構築されたオペレーション、マニュアル、経験則などのパラダイムが出来てあがっているものだ。

過去の延長線上にある未来を、必ず到達するものと定義した計画を立てる。その計画から外れるリスクをゼロにし、ミスをゼロにし、しっかりと計画通りに実行することで、その未来にたどり着く。

一方で新規事業とは、どうなるかわからない未来に対して、成功するかどうかわからない手段を定義し、とりあえず歩み始める。歩きながら考え、考えながら歩くというものだ。その中では既存のパラダイムの中での常識や当たり前の批判も含まれる。

いわば既存事業は「体制」であり、新規事業は「カウンターカルチャー」なのだ。そりゃ分かり合えることはない。

いやそもそもわかりあう必要すらないのかもしれない。それぞれが別のパラダイムとして両立するような両利きの経営こそが、今この日本においてもっとも必要なものになるのだろう。

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