顧客行動にこそ、イノベーションの種がある
イノベーションとは「現在の当たり前」を否定し「未来の当たり前」を創出すること。つまり、「新しい体験」を創出することこそがイノベーションだ。
スティーブ・ジョブズは「顧客に何が欲しいかを聞いて、それを与えようとするだけではいけない。完成したときには、彼らは何か別の物を欲しがるだろう」といった。未来の顧客が体験することを先取りし、それを現実のものとして提供することが重要なのだ。
だからこそ、そのヒントは私たちの日常の中で何気なく経験する「体験」に隠されている。
スマートフォンの登場は、私たちの生活を一変させた。情報は指先一つで手に入り、通信は瞬時に行えるようになった。しかし、それ以上に重要なのは、顧客の行動や考え方、価値観まで変革したことだ。今やスマホは、私たちの体験の中心となっている。
スマホの普及によって生まれたのが「ウェーブ消費」だ。ウェーブ消費とは、一時的に高まる集団の興味や関心に基づいて商品やサービスが多く消費される現象を指す。一つのトピックや商品が瞬く間に火が付き、その後すぐに次のトピックへと移行する。このウェーブの中で、企業は新しい市場を理解し、新しい体験を提供するチャンスを掴む必要がある。
事業機会は常に見えないところにある。それを掴むためには、準備が必要だ。ウェーブ消費の中に潜むチャンスを見逃さないように、常に顧客行動を観察し、常に準備をしておかなければならない。
イノベーションを成すためには「私だけが気づいた真実」を見つけることが重要となり、それこそがイノベーションの種となる。真実は一人の人間の中に宿る力となる。顧客に向き合うメンバーの一人一人が、その力を信じ、新しい体験を創り出す努力を続けることで、イノベーションは生まれ続けるのだ。
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