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イノベーションに「失敗」はない

通信社の記者は「一般にいう失敗なんじゃないか」と追及し、岡田氏は否定。「失敗と呼ばれたからといって、何か著しく不具合があるわけじゃないですね。皆さんの中では失敗と捉えていないけど、失敗と呼ばれてしまうのも甘受せざるをえない状況じゃないんですか」と矢継ぎ早に質問すると、設計の想定範囲内での事象のため、やはり失敗ではないとの見解を示した。

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イノベーションとは、「現在の当たり前」を否定し「未来の当たり前」を創出することだ。誰も見たことのない未来へと挑むのだから、進むべき正しい道を誰も知らない

それは視界ゼロの真っ暗闇の底なし沼に飛び込んで、あると言われているダイヤの原石を探すようなもの。手当たり次第に周りに手を伸ばしてみなければ、掴むものも掴めない。掴んでみて磨いてみたらただの石ころだったなんてこともたくさんある。

そうして試行錯誤を繰り返しながら、あたりをつけて前へ進む。進んだ先に何があるかわからなくても前に進んでみなければならない。前に進んでみてから、そのまま進むのか、一度戻るのかを考えなければならない。走りながら考え、考えながら走る

だからイノベーションには「失敗」はない。「その方法は違った」という学びに他ならない。それがインサイトだ。そうしてインサイトをもとに新たな仮説を立てて、また進むべき道を見定め、前へ進む。その繰り返しだ。

イノベーションにおいて失敗は成功の過程に過ぎないのだ。そして失敗は成功の糧なのだ。失敗しなければ前に進めないし、失敗していないのなら前へ進んでいないのと同義だ。

それを外野がとやかくいうなど愚行の極みだ。特に過去の延長線上にない未来へとジャンプアップするムーンショットに挑むならなおのこと。イノベーターに対して外野がすべきことは批判でなく、賞賛だ。それによってイノベーターが失敗に恐れをなして歩みを止めることなく進み続けられる心理的安全性を作らなければならない

イノベーションに「失敗」はない。失敗こそ歩みを進めている証拠だ。保守的な空気が蔓延し、未来への希望が薄れている我が国だからこそ、全国民がその意識を強く持たねばならない。



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