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変化の激しい現代を生き残るために必要な「しなやかさ」

「イタリアは、森林で小火(ボヤ)が起きても大火災にならないようにやぶを刈るなどして、災厄をたびたび乗り越えてきたから、危険な混沌を耐え抜く力がある」。小さな火事があったからこそ、予期しない危機を克服する力が政治体制に備わったのだ。

衝撃に打たれ強くなるには、変化に「慣れ」ておくとよい。

自分の「リスク許容度」を見極めよう

動物は命のリスクがある自然の中で、過酷な自然に自らをフィットさせるために自然淘汰によって進化していくという。しかし、人間は技術と社会を発展させることによって、自然淘汰による進化を自ら捨て去ることになった。

一方で、技術的イノベーションを積み重ねることで、人間は動物以上の力を集団で発揮させ、命のリスクを減らし、地球上の覇者となった。人間は「道具によって自らを進化させる動物である」といえる。

特徴的なのはスマートフォン。スマートフォンの登場以降、顧客行動は大きく変化した。本来処理することのできない膨大な情報を瞬時に処理することができるようになり、人間の行動は飛躍的な変化を遂げた。そうして人間は自らが予測できないほど、激しく不可逆的な変化を体験する時代となった。

変化は必然的に起こる。イノベーションを自ら起こすにしろ、それを甘んじて受け入れるにしろ、変化は起こる。そんな時代において間違いなく「現状維持は約束された沈没」だ。変化を指を咥えて見ていれば、変化のうねりに飲み込まれる

変化が緩やかな時代において求められたのは「剛強さ」だ。過去からの延長線上に未来を予測することができ、過去の知見によって明らかにされた誰にもわかる「剛強さ」を追い求め、No.1を目指すことが、誰しもにとっての目標と定義できた

変化の激しい現代に求められるのは「しなやかさ」だ。変化は必然として起こる。しかも突然起こる。変化が起こる前提の社会においては、常に変化を先取りすることは難しい。変化の方が先んじて起こることがある。その中で過去に縛られた「剛強さ」を振りかざせば、必ず「失敗」する。

失敗が前提で、それでもなお心折れずに、失敗の中から学びを得て、その中で求められる新たな強さを見出し、突き進み続けることが必要。強風にあおられても折れずにたなびく「柳のようなしなやかさ」が必要だ。

そして変化に対処する。適応する。その中から学びを得て、自ら変化を起こしていく。それが現代に求められる「強さ」だ。

リスクに身をこわばらせるのではなく、変化の中に自ら身を置き、変化に慣れていかなければ、しなやかさを身につけることはできない。現代に求められる強さを理解して、自らを成長させていかなければ、変化の激しい時代に生き残り続けることは難しいだろう。

逆張り――多くの人と逆の立場をとること――とは、明らかにハイリスク、ハイリターンな機会に飛びつくのとは違う。むしろ、みんなが考えるよりはリスクが低く、しかも大きな見返りが期待できる機会を追求することを意味する。

変化の少ない状態が続くと「安定している」という幻想が生まれるだけである。凪のような状態が長く続くと、想像もつかないような外からの衝撃を跳ね返す力が衰えるため、ぜい弱さが増していく。



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