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「Customer Obsession」をお題目ではなく、無思考に行動できる人だけがイノベーションに辿り着く

お客様を中心に考える、お客様に強くこだわる、つねにお客様を考える。それが大切というのは、当たり前のように多くの方々が言いますが、本当にそれが実践出来ているのかといわれると、まだまだチャレンジすべき領域が多いと認識しています。

現在、N1インタビューも含め、お客様と本質的に向き合い、お客様を理解するためのプロジェクトを一部のビジネスで進めています。2023年には、その活動を他の事業にも拡げ、よりよいCustomer Experienceを創り、ビジネスの成長に貢献したいと思っています。

「『Customer Obsession』を意識し、より良い顧客体験を創り、ビジネスの成長に貢献していく」:パナソニック コネクト 山口有希子氏

Customer Obsession」。Customerは顧客で、Obsessionは強迫観念にとりつかれること。平易に日本語に訳せば「顧客第一主義」となるだろうが、それよりももっと圧倒的に顧客にこだわり尽くすことを指す。

昨今のデザイン思考の広まりにより、顧客と向き合うことの重要性と、そのエッジからイノベーションの種が生まれることの理解は広まっただろう。しかしまだまだサラリーマンたちの顧客へのこだわりは足りない

どの企業も「顧客第一主義」というお題目は掲げている。しかし、本質的に顧客と向き合ってきた企業がどれほどいるだろうか。

これまで顧客へのメッセージングは広告代理店に任せ、顧客とのコミュニケーションは量販店に任せ、顧客からのフィードバックはカスタマーサポートセンターに任せてきた。

そんなサラリーマンがそう簡単に「Customer Obsession」を持てるだろうか。もちろん否だ。多くの人がそこまで偏執狂にはなれていない。

それに対して新規事業コンサル界隈では「原体験をもて」と嘯くヤカラも多い。しかし原体験からアイデアを作ろうとすれば、それは自分自身の体験という狭い井の中で顧客を考えることにしかならない。そして多くのサラリーマンはそれほど多様な経験をしていない。そもそも顧客と向かい合うことすらしていないのだから。

原体験至上主義者の言葉に耳を傾けることは、安易なアイデア創出方法に身を任せることに過ぎず、本質的なイノベーションに挑むことはできないし、本質的に顧客を幸せ(Customer Hapiness)にすることはできない。

安易な方法を取らずに現場に行け。徹底的に顧客と向き合え。顧客の行動を徹底的に観察しろ。顧客の感情に圧倒的に移入しろ。顧客の部屋の様子までありありと想像できるほどに顧客に憑依し、顧客の感情と一体化した時、それが「原体験化」された状態といえる

そうすれば、あとはその顧客を幸せにすること=すなわち憑依した自分が幸せになることを、突き詰めていくだけだ。

イノベーションとは、顧客に愛されるプロダクトを作ることではない。顧客を愛してやまない結果、どうしても産み出さずにいられないプロダクトを生み出すことに他ならない。



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