次世代リーダー育成の最適な方法は、経営者をやらせることだ
イノベーションは、現場をよく知る「エッジ」で起きる
社会の変化の予兆は必ず顧客から起きる。
トレンドの変化のスピードは顧客が一番早い。エクストリーム・ユーザーと呼ばれるような、一般層や普通・常識からかけ離れた行動をしている人が未来を先取りしている可能性が高い。
それは行動そのもので現れることもあれば、クレームや愚痴などで現れることもある。顧客との直接的な接点であるエッジにいる現場でなければ、それに触れることはできない。つまりイノベーションはエッジが起点に起こるもなのだ。
イノベーションは、総合格闘技だ。「経営力」が必要だ
エッジで変化の予兆に触れることができたからといって、それがそのままイノベーションに繋がるわけではない。
それを目にしたときに、違和感を感じ、問いを投げかけることができるか。
その問いを解こうと強く決意をすることができるか。その顧客をより幸せにしたいと情熱を持つことができるか。
そのための手段を、常識に縛られずアート思考で発想することができるか。
発想したアイデアを、自身の思い込みにとらわれず徹底的に顧客と向き合うデザイン思考で組み上げることができるか。
ソリューションが顧客にフィットしたら、ビジネススキーム、ビジネスモデルをロジカルにシミュレーションし、事業スケールの糸口を掴むことができるか。
そのすべてのフェーズで必要となるスキルや能力、思考法は違う。イノベーションに挑むために必要なのは総合格闘技力であり、それこそがまさに経営力そのものなのだ。
経営目線に立つためには、経営者をやる以外に方法はない
よくサラリーマンをしていると「経営目線に立て」という発言をする人間に会うことがある。経営というものを理解していないからこその発言だということがよくわかる。
見たことのない景色を想像することなど不可能だ。誰にもできることなどない。経営目線は経営者にならなければ身につけることはできないのだ。
大手企業の経営者も、ジョブローテで様々な役割を担ってきたからこそ経営者に登用されたのだろうが、それでも総合格闘技力という意味では、カバーしていない範囲の方が大きいはずだ。つまり経営目線は経営者に昇格してはじめて見ることになる景色なのだ。
新規事業を即座に子会社化するのは理にかなっている
サイバーエージェントは、新たな事業を立ち上げる時、早々に子会社を立ち上げ、若者をそこに登用している。
イノベーションの成功確率はそもそも低い。アイデア創出のフェーズであれば、年齢や経験など関係ないのだ。むしろ若者の方が常識に囚われず自由な発想ができる。
「若くして優秀な起業家はいても、若くして優秀な経営者はいない」という。
次世代リーダーとして経営力の発揮を期待するなら、その期待をかけて経営を任せなければならない。任せて経験を積ませなければ、経営者として大成することはないのだ。
既存事業の中で優秀な経営者を育てることの方が博打に近い。まさにその結果が日本の失われた30年に少なからず遠因するだろう。
サイバーエージェント・スタイルの人材育成は非常に理にかなっているといえる。
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