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女性に不公平な台湾

一般的に、台湾は女性の社会進出が進んでいて、ウーマンフレンドリーな社会だと思われています。しかし、日本と比べてそうでないという一面もありますので、そのことに触れてみます。

台湾の葬儀で

台湾のお葬式は、一般的には道教の道士先生が主催し、とても儒教的な雰囲気の中で行われます。
僕の参加したそれは、言葉もほとんどが台湾語で行われ、中国語が話されたのは、年の若い二十歳前後の参加者に説明をする時、1シーンのみでした。

葬儀に参加する親族の序列はこうなっています。故人との関係性で並べてみます。
1. 息子
2. 孫(息子の子供)
3. 息子の嫁
4. 娘
5. 孫(娘の子供)
6. 娘婿

僕は6.の立場でしたので、最末席になるのでそれは良いのですが、故人の娘である家内は、葬式での序列は4番目になります。それが驚きです。
この序列は、葬儀の際に羽織る服装にも現れます。1.から3.までの息子に関わる親族と、4.から6.までの娘に関わる親族は、異なった服装をします。その様になるので、この序列は視覚的にも明確に示されます。

この序列は、男系の子孫を家族の主流として、女性は嫁に出る、家から離れるものという、儒教の伝統的な家族感を表しているのでしょう。そして息子の嫁はその家族に加わるので、序列は娘よりも先になります。

遺産相続

そして、この男系家族のヒエラルキーは、遺産相続の面でも現れるらしいのです。
現在の台湾では、法律上息子と娘には同等の遺産相続の権利が認められています。しかし、実際は過去の男系家族のしきたりから、男性が主に遺産を引き継ぐものと考えられている。実際の社会での遺産相続にはその様な傾向がある様です。

例えば資産としての家は、長男が引き継ぐものと見なされています。
僕は日本人の3人兄弟で、弟が2人います。両親は下の弟と一緒に住んでおり、僕ら夫婦は東京にマンションを買って住んでいます。そうであれば、両親の家は弟に使ってもらって何ら支障ないと考えますが、台湾ではそれは、長男のものと相場が決まっている様です。弟夫婦が近くに住んでおり、長男は離れていても、家は長男のものと決まっているのです。

そのほかの財産についても、男性の取り分が多くなるのは普通にあるそうです。これは、法律上の男女平等とは相違があり、親の意向で決めると息子側の家族に多く、娘側の家族には少なくなる様なケースがままあるとのこと。まあ、これは日本でも遺言状で記されていれば同じ様に、それに基づくことにはなるでしょう。

伝統的な儒教社会の残映

台湾の社会には、この様な中国の儒教倫理による社会規範の名残が見られるケースがあります。日本よりも女性の社会進出が進んでおり、多くの女性が活躍している台湾ですが、この様な一面もあるということで紹介してみました。

この女性の社会進出が進んでいるというこは、中国大陸でも同じです。中国も過去儒教の本場でしたから、男尊女卑の傾向は強かった筈です。それがその様に変わってきている。
それは台湾と同じ様な経過を辿ってそうなっているのか、それとも全く異なった経過なのか、その辺はまた深掘りしてみたい課題ですね。

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