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【台湾の面白い建物】衛武營國家藝術文化中心(その三)

今回は衛武營國家藝術中心の歌劇院オペラハウスの紹介をします。オペラハウスとしての真価を感じるために、ここで行われる演目を物色していたのですが、珍しくも歌仔戲、Taiwanese Operaが上演されるというので、これを見に高雄に向かいました。
この歌仔戲「海賊之王,鄭芝龍傳奇」も滅茶苦茶面白かったので、そのことも記事にしてあります。

ホワイエ

ホワイエは他の共用空間と同様のデザインボキャブラリーでまとめられています。白と黒のモノトーン、シンプルな塗装仕上げ、吹き抜けを用いたことによる曲面の輪郭の強調。とても潔いけれども、チープには見えないのは、ディテールがシャープでしっかりしていることと、間接照明やライトアップなどで光のコントロールもしっかりと計画されているからでしょう。

ホワイエでは、簡単なレクチャーも開かれていました。
吹き抜けの白い壁面を光が照らしています。

平面計画

オペラハウスの平面計画は、とても典型的なものですね。観劇するための客席の計画は、視認距離の制限があるために、数が増えると上に積層せざるを得ません。衛武營では3階席まで設けられています。

平面形状はこの様になっています。

インテリアデザイン

オペラハウスの中に入ると、基本的に漆黒のインテリアとなっています。座席は紫の高貴なイメージ、壁面の一部にも紫が使われています。音楽ホールの様子とは大分違いますね。観衆の視線が舞台に向くようにこのような色彩計画となっているのでしょう。

二階席の様子
二階席ウイングの様子
二階席を見渡す

平面4面、奈落1面の5面舞台

今回の舞台は合計20幕にも及ぶ、とても大規模なものでした。このような変化に富む舞台に対応して、沢山の大道具が準備されています。特に驚いたのは海戦シーンに用いられたものです。
海戦になるので船を用いた舞台装置が左右からやってきて、それがクルリと回転船の外から見た様子が、船の内部での戦闘シーンに早変わり。又、船に火攻めを敢行するための決死隊は、ワイヤーロープで吊り下げられながらの潜水の様子を表現したりしていました。
これらの舞台ワークを支える、袖舞台裏舞台等は、奈落のものも加えて5舞台が用意されています。

オペラハウスは基本的なスペックを満足した、漆黒の厳かなイメージの空間となっています。十分な舞台数を備えて、このような規模の大きな出し物にも十分に対応できるようになっています。

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