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【台湾のジャズライブ】Plus One Trio Feat. 董舜文

台北にもBluenoteというライブハウスがあります。今台北で営業しているジャズのライブハウスでは最も古株です。実は、アメリカのBluenoteよりも歴史が古く、このお店の方がこの名前をオリジナルで使っているのだと店長さんは言っていました。

このBluenoteで、Plus One Trioというシリーズの演奏が続けられています。これはホストミュージシャンとしてベース許巽舜、ドラム林俊宏が固定メンバーで、それにゲストミュージシャンが1名ないし2名加わるというライブです。
ホストの2人はアメリカで研鑽を積んだ強者、ゲストミュージシャンも彼らの目がねに叶った優秀なミュージシャンなので、ハズレはないし彼らの選んだ人間はどんな演奏をするのだろうと、よく足を運んで聴いています。

許巽舜:Hsun Shun Hsu

許さんのベースは、一音一音がハッキリと聞こえてくる、非常にタイトで力強い演奏です。リズムが演奏全体をドライブさせる様な、そんな印象がありますね。Christian McBrideの様な印象です。沢山のジャズミュージシャンの信頼を得ているベーシストですね。
ジャズスクールの絲竹空では、ジャズベースのレッスンも行っています。

許巽舜

林宏俊

彼の演奏を聴いて感じるのは、非常に安定した信頼のできるビートを刻んでいて、フロントが伸び伸びと演奏できているということです。特に許さんとのコンビの時は信頼感が高いのでしょうね。
そして、ドラムソロに入った時のステディな感じも心地よいです。激しいドラムソロの中に、それをコントロールする自分もいる。そんな緊張感を感じる演奏です。そして、そういう演奏なので、フィニッシュ時の戻りも完璧。

林俊宏の演奏は、許巽舜と一緒にBluenoteのプラスワントリオと、スイングの333トリオ、翁家怡カルテットなどで聞いています。

林宏俊

董舜文

その日、許巽舜と林俊宏のプラスワントリオにサックスとして参加していたのが董さんでした。
僕はこの一回のライブですっかり董さんのファンになってしまいました。

彼のライブは客席との一体感を非常に重視しています。常にリスナーと会話をし、リスナーの反応を見て、その意表をついた曲の組み立てをする。なので、一体彼の演奏は次にどう展開していくのだろうと惹き込まれます。そして自分のライブをショーとして展開していく、そんなエンターテイナーとしてのミュージシャンを目指している様な印象を持ちました。
それなので、アドリブフレーズの作り方が非常にダイナミックでドラマティックです。単なる綺麗なフレーズを紡ぎ出すだけではなく、それをサックスのパフォーマンスとして魅せて聴かせる。そんな姿勢を感じます。

彼は、無限融合樂團:Timeless Fusion Partyというバンドでもリーダーとして活躍しています。このバンドでは、アルバムが10枚ほど発表されています。台湾のフュージョンの草分けですね。

董舜文

Bluenote Taipei

ここは、今では台北の最も古いジャズライブハウスです。火曜日を除いて、毎日のようにライブが開かれています。週末には烏野薫カルテットと楊曉恩のJazz Metabandのプログラムが組まれていて、その他の8割方はレギュラーのさまざまなバンドが演奏しています。ここで紹介したPlus One Trioの他にも、Michael Wang QuartetやBluenote  Messengersといったグループです。いずれも実力派のミュージシャンによる演奏です。

そしてその他にも週に一回程度、新しいグループの演奏もあります。僕などはまだ聞いたことのない、新人の演奏を楽しみにしているので、そういった回にもよく顔を出します。

林煒盛トリオの演奏

Wayne’s Thang by Kenny Garrett

これがその時のブルーノートで演奏された、最後の演奏です。演奏そのものを、お客を喜ばせるエンターテインメントとしてとらえ、様々な仕掛けを加えながら、演奏もとてもアグレッシブなものだと思います。董舜文は、台湾きってのショーマンだと思います。


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