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【雑記】年末年始に考えた二つのこと

地域の課題に取り組むということ

昨年末に一つの記事を見つけた。

人口1075人の村でも黒字を実現 セコマ会長が「過疎地への出店は福祉ではない」と語る理由

4年前、私は敢えて過疎地で起業するという選択をした。ただし、それは気が狂ったわけでも博打に出たわけでも、身を犠牲にして高齢者を救いたいわけでもない。大崎下島で起業することの強みを見いだし、事業を成長させ黒字化を図り、グローバル展開を目指せるかもしれないストーリーを描けたからだ。

理想の世界である「介護のない世界」と現実の世界である「医療・介護だけではない様々なリソースが不足する課題だらけの過疎地」の間を埋めるストーリーを描き、それを日々実務に落とし込んでいく。もちろん、ここまで順調に進んでいるわけはなく、問題は毎日のようにやってくる。

この記事にある住民のニーズについても私たちはよく理解できるし、似たようなケースも発生している。ただ異なる点として挙げたいのが、“地域住民と自治体の協力”だ。

私たちは大崎下島を含むとびしま海道で訪問看護サービスを提供しており、利用者様やご家族、医療・介護関係者、多くの地域住民の皆さんから応援をいただいているが、悲しいかな、一部からは未だに批判的な姿勢をとられている。理由はわからない。

私が辛いのは移住してまで仕事に努めてくれているスタッフの想いである。応援してほしいとまでは言わないが、せめて彼らに嫌な思いをさせるような発言は控えていただきたいと願っている。生意気かもしれないが、住民も医療や福祉を自治体任せではなく、自分たちの手で守るという姿勢を持つべきだとずっと思ってきた。

一方でその自治体も地域のためと言いつつ、その動きは非常に鈍いところが多い。本気で課題を解決する気があるのだろうかと疑問を抱いている。余計な仕事を増やしたくない、自分の仕事を失いたくないなどという思いから惰性的になってはいないだろうか。私たちは限られたリソースの中でやっている。それをもっと理解してほしい。

企業と住民と自治体がしっかりと協力し合えている本記事の取り組みは、正直に言って羨ましい。三者が本気で考え、覚悟を決めて、それを行動に移しているからだ。私は、人任せ風任せではなく「今すぐそれやろう!」と言える本気の人たちと一緒に課題に取り組みたい。

企業としての生き方

以前に私は自社について「スタートアップではない」と言った。なぜなら、元々あるスタートアップの定義は「短期間で急成長する企業や事業」というものだったからだ。しかしながら、近年はその定義もだいぶ変わっていたようだ。

日本の開業率は米国や欧州主要国と比べて低い水準で推移している。そのため、その定義を広げることによって世界で戦えるスタートアップの創出・育成を図っているそうだ。しかし今回ここで言いたいことは、スタートアップであるかスタートアップではないかということではなく、その言葉の持つ企業としての生き方についてだ。

どういうことかと言うと、例えばスタートアップであると表明した場合、エンジェル投資家やVCなどから出資を受け事業の成長を図る。そして、リターンとしてM&AやIPOなどのイグジットを戦略として持つ。これが一般的なスタートアップとしての生き方のイメージだと思う。

だが、私は自社がスタートアップであれベンチャーであれ、その言葉が持つ生き方のイメージに縛られないようにしたいと考えている。なぜか。一つに、私たちは砂漠のような過酷な環境で育とうする植物みたいなもので、私たちが拠点とする場所は、自然が豊かな野山でもないし、土壌改良された畑でもないからだ。

私たちは一般的な企業が活動している人口が多い都市部ではなく過疎地にいるわけで、その環境は大きく異なる。そんな私たちが従来のフォーマットに沿っても劣化コピーどころか下手をすれば的外れで最悪な結果になりかねない。植物でも企業でも環境が異なれば成長の仕方も変わるはずだと思っている。

もう一つは雇用だ。ローカルで会社を営んでいく上で重要なことの一つは地域の雇用だと考えている。人材の質と量のいずれも豊富な都市部とは異なり、ローカルでは限りがある。それに安定した雇用こそが地域貢献であり、地域貢献なくしてローカルの企業活動はあり得ない。

このようなことから、地元に根ざしながらも一方で強く成長を図っていく方法やそれ以外のやり方もあるのではないかと考えている。もちろん戯言のように思われることは承知の上だが、要するに皆が行く道を進んでも仕方ないということだ。きっと独特すぎる私たちの答えは私たちにしか導き出せない。


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