水戸学の人

その人は高崎の医者の、蘭学の、子孫と話していた
なぜ水戸学かわからない
乱暴な人生を生きてきた
太宰の『晩年』の出版社の社長になった
よっていたので
話のあらすじは忘れた
「勘当されて　駆け落ちした　女とどうにもならなくなって　実家に子供を連れていったら　俺の母親が　婆さんが　風呂入るぞって　子供達裸にして　風呂場で　笑ってるんだ　それで解決だよ」
いい話なことはわかるが

細かい関係
キショウテンマツを忘れた
風呂に入って　笑えば　しまい
っていうのが水戸学かもしれない

ゴールデン街で
子供の頃の話から
駆け落ちの話まで
聞かせてくれたのは

きっと僕が水戸の男だからだ

乱暴に
その場の勢いで生きる
うるせえ
帰れ
ふん、
ってね

僕は
半分水戸学
半分裏茶の湯だから
分裂しているけど

野蛮な紳士路線で行きたい

ブライアンフェリー？
デビッドバーン？

その人は
僕をどう思ったろう
ゴールデン街の
2階の店で一番
水戸学の話をして