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詩を書く理由 電車で思索をする理由

あいつが嫌いだ
あの人とあわない
よく人は言う
そのいきつく先は
死ね
殺したい
人はそもそも人を殺したい欲望が潜在的にある 
それは性欲ほどではないが 
善意よりは強いかも知れない
いや拮抗している 

狭い了見を武器にするのはやめにしよう
みっともない

愚痴を話せば
誰でもその時は
面白い
ただ
後味が悪い 
弱みを握られるし 

いえば
いわれる
それが予想できるからだ

胃もたれするのがわかっていて食べる油物
体調崩すのわかっているのにしてしまうセックス
やな感じがある

今この電車でも
嫌な感じが隣にある
この男のコンプレックスや
さっき俺にカバンをぶつけ強引に入ってきたその態度
少し休憩を取ろうとしているその空気感
痙攣するように動く指
すごく不愉快だ
俺が間違えて
次の駅までの切符しか買っていないことも
憂鬱に拍車をかける

理屈抜きで嫌な奴は嫌だ
しかし俺は王様ではないから
殺すわけにはいかない
そいつがいるという存在を否定することはできないし 
排除しようとしても結局返り血を浴びる
無駄なエネルギーを使うだけだ

そもそも
そんなやつのことはすぐ忘れるだろう
5分で忘れるやつ
30分で忘れるやつ
1時間で忘れるやつ
3時間で忘れるやつ
1ヶ月
そのくらいまでは 
その場で記憶を捨てる努力をしよう

仮に1年覚えているやつがいたら
それはこっちの生存のために
殺しをオプションを考えよう

とにかく
朝 7時の常磐線下りは
乗らない方がいい

特に用もないのに
変に世間に出て行かないほうがいい

やったことは自分に戻ってくる
やられたことは自分がやる

そんなつまらないサイクルから
逃れるために
俺は1人で
詩を書く
想像力の中で
因果応報や自業自得を終わらせてしまうために

言葉はそのくらいタフだ
朝7時の常磐線は思索するには悪くない


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