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追悼 伊藤公象先生

現代美術の巨匠 伊藤公象先生がお亡くなりになられた。弔問の際ご遺族から聞いた話だと7月6日にご実家で眠るようにお亡くなりになられたらしい。最後までそばに奥様の知香様が付き添っていらっしゃった。お亡くなりになる4日前まで、Facebookを更新し、ベッドで粘土をこねて作品を作ってらっしゃった。ご遺灰は彼の生まれ故郷の金沢の面する日本海と太平洋の2箇所で風葬にして墓は作らないように、というのが遺言だった。

ありし日の伊藤公象先生


  わたしにとって伊藤先生は特別な存在だった。彼は20世紀後期のの日本を代表する偉大な現代アーティストであり、芸術の本質を教えてくれる先生であり、私が詩人になるために背中を押してくれた方だった。何より芸術家の生き方というものを身を持って示してくださった。2018年、私は水戸の廃墟で風変わりなギャラリーを始めた。そこで伊藤公象先生は、展示をしたいとおっしゃってくださった。そこで、彼の展覧会を2回開催できたのは私の人生の矜持である。1回めは2019年、オープン間もない頃、2回めはロナ禍の2021年、最後の展覧会を断行し、2022年にはその展覧会から、創作の歴史を振り返る形で、クラウドファンディングで資金を集め作品集を作った。その出版のタイミングで私の第一詩集を上梓させていただいた。「ソラリスの襞」は彼の展覧会名から付けた名前そこには彼の作品の名前で書いた詩がいくつか収録されている。私は、勝手に公象派を名乗り、伊藤公象の最後の弟子だと嘯いていた。絵を描いては彼に見せ、詩を書いては読んでもらった。


伊藤公象の芸術を一言で言い表すなら「無為」である。そして人の気づかない無用のものに美を見出す視点を大切にされていた。宇宙の本質から目を逸らさず、創造の喜びを何より大切にされていた。
モナドと、エロスは彼の2大キーワードであるが、ほとんど誰も理解できないだろう。彼は死を目前にしておそらく芸術の本質を掴んだのだろう。
そして不死となったのだ。

伊藤先生と私の記念すべきコラボレーション

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