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学級崩壊力

「教師力」とは何か。これを考えるにあたっては、その反対の概念を考えることが有効です。

例えば、「教師力」の下位項目として「学級経営力」があることはだれもが納得するところでしょう。しかし、「学級経営力」とは何かと考え始めると、これまた「教師力」同様、途端に難しくなってしまいます。そこで、「学級経営力」とは反対の概念を想定してみるわけです。

「学級崩壊」という言葉があります。教育界では忌み嫌われる言葉ですが、思考の糧として使うにはなかなか良い言葉です。例えば、「学級経営力」の対立概念として、「学級崩壊力」というような言葉をつくってみます。4月の始業式からヨーイドン!で学級を運営し始め、一番早く学級を崩壊させたものが勝ち!のような力ですね(笑)。

ちょっと考えてみてください。どうすれば、いち早く学級を崩壊させることができるでしょうか。

例えば、差別をするとか、贔屓をするとか、子どもによって態度を変えるとか、ついさっき言ったことと違うことを正しいと言い張るとか、連絡していないことを連絡したと言い張るとか、常に上から目線で嫌みったらしく語るとか、すぐに忘れ物を取りに職員室に行くとか、まあ、考え出したらキリがないほど出るはずです。ためしに仲の良い同僚とやってみると良いでしょう。ゲラゲラ笑いながら、ほんとうに楽しい時間を過ごせるはずです。4,5人の呑み会で話題にしたら、時間を忘れて盛り上がれることを保障します。

しかし、この「学級崩壊力」の要素を本気で出し合ったとしたら、やはり力量の高い教師ほど、的確な「学級崩壊力」を指摘するものです。力量が高いということは、それだけやってはいけないことに自覚的であり、それに陥らない手立てをスキルとして身につけている状態をいうからです。力量の高さとは「これをやるといい」と「これをやってはダメ」とがどれだけ明確に意識されているかを指すのだと言ってほぼ間違いありません。

いかがでしょうか。「学級崩壊力」は決して冗談などではなく、一度、本気で考えてみるべき価値ある概念だということをわかっていただけたでしょうか。

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