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コロナで変わるWebとPRの世界

今週、なんといっても熱かったのは「#NEWWORLD2020」と「#withコロナ時代のPR」という二つのハッシュタグだった。

自分の解釈では、10年強制加速した日本においての、これからのWebとPRの在り方に関するカンファレンスだったのかなと感じました。

両イベントとも素敵なグラレコがTwitter 上にあがってきていましたので、そちらを参照しながら私なりに感じたこと、思ったことを書いていきたいと思います。

まずは「#NEWWORLD2020」のペイジ代表、枌谷(sogitani)さんの発言をまとめたグラレコから。

B2Bマーケのオンライン化した世界

実は私はこのイベントに参加していなかったので、ハッシュタグを追って内容を推測するほかなかったのですが、このグラレコの中でも印象的な個所が3つほどあります。

・高額案件<低単価・低納期
・リモートワークで社内文化は「つくれる」
・営業が人柄で直アピール→Webへ

枌谷(sogitani)さんのパートなので、主にB2B領域についての話だと思うのですが、なんとなくこれだけの文面で「確かに…」という肌感はあります。

ここからは完全に推測と私の個人的な話をしていくので「#NEWWORLD2020」とは関係ないのですが、まずは高額案件に対しての意思決定はしずらくなるよな…というのは思うのです。

それを確信させたのがこちらのnote記事。

近年、BtoB企業のテレビCMを見かける機会が増えているように思います。BtoBにおけるテレビCMの効果は採用やIRも含めて多々ありますが、「意思決定のショートカット」も期待していることの一つでしょう。検討プロセスの中で「CMで見かけるあの会社にしようか」「CMを出してるような会社だから安心だろう」という判断を促すことが期待できるわけです。
失敗した時の経済的損失が大きいにも関わらず、ロジックだけで判断することが難しいということが、典型的なBtoB商材なのです。機能や価格だけで圧倒的優位に立てるタイプの商材でもない限り、「うーん、どれにしようか」と顧客が迷ってしまう状況に必ず直面します。

そもそもB2Bではタッチポイントが少ないので、こういったCMやWebで見たという情緒的な影響力は大きな後押しになるという話がその後に展開されていて、そこでは「人」もまたブランドに寄与すると書かれています。

「あそこの社長がやってるサービスだから大丈夫だろう」

という安心感、信用と信頼です。そしてこれまではそれを「営業パーソンが人柄を直接対面でアピール」していたのが、オンライン化の流れを受けて使えなくなってしまった、という話です。

そこで貢献するのが「自社コンテンツ」であり「SNS」「メール・チャット・アプリ」などでのタッチポイントという話なのだと思います。

今までWebを持っていなかった企業があわてている」というのも非常にうなづける話です。

そしてもうひとつの印象的なフレーズは、

リモートワークでも社内文化はつくれる」というお話。

これについては株式会社キャスターさんが、これまでの10年をフルリモートワークでやってきた知見をベースにさまざまなインタビューに答えているのでぜひいくつかご覧いただけると「社内文化はリモートでつくれる」を実感できると思います。

下記、ダイヤモンドオンラインへ掲載された記事です。

フルリモートで700人体制の組織文化をどのように作り上げ醸成していくのかという話は、まちがいなくこれからのトレンドになっていくと思います。

(※コロナの影響が不可逆なものという仮説の上で、ですが)

スタートがオンラインで、そのあともオンラインで決まってくる世の中においては、商談やセールスフロー・コンテンツのオンライン化だけでなく、仕事や業務・組織文化のオンライン化も同時に進める必要があります。

私もこのタイミングでの起業(2020年3月16日創業)なので、オンライン化の波をしっかりと受け止めながら、事業としても組織としてもこの文化をしっかり意識していこうと思っています。

言葉とブランディングは更新された

ウェブライダーの松尾さんパートでは、これからの言葉の使い方とブランディングについて、こちらのグラレコではピックアップされています。

印象的だったのは、SEOとSNSのお話です。

「肩を組んで飲めればオッケー」の文脈は、先ほどの枌谷(sogitani)さんのパートにあった、対面で人柄をアピールして信頼を勝ち取る件と似ていると思うのですが、これからはそれをオンラインでやる時代だとあります。

そのためにもWebで「プロセス」を見せていくことが重要とも。

こういった取り組みはTwitter などを上手に活用するスタートアップ企業などではすでに扱われている方法かなと思うのですが、ここに対してトラディショナルなB2B企業が参入していくとなるとハードルが高いなと思いつつ、今回のコロナの影響はそれを「強制加速」させたのだなと改めて思います。

私もライターとしてこういったプロセスを描いた記事コンテンツをいろいろと作ってきた経験がありますが、従来はなかなかそれが売上に直結するものと認識してもらえずに理解が得られない経験を何度もしてきました。

これまでのようにオフラインで信頼をつくっていける環境であればそれも多少の納得はあります。

これまで背景に「決裁権のある人がSNSを見ていない」で一蹴されてしまう状況があったとしても、これからは誰もがオンライン上にタッチポイントを見出す時代です。

いよいよ本質的なWebの在り方が生まれつつあることに、文章や語りを扱う人間としては感極まるものがあります。

そしてこの内容を補うものとして、とても素敵な記事を見つけたので、このタイミングでこちらもシェアしたいと思います。

The Breakthrough Company GO コピーライター/プランナーの飯塚 政博さんのインタビュー記事です。超良質。

コピーライターの基本的な役割は一緒であり、大きく三つあると思っています。ひとつ目は「思想の代弁」で、企業や団体が発信したいメッセージをコンパクトにまとめること。例えば、「Make it possible」(キヤノン)のようなコーポレートスローガンから、「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私はあなたと結婚したいのです」(ゼクシィ)のようなCMのキャッチコピーにいたるまで、これがまさに“思想の代弁”という役割です。
ふたつ目が「行動変容促進」。有名な話ですが、ディズニーランドではアルバイトスタッフのことを、「バイト」ではなく「キャスト」と呼びます。「キャスト」という言葉により「雇われているという」意識が薄くなり、マニュアル化しなくても彼らが自発的にゴミを片付けるというように行動変容を生むわけです。言葉が行動を変化させている例ですね。企業の行動指針や福利厚生制度を開発する際に特に有効です。
そして三つ目が「市場の創出」です。「草食男子」や「おひとりさま」という言葉が生まれたからこそ企業は彼らを対象とした商品やイベントを生み出し、そこに市場が創られました。こうしたコピーライターが果たす代表的な三つの役割は、基本的にはどの立場・年齢であっても変わらないのではないかと思います。
例えば、とりわけティーンの言葉として最近盛んに使われている「ぴえん」の3文字には、テキストとしての意味は何もないけれど、10代、20代同士には通じ合える言葉で、そこにはいろんな情緒・文脈・情報が含まれているんです。しかも「ぴえん」の3文字は、逆算思考からは絶対に出てこない。そこにいる人たちの主観から、ボトムアップで生まれているものです。
例えば、ホテルプロデューサーの龍崎翔子さんや、Arcaの辻愛沙子さん、ゆとり社長の片石貴展さんなんかを見ていても時代の空気をつかんでオリジナルの言葉や世界観を世の中に発信している人は軒並み20代だな、と。
今の20代は、小さな経済や仲間内のコミュニティだけで人生が完結しやすいからだと思います。大きな社会のシステムと過剰に接続しなくてもいいので、非常に主観的にいられるんですよ。だからこそ21世紀型のコピーライターは、100万人に届かなくても、100人に届く言葉を1万個つくれればそれでいいと思います。

コピーライターの役割を示しつつ、それが今の時代ではどのような形で表現されることが望ましいのかという示唆が、たったこれだけの文章だけでも伝わってきます。

常時接続されるコミュニティ文化、オンライン文化が始まっているからこそ捉えたい感覚だなと思いますし、この感覚がないまま従来のトラディショナルなビジネス活動をしていては、とたんに衰退していくだろうな…ということも感じるのです。

コロナという時代のPR「仕事編」

さてここからは、「#withコロナ時代のPR」を見た個人の感想をいろいろと書いていきたいと思います。

こちらはリアルタイムで参加していて、途中のトラブルも含めてとても温かみのあるイベントでした。「#がんばれ小林くん」

こちらのイベント、PRについて非常に本質的な議論が交わされていました。

今までは企業の中にPRパーソンがいた。企業のPRは経済的主体の政治的営みから、政治的主体の政治的営みにまで回帰していく。政治とPRパーソンの関係がより重要になると思う。本質的な部分に戻って拡張していく。
(河さん)

こんな話が飛び出すあたり、いかに自社の取り組みをマスメディアに取り上げてもらうかというような表層的な話ではないことが一目瞭然です。

社会とのよりよい関係構築を行うのがPRパーソンだとしたら、こういった言葉が飛び出すのも不思議ではありませんが、PRに携わっている方々は本当に深い想いをもって日々取り組んでいらっしゃるんだなと正直けっこう驚いてしまう自分がいました。

現場での思考や体験と、アカデミックな立場からの視点が交互に話し合わせれ、最終的に私が感じたのは「PRパーソンの本来のミッション」のようなものでした。

グラレコの中にも登場するフレーズですが、

・倫理、教養、社会への肌感が大切
・フローではなくストックの知が肌感を高める
・平時を含めた政治×PRの重要性
・一次ソースの受け渡しが個人にも
・ミッションドリブン、ビジョンドリブンが他者を見落としていた原因だったのかもしれない

どれも、私が想像していたPRの世界とは異なるものでした。

フローではなくストックの話では、リアルタイムでコロナ情報を追いつつも、これまでの歴史の中でペスト、コレラ、黄熱病、天然痘などと戦ってきた人類の知見も含めて見渡す力がPRには必要ということで、長期や短期の視点を、時間や空間、距離などに当てはめて考える力が必要、という文脈だったかなと思います。

そのあたり、もともと私も興味関心のある分野だったので、こういった自分自身の関心の向くところに「PR」の本質があるのだとしたら、それは自分にとっても非常に価値のあるものだと思いました。

『消費文化経営総研』を運営する最所あさみさんなども、多岐にわたる消費文化、店舗の在り方の研究のため、古典や歴史書などをとにかく読んでコミュニティ内でアウトプットしていますが、そういった取り組みが行われている場所に身を置くことの大切さも改めて感じさせられました。

そして改めて、今後「PRとメディア」の分野で ”ブランドづくり” に励んでいこうと考えている私が思うのは、

本質的なPRの視点と、オンラインで置き換わるSNSの重要性

といったあたりだろうか、と認識新たに深めている。

対面で、オフラインで積み上げることが大切だったこれまでの世界は、まだまだトラディショナル(伝統)からデジタルシフトが起きたに過ぎなかった、いわば序章だったのだと。

ここからの本格的なオンライン化に向けて、対面営業マンが培ってきた信頼を今度は「質の良いコンテンツをSNSで伝える」ことでアップデートさせ、オンラインでの営業力を磨くのではなく、事前資料のつくり込みなども含めながら「ブランド価値」を高めることの重要性を、自身で体現しながら伝えていける、クライアントに、社会に貢献できる事業をしていこう。

そういう想いに胸を熱くさせたのでした。
本当に最高のイベント。

「#NEWWORLD2020」
「#withコロナ時代のPR」

に大きな感謝を寄せたいと思います。

ありがとうございました!

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