見出し画像

映像の世紀・バタフライエフェクト 「ビートルズの革命」

録画していたNHKのドキュメンタリー番組「ビートルズの革命」を観た。
(放送日:2023年6月12日/19日)

前編より ハンブルグ時代のビートルズ

 WEBサイトに載っている番組紹介では「蝶の羽ばたきのような、ひとりひとりのささやかな営みが、いかに連鎖し、世界を動かしていくのか? 世界各国から収集した貴重なアーカイブス映像をもとに、人類の歴史に秘められた壮大なバタフライエフェクトの世界をお届けする」とある。 なかなかNHK的だ(笑) で、番組を観た感想なんだけど……、悪くない、悪くはないが、コアなビートルズ・ファンからすると、顔が無いビートルズ、というか、ビートルズの強烈な個性や人間味が殆ど感じられなかった。 ビートルズの真実を伝えることをテーマにするのではなく、ビートルズが世界に与えた影響という切り口だったから、やむを得ないとは思う。リアルタイムのビートルズを知らない世代が多数派になった現代、私自身、このような編集を否定するものではない。(私の友人は「グダグダの編集」と言っていた人もいますがね)

 前編の「『のっぽのサリー』が起こした奇跡」というサブ・タイトルは秀逸だ。歴史上、1957年7月6日の『のっぽのサリー』一曲を特別視することは正確さに欠けるきらいがある。しかしながら伝説を構成する上で正確さよりも大切なことがある。ジョンとポールとの出会いは確かに奇跡だった。後にポールは言っている「ジョンと出会わなかったら、僕は小さなパブ・バンドで演奏していたかもしれない」 酒浸りで喧嘩ばかりしていた16歳の不良少年と礼儀正しく真面目な15歳の少年。水と油のような二人を結びつけたのはロックンロールだったが、それだけではない。二人とも母親を亡くしていた。少年時代の心の傷は二人の友情形成に欠かせなかった。

上記動画は2000年にアメリカで放送されたTV番組「In His Life: The John Lennon Story」から

 翌週の後編、「そしてルーシーは宇宙を行く」では、2021年、NASAの小惑星探査機Lucyからのサブ・タイトルだった。このLucyは1974年、エチオピアで発見されたアウストラロピテクスの人骨の通称を由来としている。世紀の大発見当日、調査隊では「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンド」が繰り返し演奏されていた。この有名なエピソードは不思議なことに番組では紹介されていない。

 後編は「ソ連崩壊の原動力としてのビートルズ」に偏向した編集になっていて、率直に言うと少し残念な印象を受けた。
 誤解を恐れずに言う。私はジョン・レノンを尊敬しているが、彼は決して生来の人格者だったわけではない。清濁併せもった生身の「人間」だった。
 ビートルズの社会現象が人類の歴史に与えた影響は、どんなに評価しても評価し過ぎることはない。そのことに異存はない。しかし、神格化されるビートルズ、それを一番苦々しく思っているのは、天国のジョン・レノンかもしれない。

 最後に、ウクライナの平和を願って

The Ukraine girls really knock me out. They leave the west behind.
僕はホントにウクライナっ娘に参ってしまうんだ。西側の娘なんて目じゃないよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?