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データで人間は説得できないらしい


これは「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」の読書ログ(1章)です

なるほどねーって読んでてもわりとすぐに忘れてしまうので、「誰かに話す」+「noteに書く」で、記憶として定着するのかやってみようという実験です

おもしろポイント

「自分が正しくて相手が間違っている」ことを示す攻撃材料を突き付けたくなるのが人間の本能
 → 認知バイアスもたくさん書いてあるけど、そもそも人って〇〇なんですよって情報も覚えておきたい。自分もこの本能あてはまるし、そういう人をたくさんみてきた。

情報や論理を優先したアプローチは、感情という人間の中核にあるものを蔑ろにしている
 → 自分の頭が論理よりなので、心に焼き付ける文

おもしろ実験 

実験1:​これ分析してみ?の実験

説明
・参加者は2つのデータを分析するように言われる
・① スキンクリームの効能の研究:患者の肌を改善or悪化を判断する
・② 銃携帯禁止令の研究:新しい法律が犯罪を増加or減少させるかを判断
・ただし実際に使われるデータはスキンクリーム・銃規制の双方で全く同じ

結果

参加者はデータが全く同じであるにも関わらず、銃規制のデータとして見せられたものよりも、スキンクリームのデータとして渡されたものの方が正確に分析した。また、数学に強かった分析思考の持ち主は銃規制のデータを最も正確に分析できなかった

→ 事前のスタンスがある "事柄" について、人は正確に分析できない
→ 分析能力はバイアスを抑制できず、むしろ誤った方向にも強く発揮される 


実験2:不動産の価値あてゲーム

説明
・不動産の価値が100万ドル以上かどうかを予測し、賭けるゲーム
・特徴①:もう一人の参加者の回答をみることができる
・特徴②:もう一人の回答をみて賭け金を変更することができる

結果

自分の意見とユアンの回答が違ったとき、ミリーは意に介さず何もしなかった。彼は彼女と同じ学生であり、本物の不動産屋ではない。そう考えれば、ミリーの判断は賢明だ。ただしそれでは説明のつかないことがある。ユアンが同意見だったときミリーは賭け金をあげたのだ。言い換えるなら、ユアンがミリーと同じ判断を下したとき、彼の意見は投資額をあげるほど信頼のおけるものになった。しかし彼が別の見方をしたとき、その意見は価値がないとみなされた。

→ 人間は同意見であることときに、その情報に価値があるとみなす(それは情報としては無価値なものでも)


実験2+α:事前のスタンスと脳の動き

株式投資が失敗のデータを示すとき脳の反応は低下したが、新しいデータが自分の選択の正しさを裏付けたとき脳は活性化した

→ 自分の期待・信じたい未来と同じものを脳は喜び、失敗や期待外れのものをシャットアウトする


ここまでは書いてあった内容を覚えやすくまとめた。
本書で人間のバグを知った上で、どう対処するかが重要なので本の内容と読んで思ったことを書いておく。

How to Hack1

正しいデータをだすのではなく、「信じたいストーリー」と「それを強化できるデータ」を出す。たとえば小児用ワクチンの投与時に、副作用の自閉症を怖がっている親に「ワクチンは自閉症と無関係であるから打つべき」は説得しづらい。一方で「ワクチンは死に至る可能性がある病気を防ぐ」ことを伝え、おたふくや風疹に効果があるデータを示すのは相手のスタンスを変えやすい。
これはスタンスが真っ向から反対しているとき・目的が異なるときには使えないが、「子供の命を守る」などの共通目的があれば、現状不利な選択肢を強くすることはできる。

その意味では「どのデータで説得するか」よりも、その手前の「どのスタンスから・どの人(=考え方)が言うか」をコントロールするほうが重要というのは本文と離れるが読みながら感じたところ。

スタンスやキャラは、その場でつくれるデータに比べ "即時性" に弱さがある一方、信頼できるあの人なら自分と目的が合っているという関係値をベースにした "汎用性" に強みがある。会社で1on1が重視されている理由をここから考えてみると、広範囲の事柄を合意しながらやっていくチームメイトに対して "汎用性" のあるレイヤーをコントロールする行為にあたるので、理にかなってると思う。
「データの解釈は事前のスタンスに基づくので、共通目的のほうが大事」というのは、根回しが良し悪しあれど機能している現実からも納得感がある。

How to Hack2

同意見であることは積極的に示す、逆に同意見でないものは反対しても無駄。先に書いた「自分の期待・信じたい未来と同じものを脳は喜び、失敗や期待外れのものをシャットアウトする」性質から、日常取れるオプションは整理できる。

①同じ場合:同意見であることを示し、喜んでもらい、その行動を促す
②違う場合:より上位のレイヤーで同意見になるポイントを探し、合致する目的に沿って別の角度で行動を提案・議論する
③違う場合:NGケース:意見が異なることを表明し、説明する

ポイントは感覚的にやりたくなる③が無意味で、いかに①を探すゲームかみたいなところだと思う。
これは行動分析学の「強化」と同じパターンで、この本をまた読みたくなった。(なお、これをテーブルに置いてあるのをみた配偶者はすごい顔をしていたが、マネジメントロールだったときに救われた名著である)


まとめ

1章には2つの実験と1つの脳のデータがあった。この2つの実験を覚えられればこのnoteは成功。

人に話すのも覚えられるんだよなーっていうのはあるので、もし他の章の解説含めて直接聞きたいって方がいたらzoom等でお話しさせていただきたいので、twitterでDMいただけますと幸いです。
https://twitter.com/HirotoshiSakata

では次回は2章です


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