【Google I/O2021】アプリマーケターが知っておくべき最新アップデート情報まとめ GooglePlayConsole・GooglePlayStore
■ はじめに
こんにちは!Repro稲田(@HirotoInada)です!
今年もGoogleの開発者向けイベント"Google I/O"が開催されました。
今回から2回に渡って"Google I/O 2021"のアップデート情報を取り上げます。前半ではGooglePlayConsole・GooglePlayStoreの変更点を徹底解説!
ベンチマークレポート機能の大幅強化やストアポリシー変更などアプリマーケター必読の内容です。
尚、本内容はポッドキャスト"Mobile Update"でも取り上げているので併せてチェックしてもらえると嬉しいです🙇♂️
A. Google Play Console
A-1. ダッシュボードに表示するKPIをカスタマイズ可能に:
Google Play Consoleのダッシュボード上に表示するKPIをユーザーがカスタマイズできるようになりました。
旧来はカスタマイズもできなず、ダッシュボードに表示される指標も多かったため、結局どの指標を見ればいいのかが分からず活用が進んでいなかった方も多いのではないでしょうか?(僕もダッシュボード機能はほぼ使っていなかった)
新しく追加されたカスタマイズ機能では、合計20個まで指標を選択することが可能で、ダッシュボード以外の「コンバージョン分析」などの別セクションの情報もダッシュボード上に表示することが可能です。
また、追加するKPIには独自の名前をつけることができるのもポイントです。Google固有のKPI名は概して分かりにくいことが多いので、企業固有のKPI呼称にも対応可能なのは嬉しいですね。
加えて、ダッシュボードはアプリ単位ではなくログインしているユーザーアカウント単位で設定が可能です。これにより例えば、マネージャーは全地域の売り上げ・DL数推移を、UA担当のメンバーは各地域のDL数とインストール率をダッシュボードに追加するなど、各自が見るべき指標に絞ってダッシュボードをカスタマイズすることが可能になります。
A-2. エンゲージメント指標の拡充:
GooglePlayConsoleで確認可能な指標として新たに以下が追加されます。
■ 新たに追加されるエンゲージメント指標
- DAU/MAU比率
- 28日目復帰ユーザー数
- DAU・MAU成長率
- ARPDAU
- 平均購入金額
- 購入者あたり購入回数 / 購入率
DAU/MAU比率などのアプリの定着度を図る上で重要な指標をGooglePlayConsole公式で算出してもらえるのは非常にありがたいですね。
加えて、A-3で後述する「ベンチマーク機能」でも上記の新指標は追加されているので、自分のサービスカテゴリのベンチマークと比較することも可能です。
指標は概して各社固有の計算方法になりやすいので、統一された計算式による指標提供は参考にする上で非常に役に立つのではないでしょうか?
A-3. ベンチマーク機能が大幅強化:
昨年から既に、競合アプリと自社の各種数値を簡易的に比較可能な「Peer Group」機能は提供されていましたが、今回そのベンチマーク機能が大幅に強化されています。
今まではデベロッパーが指定した5つのアプリの中央値を算出するものでしたが、強化されたベンチマークレポートではカテゴリ全体のアプリを対象にした数値が表示されるようになり、より意味のあるベンチマークになっていると言えるでしょう。
特筆するべきポイントは以下2点です。
まず1点目は、自分のアプリカテゴリ以外の数値も閲覧可能な点です。今までは自分のカテゴリの一部のアプリのみとの比較が可能だったのでこれは大きな変更点です。
次に2点目は、カテゴリがアプリ機能による小カテゴリまでブレイクダウンできる点です。例えば、「仕事」カテゴリであれば小カテゴリとして「求人」のように、より自分のサービスに即した小カテゴリまで絞り込めるようになっています。同じファイナンスカテゴリでも「貯金アプリ」と「銀行アプリ」では大きくユーザー属性や行動も変わってくるので、これは非常に嬉しいポイントですね。
A-4. GooglePlay SDK Consoleの提供開始:
アプリに導入しているSDKの登録・管理が行えるコンソール機能が今年後半にリリース予定です。
Source:New tools to help you build safer apps on Google Play | Session
この機能では、アプリ事業者が利用SDKの統計情報をGoogleに提供することにオプトインすることで、「SDK Library」と呼ばれる各SDKに関する問題や統計情報がまとまったページが全デベロッパーに公開されます。
今後はSDK Consoleに登録・情報が収集されたSDKが対象に、SDK Library上でアプリ事業者がどのSDKがどのような問題を抱えているのかなどが確認できるようになり、アプリ事業者が最適なSDKを選択することができるように。
クラッシュやバグが多い不安定なSDKの導入をアプリ事業者は避けることができます。
また、SDKに関する最新アップデート情報やバグなどの速報もこのSDK Consoleを通じて事業者に通知がされるとのことです。
A-5. ポリシー違反とその解決方法がより明確に:
GooglePlayConsoleにポリシー違反の有無や違反の解消方法を伝えるセクションが新設されました。
GooglePlayConsoleの「ポリシーのステータス」セクションが新設され、ポリシー違反の有無と、有る場合はその該当箇所と解決方法が一箇所にまとめて表示されるようになっています。
Source:New tools to help you build safer apps on Google Play | Session
旧来は複数のチャネルでのポリシー違反通知管理が必要になり、且つリジェクト理由も不透明で分かりにくかったですが、今回の変更でポリシー違反の管理と解決が一箇所にまとまり透明性が向上する形になっています。
加えて、今後施行されるポリシー変更に関しても同セクションで通知がされるので、対応が必要なポリシー変更を見逃しにくくなります。
B. Google Play Store
B-1. メタデータポリシーの変更:
PlayStoreに公開するアプリのメタデータに関するポリシーも変更がされる予定です。変更内容は主に以下の3点です。
■ 改定予定のメタデータポリシー主要な変更内容
- タイトルは旧来の50文字から30文字制限に
- メタデータに、社会的証明・プロモーション要素を記載するのは禁止に
- 社会的証明「No.1」
- プロモーション「無料」「セール中」「いますぐダウンロード」
- 特にアプリアイコンにはユーザーの誤解に繋がるような文字やイラストは入れてはいけない
まず、タイトルの文字数ですがiOSのタイトルと同じように30文字制限に仕様が変更されます。簡単な説明文は依然80文字制限ですが、ファーストビューの要素は余計な装飾を減らしてスッキリさせるべきという意図でしょうか。
Source:Updated guidance to improve your app quality and discovery on Google Play
次に、社会的証明・プロモーション要素の記載禁止ですが、タイトルなどのテキストメタデータ・スクリーンショット、アイコンなどのビジュアルアセットで、当該の訴求を行うことが禁止されます。
Source:Updated guidance to improve your app quality and discovery on Google Play
Source:Updated guidance to improve your app quality and discovery on Google Play
上記で例として挙げられているのは、「No.1」や「トップアプリ」などの社会的証明・「セール」や「無料」などのプロモーション要素です。
これは直接的に文字で訴求するだけでなく、王冠マークなどで視覚的に訴求するのも禁止される点に注意です。
こちらも、iOSのメタデータポリシーに寄って行っている感じはしますが、どこまで厳密に審査がされるかは分からないです。
いずれにしても大きな変更点になるので、ポリシーの把握と対応は必要でしょう。
特に、マッチングアプリでは社会的証明訴求が頻繁にされていますし、ゲームアプリではDL数訴求もよくされるので、認識が必要な点です。(○周年はグレーゾーンなんだろうか🤔)
こちらのポリシー変更内容は、今年後半に施行予定です。
B-2. プライバシーセクションの拡充:
AppStoreと同じくGooglePlayStoreにも、そのアプリがどのような情報を収集しているかを記載するプライバシーセクションがアプリ詳細ページに追加される予定です。
Source:New safety section in Google Play will give transparency into how apps use data
こちらの内容を盛り込んだポリシー施行は21年の3Q・デベロッパーが情報を申請可能になるのは4Q・UIに反映されるのは22年の1Q・申請のデッドラインは22年2Qとなっています。
まだ実際の変更適用までは時間的猶予はありますが注視は必要でしょう。
B-3. Google App CampaignがデスクトップのGoogle検索・GDNでも出稿されるように:
2021年6月からAndroidアプリをデスクトップのGoogle検索広告・GDNに出稿できるようになっています。
Source:New ways to grow your app business and connect with users
GACを介して自動的に6月から配信がされるようになり、レポートでは「Computer」配下に分類されます。
GoogleアカウントがPCとスマホで連携されていることを前提に、デスクトップ上で広告をタップすると、デスクトップ版PlayStoreに遷移して、後ほどスマホに自動でダウンロードされる仕組みになっています。
Source:New ways to grow your app business and connect with users
個人的所感としては、デスクトップで広告を認識しても、直接スマホで検索するユーザーが多そうなので、一時的に広告パフォーマンスが悪化して見えそうだなと。
いずれにしても、GACではコンバージョンデータを元に自動で最適化がかけられるので、この面でそこまで掃けるイメージはないです。
把握しておく程度でいいのではないかと思っています。(が、もしこの面で効果がめちゃくちゃいいや、こういう使い方あるよなどあれば是非是非教えてくださいー!)
B-4. AndroidにもLATONが導入
厳密にはGoogleIOでの発表は行われませんでしたが、ひっそりと重大な変更がGoogleのサポートサイトで更新されておりました…!
昨年WWDC2020でAppleが広告識別子"IDFA"の取得をオプトイン制にする"App Tracking Transparency"、通称ATTを発表し、先日施行されたのは記憶に新しいですが、Googleも同様のプライバシー保護の方向に動きます。
今回Googleがサイレントで発表したのが、LAT(Limited Ad Tracking)の導入です。LATは追跡型広告の追跡をユーザーがオプトアウトできる機能を指し、LATを有効にしたユーザー、"LATON"状態のユーザーの広告識別子"ADID"は取得ができなくなります。
今後はオプトアウトされたユーザーのADIDは0が連続した文字列が返されるようになり、ADIDを用いたターゲティング広告の実施は不可能になります。
Source:Play Console Help Advertising ID
この変更は、まずは2021年後半にAndroid12で動作するアプリに対して有効に、その後は来年初旬に全アプリに適応される予定です。
尚、2021年7月には分析やフラウ度検知など特定の目的のための代替手段がGoogleから発表される予定ですので注視が必要と言えるでしょう。
一点、認識・注意が必要なのは、今回Googleが導入するのはあくまでも"LAT"でありユーザーが任意で有効にするかどうかを選択できる点です。
Appleが先日導入したATTはLATよりも進んだ段階にある広告識別子の取得オプトイン制であり、今回のGoogleのADIDのLAT導入は、ようやくiOS14.5以前のAppleにプライバシー保護が追いついた状態と言えるでしょう。
とは言え、iOS14.5以前のLATONユーザーの割合は平均20~30%程度であり、ゲームでは40%を超えるケースも多く存在します。LATONユーザーは通常のユーザーよりもARPPUが高いというデータも存在するため、Googleエコシステム側にどの程度影響を及ぼすかは注目が集まりそうです。
最後に
以上、"Google I/O 2021"のアップデート情報 Google Play Console・Google Play Store編でした!
個人的には、GooglePlayConsoleのベンチマーク機能の大幅拡充・Google Play Storeのメタデータポリシーの変更が注目が必要な大きなアップデート内容だったなと思います。
次回後半では、Firebase・AndroidOS編をお送りしますのでお楽しみに!
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また、今回のnoteの内容は、Repro伊藤直樹さん(@n_11o)と2人でやっているポッドキャスト「Mobile Update」でも解説しているのでそちらも併せてご視聴ください!
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