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#89 法的に認められた真相究明

私が被告人として闘った裁判は終わりました。
しかし、真実を証明する道が閉ざされたわけではありません。

数多くのことが、刑事裁判では明らかになっていませんでした。
悪あがきと言われようが構いません。

今度は民事裁判において、私から訴訟を提起しました。

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最高裁の上告棄却への異議申立棄却。
一般の刑事事件であれば、これで終わり。
しかし、私は上告棄却の記者会見で、
贈賄供述者に対して、虚偽供述の不法行為の責任を問う民事訴訟を提起する方針を明らかにしました。
「潔白の訴えは、今後も決して諦めません」

私の方針に対して、大変有り難いことに、引き続き弁護団の先生方は同意してくださいました。
一審から事件の詳細をご理解いただき、何度も裁判所へ傍聴に足を運んでいただいた元裁判官の森炎弁護士。ここから新たに弁護団に加わっていただけることになりました。

2018年3月22日。虚偽の贈賄供述を行った中森氏と、控訴審での証人尋問を妨害する行為を行ったN弁護士に対して損害賠償を求める民事訴訟を提起しました。

「刑事事件の判決が確定したのだから、もう諦めろ」
「裁判を引きずるイメージは良くない。いい加減、区切りをつけたらどうか」
私に批判的な人ではなく、支援者からもこういった声が上がりました。

正直驚きもありながら、
(あまりにも酷い事件の詳細、理不尽な裁判の内容を、知らないのではないか?)
そう思わざるを得ませんでした。

刑事訴訟、一審裁判では数々の証人尋問。中森氏にいたっては再度の証人尋問が行われた上で"贈賄証言は信用できない"とされて無罪判決。
一転して、書面だけで"贈賄供述は信用できる"として控訴審は逆転有罪判決。
判断が分かれました。

そして、上告審は「上告理由に当たらない」として上告を棄却。事件の中身については、取り上げることさえなく、収賄の事実の有無についても、贈賄証言の信用性についても判断は示されませんでした。
民事裁判では、丁寧な裁きが行われるのではないか。更なる主張立証が尽くされ、公正な審理が行われれば、新たな真実や、事件の詳細が明らかになる。そうなれば、贈賄証言が虚偽だと認定される可能性は十分にあると考えました。

また、<#76 危険な検察官控訴 >で、紹介しましたように、控訴審では裁判官が職権で、証人テストが行われていない状態での中森氏の証人尋問が行われるはずでした。しかし、不可解な判決書の差し入れが行われたことにより、裁判所も認める通り、真相解明ができなくなってしまいました。
真相解明を目前に、いかなる経緯で、いかなる目的で判決書の差し入れが行われたのか、その点の真相解明も、今回の民事訴訟の重要な目的でした。

その他にも、郷原弁護士のブログに詳細が書かれています。
一部を引用すると、

一審では、犯罪の成否について複数の争点がある場合、そのうちの一つでも検察官の主張が認められないと、無罪となる。控訴審では、一審判決が検察官の主張を否定した争点について審理し、もし、控訴審裁判所が、その争点について一審の判断を覆した場合、一審判決では判断されなかった他の争点についてどのように判断するかは、控訴審裁判所の自由になってしまう。他の争点について弁護人側に反論の機会が全く与えられることなく、一方的に有罪方向の判断が行われ、「逆転有罪」に至ったのだ。

民事裁判を起こすことは、刑事裁判の蒸し返しではないかという声もあります。しかし、制度上、民事訴訟は刑事訴訟とは別。独立したものです。

法的に認められた唯一と呼べる真相究明の機会。更なる事実解明の先には"再審"への道筋も見つけていきたいと考えていました。

【再審】
既に裁判で確定した判決について、その裁判に欠陥があるなど一定の要件を満たす重大な理由がある場合に、裁判所が再審理を行うこと。

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