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ゲイ大学生の片思いと失恋 #11

大学生になり、初恋と失恋を経験して

まだその彼への思いを引きずっていないわけではなかったですが、彼への未練を断ち切るためにも新しい恋をしたいという気持ちが強かったです。

そして、僕はまた恋をします。

SNSを通じて知り合った人と会うことになりました。

自分は、大学3年生。彼は大学4年生。
学部は違いましたが、同じ大学の先輩でした。


SNS上では、お互い顔写真を公開していなかったのでメッセージで写真を交換してから会いました。

写真の印象では、ガッチリしていて、体格良さそうな、爽やかな年上のお兄さん。実際に会ってみても同じ印象でした。

むしろ、写真よりもかっこいい人が来ました。

年齢は一つしか変わらないのに彼は自分なんかよりもとても大人びて見えました。

その日は、宅飲みをしようという話だったので

彼の家の近くのスーパーで待ち合わせをして、スーパーで買い出しをして

彼の家に行きました。



缶チューハイを飲みながらお互いのこれまでのことなど、色々なことを話しました。


彼は、自分の他には一人しかゲイの人と会ったことがなくて
その初めて会った人のことを好きになった。その人は10歳も年上で、魅力的な人だったこと。そしてその人に告白して、振られてしまったこと。

最近まで、2年付き合っていた彼女がいたが実際にゲイの人に会ってその人のことが好きになって
自分のことをゲイだと自覚し、その彼女と別れたこと。


それ以外にも、大学のサークルのこと。アルバイトのことや卒業論文のこと。

話しが尽きることはありませんでした。


時間はあっという間に過ぎて、お互い眠くなってきた頃


「もう遅いし、よかったら泊まっていく?」


彼から優しい申し出がありました。

彼の言葉に甘えて、泊まらせてもらうことにしました。



彼の家には、来客用の寝具はなくて

ベッドを僕に譲り、自分は床で寝るというので

それは申し訳なく感じたので、僕が床で寝ると伝えたました。


彼も僕も、お互いにベッドを譲り合っていると


「じゃあ、もう一緒に寝ちゃう?」


と彼から折衷案の提案がありました。

僕に断る理由はなかったです。



シングルベッドで男二人。

ドキドキして眠れませんでした。


手と手が触れたりしていると、彼の方から僕の指に自分の指を絡めてきました。

そして、気づけば抱き合っていて…。



というような流れで行為を済ませ、一緒にシャワーを浴び
彼に腕枕をしてもらいそのまま眠りにつきました。



そして、朝目覚めて


彼の家を出ました。その日から、彼のことばかり考えるようになっていました。


自分は、もう彼に夢中で

連絡も毎日したいし、会えるなら頻繁に会いたい。そんな思いでしたが、彼は卒業論文のための研究が忙しくなかなか時間を合わせてもらうことができませんでした。

忙しいから、会えないのはしょうがないよな…

そんなふうに思いつつ、モヤモヤした時間が続きました。


そして彼と久しぶりに会えることになりました。

彼の家に、招かれました。


色んなことを期待していました。


彼に久しぶりに会えることが嬉しくて、彼と会う前日に髪を切って新しく買った服を着て

少しでも、彼の気を引きたくていつも以上におしゃれをして彼に会いに行きました。



「言ってなかったんだけど、今日知り合いも誘ってるんだ。大丈夫だった?」



待ち合わせ場所に着いたときの彼の第一声でした。



知り合いって誰?


今日は、僕と二人じゃないの?


なんで事前に言ってくれなかったの?


色々な疑問が自分の頭の中で浮かびました。

久しぶりに好意を寄せている彼と二人きりで、彼の家で会えることが嬉しかったし

それを期待して今日、待ち合わせ場所に来たのに

出鼻をくじかれたような感覚でした。


本当は、大丈夫なんかじゃなかったけどそんなこと言えなくて

彼の申し出を受け入れて、平然を装うことで必死でした。


彼と彼の家の近所のスーパーで買い出しをして彼の家に向かいました。


彼の知り合いという人は社会人で、仕事終わりに来るということで

早めに集まった彼と僕は二人で先に飲み始めていました。

しばらくすると彼の知り合いという人が、やってきました。


彼と、その彼の知り合いという人はかなり親しげでした

彼は躊躇することなく、その人のすぐ隣に座り

近い距離で、僕の存在なんかあるのかないのか分からないくらいに

二人は楽しそうに談笑していました。

完全に僕は、二人の蚊帳の外でした。


とても悲しい気持ちになったのを覚えています。


しばらくすると、彼から




「ひろトくん、そろそろ遅いし帰る?」





と聞かれました。



なんとなく察しました。


あ、僕ここにいちゃダメなんだな。



「うん、そうやね。そろそろ帰ろうかな」



僕は、二つ返事で彼の申し出を受け入れ

その場から逃げるように帰路に就きました。




帰り道、自然と涙がじんわりと出てきました。




少しでも、期待していた自分がバカみたいでした。



髪も切って、普段よりおしゃれして

彼によく思ってもらいたいなって思っていたけど



彼にとって僕は、恋愛の対象ではなかったのだと気付かされました。

彼が知り合いだと紹介した、あの人は僕とは全然違いました。

ガッチリしていて、髪もすごく短くて、ヒゲも生やしていて男らしい感じでした。





彼は、こういう人が好きだったんだ。



とうてい自分なんかじゃ、最初っから無理だったんだ。







それから、もう彼と僕は会うことはありませんでした。

彼に連絡をしても、彼からの返信もなく、僕にはこの恋を諦める以外の選択肢ば残されていませんでした。

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