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レペゼン自分

「私はスペイン語を話しません。」

この町の人種構成の役6割は白人で、次に大きな割合を占めるのがヒスパニック系の3割となる。次に黒人•アフリカ系、ノンヒスパニック系などが続くが、小さな街なので体感としては白人比率が8割くらいに感じる。

昨年は仕事終わりにESLで英語の授業を取っていたが、クラスメートの9割8分はヒスパニック系だった。多くはメキシコから来ていて、昼は農業や飲食店での仕事に従事しながら、夜は英語を学ぶ。属するコミュニティや生活スタイルによって街の表情ががらっと変わる。

アジア系も2%くらいいることになっている。週末に観光客的な雰囲気の人をちらほら見かけるが、ほんとにそんなに住んでる?と思ってしまう。普段ほとんどお目にかからない。

冒頭のことばは、カフェのお姉さんに白人のおじいさんがカタコトのスペイン語でオーダーしようとした時の反応。じいさんは一瞬理解出来なかったのか、スペイン語を止めようとしない。「私はスペイン語を話しません。夏は日焼けで黒くなるけど、私はスペイン語を話しません。」とお姉さんは返しつつ、淡々と注文は捌く。じいさんはバツが悪そうにコーヒーを受け取りどこかへ行ってしまった。無意識のラベリングとルッキズムに抗う見事な切り返しだったように思う。

言ってる方は悪意なんか無いのだろうけど、私も一度お店でシェイシェイって言われたことがあったなあ。曖昧にして終わったが、マイノリティであればあるほど自分の立場を明確にしないと自分の存在が消えてしまう。些細なことでも自己を表明して自我を保つのが大切。店員さんの毅然とした態度をみて思った。自分を代弁してくれる人など誰もいないのだから。

この街の圧倒的多数派に対する若者の美しい切り返し。この毅然とした対応は、気持ちよさそうに退屈なうんちくや無意味な説教をダラダラとかましてくる上司なんかへもかなり有効なはず。「私はいつも暇そうに見えて実際結構暇なんですが、あなたの暇潰しに付き合って私の暇を浪費できるほど暇ではないんです」的なことを言ってみたいな。次元は限りなく低いのだけど。

暇潰しの昼下がり。自戒を込めてコーヒーをすすった。


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