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作品紹介「Cell Sheet」

突然ですが、「細胞を培養」したことありますか?

細胞と言っても植物細胞から動物細胞まで様々な細胞があります。
私は主にマウスとヒトのがん細胞の培養を行いながら研究を行なっていました。(研究の)世界的にとても有名なHeLa細胞など毎日のように扱っていました。

細胞は主にプラスチック製のシャーレの中に液体の栄養豊富な液体培地を入れて、その中で培養していきます。
がん細胞なので1日くらいでほぼ2倍に増えます。
1個の細胞が2個に、2個の細胞が4個に、4個の細胞が8個に。。。
あっという間に増えます。

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細胞を培養する際は、”何個シャーレに入れるか?”を自分で数えて調整して入れますが、シャーレ内の底面は限られているので、シャーレに入れる細胞の数を間違えたり、タイミングを見誤るとギュウギュウに増えます。
もうパンパンです。まるで石畳のようです。

もうこれ以上増えることができない状態を100%コンフルエント(Confluent)といいます。
もう栄養も酸素も足りなくなり始め、pHも傾き始め、
細胞自身が代謝物や老廃物を出すのでシャーレ内の環境は最悪です。

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そして、
びっしりと生えた細胞はシート状にシャーレから剥がれ、液体培地の中でふわりと舞うことがあります。
底面にくっついて増殖していた細胞が、剥がれてしまうのです。

細胞培養としては、通常は失敗。
でもそれがちょっと美しかったりしました。

そういうイメージの作品、“Cell Sheet” です。

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