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なぜ7年もかけて娘に経済の本を書いたのか 『おカネの教室』あとがき公開

以下の文章は書籍版『おカネの教室』のあとがき全文です。
第1章、第2章と本文が公開済みですので、そちらのリンクは最後に付けておきます。3月1日までKindle版が半額セールになっているので、そちらのリンクも。
現在高校生、とある長女は大学1年生となり、先日、成人いたしました。
タイトル画像は残り数十枚となった特製しおりです。レアもの?

あとがき

 本作はもともと、著者の家庭内の回覧読みものでした。
 現在高校生の長女が小学5年だった頃に連載を開始。数年後に次女が読者に加わり、ずっとこの二人だけを相手に書き続けてきたものです。今は三女も楽しんでいます。

 経済やお金の仕組みがわかる、楽しい読み物を探したのですが、しっくりくる本がみつからず、いっそ自分で書いてしまおう、と思ったのが運の尽き。2~3か月の予定だった連載は、長期休載を挟んで延びに延び、結局、簡潔に7年もかかってしまいました。

 金融・経済系学園ドラマ(?)という珍妙なスタイルは、飽きっぽい輪が娘たちに読ませるための方策でした。「そろばん勘定クラブ」の一員になったつもりで読み進むと、お金や世の中のカラクリがストンと落ちる、という試みが成功しているかは、読者の判断に委ねます。

 日本には、多少薄れたとはいえ、「お金は汚いモノ」「金に執着するのは卑しい」といった偏見が根強くあります。経済や金融の話は、ややこしそうだからご遠慮願いたい、という人も少なくないように思います。

 でも、お金の話は、汚くもなければ、実はそう難しくもなく、大切で、何より面白いのです。本書が、大人に読者には経済を見つめ直すきっかけに、若い人たちにとってはお金の不思議さや、働くことの意味を考える入口になれば幸いです。

 ひと足先に個人出版したKindle版をご覧になった読者の皆様へ。
 今回の出版にあたり、「よりわかりやすく」を追求して全面的に改稿しました。Kindle版では小学生だったサッチョウさんとビャッコさんには、読者からの「こんな賢い小学生、ありえない!」という多数のご指摘を受け止めまして、中学校に「進学」してもらいました。この機会にぜひ、愉快な3人組の知的冒険にいま一度、お付き合い願えればと存じます。

 著者の本業は新聞記者です。20年ほど、株式や債券などのマーケットや金融業界、国際ニュースの取材や編集に携わってきました。その間に考え続けてきたことが本作に反映されていますが、内容は記者としての業務や所属する会社とは一切関係ないことを付記いたします。

 最後に『おカネの教室』というタイトルと、男の子と女の子とちょっと変な先生の講義風景という舞台設定は、哲学者の野矢茂樹先生の御著書『無限論の教室』から拝借しています。何度も読み返した愛読書で、いつか自分もこんな愉快な読み物を書いてみたい、と思い続けてきたことも、本書が生まれた理由の一つでした。この場を借りてお礼申し上げます。

2018年2月 ロンドンの自宅にて  高井浩章

↓ セール中(3月1日まで)のKindle版のリンクです。
試し読みはこちらから。

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