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自分で作る現像液:Kodak D-23

現像液は自分で作るのがオススメです。今回は、Kodak D-23を作ってみました。たった2つの薬剤で作れてしまう簡単現像液。コントラストがやさしい現像液です。

動画もあわせてどうぞ:


ザ・標準現像液、Kodak D-76

標準現像液といえば、なんと言っても、Kodak D-76でしょう。Kodak D-76は作り方も公開されていて、自分で薬剤を調合して作ることができます。自分で現像液を作ることで、使いたい時に常に新鮮な現像液を作ることができます。期限切れを心配することがなくなります。

そしてKodak D-23

現在に至るまでいろいろな現像液が生み出されてきましたが、Kodak D-76の改良型、派生型の現像液もいろいろ生み出されてきました。このD-23もそのD-76から派生した現像液のひとつです。1920年代にD-76が現れてから20年後に発表になった現像液です。というわけで、今回は、D-76から派生したD-23という現像液を作ってみたいと思います。

Kodak D-23の特徴

Kodak D-23は、D-76派生の現像液ということで、D-76に似た描写をします。

D-76は、現像主薬としてメトールとハイドロキノンが含まれていました。(メトールとハイドロキノンを使った現像液は一般的にMQ現像液と呼ばれますね。)しかし、D-76には、調合されて数ヶ月たつとハイドロキノンが活性化してコントラストが変わってきてしまうという欠点がありました。そこで、ハイドロキノンを使うのをやめて、メトールだけ使うことで、コントラストが変わってしまう問題を解決したのが、D-23です。

Kodak Reference Bookには、「ローコントラスト(軟調)な現像液」、Kodak Chemicals Formulaeには、「微粒子現像液」、「シンプルな配合のソフトワーキングな現像液」と説明があります。

D-23は、いろいろな風景写真家が使ってきた現像液です。アメリカの偉大な写真家アンセル・アダムスも愛した現像液と言われています。例えば、Moonrise, Hernandez, New Mexicoというアンセル・アダムスの写真はD-23で現像されたことで有名です。

自分で作るのが面倒という人は、Photographer's Formulary製のパッケージ版のD-23も買うこともできます。B&Hや、Free Style Photoで手にいれることができます。

材料

材料は以下の通り。D-76からいくつかの薬剤を省略し、使う薬剤はたった2つだけになっています。

作り方

作り方は簡単です。

1. メトール7.5gと無水亜硫酸ソーダ(無水亜硫酸ナトリウム)100gを用意します。

2. 55℃の温水750mlをビーカーに入れて、あらかじめ無水亜硫酸ソーダ100gからスプーン1杯分だけ投入、攪拌します。

3. 無水亜硫酸ソーダが完全に溶けたら、メトールを投入、攪拌します。

4. メトールが完全に溶けたら、残りの無水亜硫酸ソーダを投入、攪拌します。

5. 冷水を現像液が1000mlになるまで注ぎます。

6. これで1000mlのD-23の原液の出来上がりです。

撮影と現像

ということで何枚か適当に撮影してきました。
カメラは、Leica M2、レンズはSummicron 5cm f/2.0 沈胴です。

フィルムは、Ilford FP4 PLUSを使いました、このフィルムはISO125なんですが、EI 50として撮影しました。1と1/3段低いフィルム感度の設定です。僕の環境では、この方がシャドウの描写が良いようです。

現像は、1:1の希釈、9分で、行いました。

現像液投入
乾燥中

撮れた写真

まとめ

というわけで今回はKodak D-23を見てみました。
D-23は、D-76を元に作られたというだけあって、D-76の写り(軟調微粒子現像液という特徴)を継承しているように感じます。僕の環境では、Ilford FP4 PLUSとの組み合わせでは、フィルム感度は1段くらい低めにしたほうが、シャドウがしっかりでるようでした。

シンプルで簡単に作れる現像液D-23は、三脚を使った風景写真などにおすすめかと思いました。


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