500冊くらい自炊したのでノウハウをまとめてみた【裁断・スキャン編】

はじめに

タイトル通りなのですが,自炊の備忘録としてノウハウ,感想,失敗談をまとめます。
結論としては28時間で500冊(このうち100冊くらいはジャーナルです),容量は13GBくらいでした。かかった時間については,PDFの更新時間から適当に計算したのであくまで参考値です。

置かれていた状況

こんな状況でした。

・積読がはかどり,ついに研究室の本棚から本があふれてしまった。
・PCの保存容量にはかなり余裕がある。
・自炊代行の利用は法に触れるので自炊を決意。

購入したもの

インターネットでよく紹介されている下記の2つの機材を使いました。

スキャンの設定

色々と試行錯誤したのですが,結局下記の設定に落ち着きました。ScanSnapは複数の設定を保存することができるので「自炊(グレー)」と,カラーモード以外は同じの「自炊(カラー)」の2つの設定を作成しました。下記のスクショは「自炊(グレー)」の設定です。

あと,文字検索を可能にしたかったので「詳細設定」から「検索可能なPDFにします」にチェックを入れています。これにチェックを入れると読み込み速度も下がるようなのですが,あまり気にならず許容範囲内でした。

以下は設定の理由です。

■原稿種判別
ScanSnapは自動で原稿種を判別してくれるのですが,「写真」とかの設定でスキャンしてもらっては困るので「すべての原稿を文書として読み取ります」にしました。


スキャン設定
カラーモード:グレー

図表は「モノクロ」だとちょっと読みづらかったので「グレー」にしました。ただし「付箋が貼ってある本」や「二色刷り/フルカラーの本」の場合は「カラー」でスキャンしました。

読み取り面:両面
白紙は自動的に削除してくれます。ただ,たまに表紙も削除してくれやがりますので,不安な人は「詳細設定」→「スキャン」の「白紙ページを自動的に削除します」にチェックを入れるとよいと思います。

画質:スーパーファイン
ファイン」を推奨しているブログが多かったのですが,容量に余裕があったので「スーパーファイン」にしました。「エクセレント」にしてもよかったのですが,スキャンのスピードが極端に遅くなってしまうのでやめました。

向き:180度回転(右/左とじ)
私は100均の半透明の付箋を使って読むようにしているので,読んだ本の天には付箋が生えています。このため,デフォルトの向きで原稿を入れると給紙口に付箋があたってしまうので「180度反転(右/左とじ)」にしました。「自動」でもいけるかと思いきや,「逆に考えるんだ」みたいに表紙や扉絵がたまに反転してしまったのでやめました。

ファイル形式:PDF
これは説明不要ですね。

フィード:継続スキャン
分割してスキャンすることがほとんどだったので,「継続スキャン」にしました。

アプリケーション
連携アプリケーション:

ファイルに名前をつけるので「フォルダに保存」にしました。

ファイル名

ScanSnap ix600 には便利な機能があって,タイトルを読み取って自動でつけてくれます(「yyyymmdd_タイトル」みたいな感じです)。おしゃれな表紙の本の場合はうまくいきませんでしたが,シンプルな表紙の本だと結構うまく読み取ってくれました。ファイル名をAPAスタイルで入力することも考えたのですが,スキャンしながらだと入力が忙しくて諦めました。結局,数字が入ると視認性が下がってしまうように感じたため,シンプルにタイトルのみにしました。

作業フロー(自炊する前まで)

自炊するかどうかを決めるフローチャートは下記の通りです。結局「二度と読まない」と決意できない本が多く,そのほとんどをスキャンすることになりました。さらには,振り返ってみれば「めっちゃ読む」と「いつか読む」の境界が曖昧になっていた気がします。。。

自炊の手順

試行錯誤の果てにたどり着いたのが下記の手順です。結局,効率的に自炊するためには,原稿を重ねてスキャンさせないこと,原稿を詰まらせないことが何より重要ということがよくわかりました。データ分析と同じで,一番重要なのは「前処理」でした。具体的な手順は下記の通りです。

①本の裁断
カバーを外して本をセットします。この裁断機は赤色LEDで裁断部分を表示してくれる機能がついていますので,これを参考にしてバサッと裁断します(心の中で「矛の切れ 良し!」と唱えるとはかどります)。本を裁断することに最初は罪悪感があったのですが,こうしたツイートを見かけたことを思い出して,途中から気にならなくなりました。

②読み取る原稿の前処理
裁断した本をパラパラ漫画のようにザーッとめくって,中にしおり・はがき・帯などがないか確認し,あれば外します。裁断前にやってもいいのですが,裁断後の方がこの確認がしやすいです。これをしないとスキャンしたときに,しおりがウェーイしたりはがきがドヤったり原稿がアクロバティックに読み込まれたりするので要注意です。

③スキャンする原稿の抽出
裁断しても表紙と裏表紙は糊付けされたままのことが多いです。このまま読み込むと,ScanSnapが「原稿の重なり」を検出してしまって時間のロスになります。できるだけ早くスキャンするために,スキャンしなくてもよい原稿を取り除きます。スキャンする1枚目はそのままサムネイルになるので,グレーで読み込んだときに視認性が悪くなるような表紙なら,表紙を処分して中表紙を1枚目にします

④原稿のスキャン
ScanSnapに原稿をセットしてスキャンを開始します。今回裁断した本のほとんどは,1回では原稿が入りきりませんでした。1発でスキャンしようとしてすべての原稿をセットしても,うまく吸い込んでくれません。無理をせずに最初から分割でスキャンするのがポイントです。

問題がなければすんなり終わりますが,スキャン中に問題が発生したらスキャンが一旦止まります。「原稿の重なり」が検出されたら,最後に読み込んだ原稿が表示されますので,それを見ながら重なって読み込んだ原稿を削除するかどうかを選んで,スキャンを再開します。

⑤スキャンした原稿の確認
スキャン中に前にスキャンした原稿に問題がないか確認します。表紙がうまく読み込めていたら基本大丈夫です。

⑥ファイル名の入力
スキャンが終了したら,ファイル名の入力画面が出てきますので,本のタイトル名にして「保存」をクリックすれば完了です。

失敗したこと

自炊中に失敗したことは下記の通りです。自炊される皆様はくれぐれもご注意ください。

■本のホチキスの針を裁断してしまった
自炊2日目で早速やらかした案件がこちらです。完全に不注意だったのですが,昔の本は糊付けだけでなくホチキスで留めていることがあります。これに気づかず,裁断機の刃でホチキスの針を噛んでしまって,刃が少しだけ刃こぼれしてしまいました。幸いなことに作業工程には影響がなかったので,そのまま作業を続けることができました。心が折れそうになりましたので,昔の本を自炊するときにはくれぐれもご注意ください。

■付箋が原稿同士をくっつけてしまっていて,原稿を重なって読み取ってしまうことが多かった
一番多かったのがこれです。100均で売られている付箋ですが,少し古くなっていると糊が少し溶けてしまっていて,裏面だけでなく表面にも粘着力が残ってしまっていることがありました。このため,原稿同士がくっついてしまって,重なって読み取ることがありました。100均の付箋を使っている方はご注意ください。あまりにひどいと給紙部分のローラーに張り付きます。やめてほしい。

■スキャンのミスに気がついたけど,その原稿がどこにいったのかわからなくなってしまった
「あれ,あの本の表紙が読み込まれていない・・・」みたいなことがありました。これは白紙ページを自動削除にしなければ防げるケースでした。白紙のページが入ることが嫌だったのですが,今思えばなぜ嫌だったのか不明です。謎。
あるいは「ちゃんとスキャンされたかを確認してから原稿を処分する」という手順を入れても防げます。

おわりに

今回の自炊は,これまでに自分が手にしてきたすべての本を,①本として残すか,②データにして残すか,③完全に処分するかを判断する作業となりました。

自炊作業中には懐かしい本がたくさん見つかりました。ページをパラパラとめくってみると「そこに付箋張るんかい」みたいな箇所もあり,その当時考えていたこと,ハマった思想・概念などが蘇ってきて,昔の自分を振り返るよい機会となりました。裁断してしまいましたが,やはり本はいいですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。
次回は「管理編」の予定です。期待せずにお待ちください。

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