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7,000万ドル資金調達のデジタルフォワードなstir-fryチェーン「Honeygrow」

目的

  • 店頭注文をKIOSKのみに限定している唯一のファストカジュアルチェーンで、店頭体験を深堀調査。

  • CRISPとデジタルチャネルの使い方や戦略が表面的には似ているため、KIOSKの意義や、デジタル化された店舗での店頭体験をどうよくできるかのヒントを探す(もしくは反面教師としてCRISPでやらないべきことを探す)

訪問日
2022/04/09 Honeygrow, Brooklyn (NY) at 12:00PM
2022/04/12 Honeygrow, 110 S 16th St. at 11:45AM
2022/04/12 Honeygrow, 15 S 11th St. at 12:00PM
2022/04/12 Honeygrow, Aramingo Ave. at 1:30PM
2022/04/12 Honeygrow, Temple U. at 3:00PM
2022/04/12 Honeygrow, Cynwyd at 4:00PM
2022/04/12 Honeygrow, Wynnewood at 5:00PM
2022/04/12 Honeygrow, Penn U. at 6:00PM

概要

  • フィラデルフィアで2012年に創業した stir-fry(炒め) とサラダのファストカジュアルチェーン。フィラデルフィアというマイナー都市発祥ということもあり、日本では知ってる人は誰もいないんじゃないかと言うくらいのダークホース。面白いチェーンなのでぜひみんなに知ってもらいたい。

  • 不動産会社勤務だった創業者(Justin Rosenberg)が Apple Store や ChipotleやChick-fill-a の坪売上の凄さをみて、同時期に自分の体を悪くした時に野菜を wok で炒めて食べてたら健康になったことから創業。

  • フィラデルフィア、メリーランド、ニュージャージーあたりのエリアに25店舗くらい展開。累計で7,000万ドルをPEなどから調達済み。現状シリーズF(Miller Investment / Brook Lenfest (個人)。ただ sweetgreen の余波で全体的に健康志向ファストカジュアルチェーンのバリュエーションが上がりすぎてる気も・・ 🤔

  • 2015年時点でAUV(店舗平均年商)200万ドル。

Honeygrow units average more than $2 million in sales, with an average check between $10 and $11. Its ideal footprint is about 2,000 square feet to 2,200 square feet.

  • Chiptole スタイルのファストカジュアルで全店で SELF KIOSKを使っている唯一のチェーン。店頭では有人レジで注文できないなど、デジタルチャネルのあり方はCRISPにかなり似ている。2017年ごろにCRISPのKIOSKを導入するタイミングではここと Shake Shack の SELF KIOSK を参考にした。デジタルに対しての考え方も、KIOSKを本来の思想どおりにうまく運営に実装しきれてないところもCRISPに近い。

  • 2017年の調達後にシカゴ展開、NYに minigrow というスモールパッケージコンセプトを展開したが両方とも失敗。一時的にセットバック。ただその後オペレーション改善や組織のリストラクチャーなどもして、コロナでも現状の業績は創業以来最も良いとのこと。

結論(学んだこと)

  • KIOSK店舗では有人レジ店舗よりも、顧客入店時の挨拶がめちゃくちゃ体験に影響を与えるので特に重要
    顧客入店時の挨拶がないと、入店後にセルフKIOSKに行きそこでもスタッフとの会話がないため、普通の店に比べて「悪い接客」と思われるリスクが高い。通常の有人レジの店であれば仮に挨拶がなくても注文時に会話をするのでそこでリカバリーできる。KIOSK注文の場合は、提供までリカバリーできない。もしくはAPPピックアップの場合は完全にスタッフに無視されたまま体験が終わってしまう。CRISPも入店挨拶についてはKIOSKがあるからこそより大事なので、ここは強化点でしっかり対応することで全体の顧客満足度が上がると思われる

  • 商品提供を手渡しにすることで顧客体験をあげることができる
    これも上記と関係しているが、Starbucks Pickup のレポートでも書いたが、APPのピックアップもKIOSK注文も、商品を手渡しするとスタッフに対する印象が一気に良くなる。特にイートインの時には席まで持って行ってあげると言ったちょっとした当たり前のことを属人的にできる人がやるのではなく仕組みやルールとしてエクセキュートできるのが重要(それに合わせてオペレーションやレイアウトも設計する)。逆にUberなどのデリバリー商品はエンドユーザである顧客とスタッフで直接タッチポイントがないので棚に置いちゃってOK。
    あえて全ての店頭に来店するお客さまに対して、スタッフによるヒューマンタッチが絶対に最低でも1回は発生するフローを含めた方が良さげ。デジタル化を進めるからこそ、ここは効率を下げてもこれはやるべき。いまはCRISPも誰ともコミュニケーションなしで帰れちゃうからこれは効率的なようで実は中長期的にはロイヤルティ下がるのでは(完全にノーコミュニケーションでいい人はデリバリーを使ってもらう)

  • 常連さんはKIOSKの方が便利で体験も良いけど、初心者はめちゃくちゃ戸惑って体験が悪くなるので初心者救済できるようなレイアウト/オペレーション設計が必要
    例えばスーパーの10点以下の買い物レーンみたいに、初心者KIOSKみたいなのを作って、そっちに言ってる人がいたらパートナーが積極的に声をかけるようにするなど。

  • デジタルを進める上で、実は店舗のレイアウトが店頭顧客体験の肝。
    めちゃくちゃ大事。レイアウト次第でスタッフがどう自然に動くかが決まってくる。これが不自然だとスタッフが無理しないといけなくて負荷が高まってしまい結果的に属人的になったりやりきれなくなる。Starbucks Pickup のレイアウトは非常に秀逸。

  • ヒマな時間帯にこそKIOSK店舗はアラが出やすい
    忙しいとなんとなくガヤガヤしてるし、スタッフから挨拶や声かけがなくてもお客さんもそこまで違和感を感じなかったり、忙しそうだからしょうがないかな、みたいになる傾向にあるが、ヒマな時間帯でKIOSKを使って困ってる時とかは「お前らヒマなくせになんで気づいてくれないの!?」となってしまう。ヒマな時間帯に「頑張って気づくように!」みたいなことだけ(それも必要)じゃなくて、でもすぐにスタッフが気づけるようなオペレーション/レイアウトにすることが重要。ヒマな時間に作業する場所を店内入口に近づけたりとか、スタッフが作業してる時の目線がお客さまの入店や退店に気付きやすそうな高さにするとか。

レポート

商品

  • stir-fry(炒め物)をカスタマイズして注文する体験自体はかなり楽しい。市場にも stir-fryコンセプトのファストカジュアルはあまりないのでそこが人気なのかも。でもこれ本当にヘルシーなのか?個人的には味も濃すぎるし全体的に雑でそんなに美味しくない、、けど日本の外食が美味しすぎるだけ説もある。

カスタムした sitr-fry。これは失敗だった・・
オススメのsigunature bowl。まぁまぁウマい。
  • 商品価格は $8 - $13 くらいで sweetgreen とかと比べるとちょっとだけ安い。

  • sirfry と salad の他にデザートがある。honeybar と言って好きなフルーツにホイップクリームとかメープルシロップとかチョコとかトッピングする、ヘルシー風なデザート。結構うまい

  • sweegreen も昔 sweetflow っていうフロヨーをやってたけど2014年に辞めたので、フロヨーは投資コストも結構あるけど、honeybar はフルーツだけなので投資コストも少ないからさほど売れてなくてもROI成立するのかも。

人(ピープル)

  • ニュージャージーの店は、日曜の昼ということもあったのか12時に入店した時はノーゲス。2時くらいまでいたがパラパラ入ってくる感じで超人気店!という感じではない。

  • honeygrowのどの店も「入店する客には絶対に挨拶するなよ!」という指示でも出てんのか、というくらい誰も気づいてくれない。アメリカって全部そんなもんだったっけ?と思って隣のスタバに入ったら入店してすぐにバリスタの人が気づいて挨拶してくれたので、このチェーンの問題みたいw。ただ、スタッフのレベルだけじゃなくて、KIOSKになってるから導線的にそもそも意識が入店客にいきづらい設計になっているのが課題。これCRISPも同じ課題あるよなぁ。。

空間(業態)

  • Panda Express と sweetgreen が合体してテクノロジーを強化した感じ。 デザインはsweetgreen ほどかっこよくなくて中途半端。厨房はレストランとファストカジュアルの間くらいでそこまで洗練されてない印象。

  • 厨房内に wok で炒めたりするオペレーションがあるが、店舗によってはそれがちゃんと見えないのでもったいない。ただオフィスエリアの店が多いから、そもそもみんな常連でもう見てる人そんないないよね、という前提なのかもしれない。デジタル化されてる店って混雑してる時に合わせて店舗や導線が設計されてることが多いので、暇な時にすごい空虚な感じに見えるのがデメリット。ここらへんはCRISPにもいえるけどもっと改善の余地がありそう。

デジタル

  • 前回2018年ごろに訪問した時と比べてそこまでデジタル体験は進化していない。ただ、ハードとソフト自体はアップデートしているようで以前は注文ステータスボードが客席にあったのが、SMS通知に変わってた(そこもCRISPと一緒)。

  • SMSの通知のテンション(高)と店舗のスタッフのテンション(低)が違いすぎて草。ただ、これCRISPでも言われたことあるな。。。

  • あと、KIOSKの端末のディスプレイが以前よりも大きくなって、ソフトウェアもアップデートしてる。やはり画面大きいのは良いなぁ。ChromeOSっぽい。

  • KIOSKはアプリのQRコードを読み込むか、電話番号を入力してログイン。会員登録をしないでゲスト購入もできる。QRは読みづらくて結構苦戦した。

  • CRISPとの違いとしてはKIOSKでもアプリのリワード(プロモ)が使えることと、アプリに登録されているクレカをKIOSKの画面上から選択してそのまま支払える(これはアプリQRスキャンの時のみと思われる)。

デザインはCRISPの圧勝でしょう(個人的感想)
  • バックエンドのシステムは olo で、これは wingstop と一緒。

  • 領収書メールが olo のドメインでくるあたり細部の詰めが甘いのが気になる。こういうところがイマイチ。

  • サードパーティーのシステムがいっぱい入ると、ここら辺のインテグレーションが大変そうだなぁ。。

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