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第27回定期勉強会

こんにちは😊
去る10月27日(金)に、第27回オンライン定期勉強会が行われました✨✨

今回は、羽野貴哉先生から、
「“福祉”からみた発達支援の役割」
というテーマで講義をしていただきました🥸✒️

今回の勉強会では、子どもの権利や福祉領域における発達支援について講義が行われました。

1. 福祉領域の発達支援を取り巻く環境

まず、福祉とは「幸福。公的扶助やサービスによる生活の安定、充足」や「国家によって国民に等しく保障されるべき安定した生活および社会環境」などと定義され、「幸福」と「公的なサービスによる生活の安定及びその環境」がキーワードとなります。
また、発達支援に関係がある条約として、「子どもの権利条約」「障害者権利条約」が挙げられます。
「子どもの権利条約」は子どもが権利をもつ主体であることを明確に示した条約であり、差別の禁止、子どもの最善の利益、生命・生存及び発達に対する権利、子どもの意見の尊重の4つの原則で表されます。
また、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利の4つの権利が定められています。
✅日本ユニセフ協会「子どもの権利条約」
https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig.html

「障害者権利条約」は障害者の尊厳、自律及び自立、差別されないこと、社会参加等を原則として規定し、障害者に保障されるべき個々の人権及び基本的自由について定めた条約です。
この条約では、前文および第1条で「障害」や「障害者」の定義が社会モデルの視点から示されています。
また、この条約の重要なポイントは「障害者の権利の保障」と「環境の整備(制度等)」が挙げられます。
これらの条約に関連して「インクルージョン」という概念が重要になります。
インクルージョンには、「包容」と「包摂」が混在して使用されており、
「包容」とは、障害者や武力紛争の被害など、特定の人々を想定し、差別されることなく、社会に受け入れられることを想定している文脈に使用されることが多いです。
「包摂」とは、障害者や武力紛争の被害者に限らず、個人が社会に受け入れられることを想定している文脈において使用されることが多いです。

2. 福祉領域における発達支援の基本理念

福祉領域における発達支援の基本理念は子どもを中心に、以下の4つのポイントが挙げられます。
・障害のある子ども本人の最善の利益の保障
・地域社会への参加・包容(インクルージョン)の推進と合理的配慮
・家族支援の重視
・障害のある子どもの地域社会への参加・包容(インクルージョン)を子育て支援において推進するための後方支援としての専門的役割

2-1. 障害のある子ども本人の最善の利益の保障について

子どもの権利条約では、
第12条で子どもの意見を表明する機会が確保
第2条で差別の禁止
第6条で子どもの最大限の発達保障
第31条で子どもの個々に適した余暇や遊び等を保障する権利

がそれぞれ保障されています。特に差別の禁止では、マイクロアグレッション(無意識な偏見や思い込みによる自覚なき差別)が起こりやすいため、差別をしていないか意識的に振り返る必要があると言われていました。

また、障害者権利条約では、
第7条 障害のある児童において、
1 障害のある児童が他の児童と平等にすべての人権及び基本的自由を完全に享有することを確保するためのすべての必要な措置をとる
2 障害のある児童に関するすべての措置をとるに当たっては、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
3 障害のある児童が、自己に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利並びにこの権利を実現するための障害及び年齢に適した支援を提供される権利を有することを確保する。
とされており、障害をもつ子どもの最善の利益が保障されることが示されています。
この利益の保障のためには、ICFの考え方やその中でも環境要因の重要性が述べられており、
・環境調整によって、できることを増やすこと
・発達や学習の保障

が重要であるとされていました。

2-2. 地域社会への参加・包容(インクルージョン)の推進と合理的配慮について

障害者権利条約では、
・障害を理由とするあらゆる差別の禁止(合理的配慮の不提供を含む)
 →障害のある子どもへの支援では、一人ひとりの障害や発達過程・特性に応じた合理的配慮を行う
・障害者の地域社会への参加・包容(インクルージョン)の促進
 →地域社会で生活する平等の権利の享受、地域社会への参加・包容の考え方
ことが示されています。

これらをまとめると、
・すべての子どもが共に成長できるようにしていく
・可能な限り、地域の保育、教育等の支援を受けられるようにしていく
・同年代の子どもとの仲間作りを図っていく

ことが重要であるとされていました。

2-3. 家族支援の重視について

家族システム論では、子どもは保護者や家庭生活から大きな影響を受け、家族は社会集団の最小単位とされています。
また、発達に問題を抱える子どもの子育ては様々なストレスがあり、
・子どもを認めること(障害受容)
・育て方がわからない(一般的な子育てとの違い)

などのストレスにより、子どものメンタル面も不安定になるといわれています。
家族のストレス緩和のためには、学習機会の保障エンパワメントの視点からの支援が必要といわれており、
そのために、
・家庭での学習機会の保障
・家族が子どもに向き合うゆとりと自信を回復すること

が重要とされていました。

以上をまとめると、
子ども本人の最善の利益を保障するために、家族支援や地域でのインクルージョンの推進が必要であるとされていました。

3. 支援方略

福祉での支援方略は本人支援、家族支援、地域への後方支援の3つに大別されます。
本人支援での基本的な考えは「権利の保障(発達や学習の支援)」であり、
・特性を理解した上で環境を調整することで「できること」を増やすこと
・自己決定支援のためのコミュニケーション支援
・5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)に沿って、年齢や障害の程度に応じた必要なスキルを習得すること
などが支援方略として挙げられました。

家族支援での基本的な考えは「子どもと家族のウェルビーイングの向上」であり、
・子どもの特性の理解
・ペアレントトレーニング
・相談(メンタルケア)
・レスパイト的な支援
などが支援方略として挙げられていました。

地域への後方支援での基本的な考えは「インクルージョンの促進」であり、
・子どもへの誤認識に対して、子どもの特性の理解
・合理的配慮
などが支援方略として挙げられていました。

今回の講義を通して、子どもの権利条約や障害者権利条約といった、障害をもつ子どもたちの権利に対する考え方は福祉に携わる人以外も知っておくべきであり、より深く勉強したいと思いました🙃🔥

今回も多くの方に参加していただくことができました!
参加していただいた皆様、お忙しい中ありがとうございました😆🙏

次回は11月15日(水)21:00〜
Movement lab ohanaの吉田 亜希穂先生に
「健康で楽しく子育てするために 〜産後ケアに関わる理学療法士から小児セラピストに伝えたいこと〜」
をテーマに講義していただく予定です🙋‍♂️

広島県近辺で活動している方で興味を持たれた方は、是非とも参加していただければと思いますのでよろしくお願いいたします🥺🤲

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