見出し画像

子どもの「見落とし」へのアプローチ

先生と同じように見えていない

以下の子どもたちは、「見ようとする範囲がせまい」ために生じる行動パターンです。小学1年の国語の本は「分かち書き」で記述されてますが、3cmから5cmくらいの長さで区切られています。(もちろん文節で区切られています)目から30cm離れている平面上の「3から5cmの幅」の範囲ならば、文字の形を認知できるのだと考えられます。(教科書の指導書の記述を見ると、文字を追うことを「眼球運動」というらしいです)

ここでいう「見ようとする範囲がせまい」と思われる行動をする子どもは、さらに狭く1から2cmの幅の穴から、ノートや黒板を覗いている状態の子どもだと置き換えて考えてあげることが大切だと思います。

  1. 椅子の上で正座・曲げた足の上に座っている

  2. 開いたノートの途中から字を書き始める

  3. 消しゴムがない

1は、ノートの真ん中を覗きこんだり、黒板とノートを交互に目で追いやすくしたりするために自分を少しでも近づける行動といえます。

2は、ノート全体が認知できていないとか、黒板に書かれている文字を記憶しておくことができず、覚えている間に書いておこう等の行動といえます。

3は、頻繁に見直して、書き直しするため、いつの間にか消しゴムがなくなってしまうことが多いようです。

筆者は、主に算数科の実践研究をしてきたので、「算数科子つまずきあるある」で「視覚的に認知できる範囲がせまい」事例を紹介したいと思います。

算数科つまずきあるある①
先 生「(鋭角のある四角形を指して)この形の名前は?」
子ども「三角形です!」
先 生「・・・・」
四角形の全体の形ではなく、先生が指した鋭角の部分に注目した結果のあるあるです。先生は、形を指し示すとき、形をなぞりながら指したり、形全体をぐるっと囲みながら指すことが大切です。

算数つまずきあるある②
先 生「(子どもの教科書の『12+4=』を指して)答えは?」
子ども「6」
先 生「・・・・」
計算ができないわけではありません。「2+4=」しか認知できていないのです。ここでは、すぐに「12たす・・でしょ」と教えるのではなく、どう認知させるかをアドバイスしなくてはいけません。「①の式を読んでみましょう」というと、子どもは「あっ。16だ。」と気づきます。この子どもの保護者から「計算ができなくて、本当に困っています。」と相談を受けたとき「直前の文字にしか注意がいかないので、全体を把握するために、『指さす・読む・計算したらもう一回確認で読む』を宿題をするとき、しばらくさせてみてください。」とお伝えしました。テストの点は、びっくりするぐらい上がりました。

アプローチのキーワードは3つ
教えるのではなく、気付かせるためのアプローチ
① 指さしてから話す(認知する範囲を確定)
② ゆっくり話す(認知する時間を確保)
③ 声に出して確認させる(見るだけではミスに気づきにくい)

次回は、「聞き逃し」へのアプローチについて語ります。

この記事が参加している募集