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アメリカの巨大エコノミー

ちょっと前になるだろうか。コロナ過になる前の事であろう。2019年前後であったことは確かだ。リーマン・ショックから10年が経過した。あれ以上の打撃はない。しかもアメリカ国内にあれだけ数のいる経済学者がだれも指摘できなかった。それでわたしはアメリカの経済のことが気になり、これからどうなっていくのかということを調べた。

調べていく過程においてどうも一つの国の事ばかりで何かしら理解が進まなかった。そこで日本の経済のことも調べてみた。経済の指標の中で経済力、つまり国の力を示す指標は国内総生産(GDP:Gross Domestic Product)である。日本では以前は経済企画庁というところが統計を出していた。しかしこれは推定値であって正確ではない。

そうではないにしても日本とアメリカはどのくらい経済力の差があるのか。そこが気になっていた。

エコノミストを読む会でアメリカのマクロ経済がとりあげられていた。記事によるとアメリカ経済はここ50年の間で最も好調であるという。懸念材料は少ない。2023年のGDPは3%成長と示した。悲観論があったなかで経済成長を達成しそうだ。また2024年第一四半期においても1%の成長が見込まれており、これは当初の予測の倍である。

失業率は25か月間4%以下という。これは完全失業率においてもほとんどの人が職に就いておりなんらかの収入があることをいう。2019年から8%近い経済成長を達成するだろう。これによりアンクル・サム(合衆国政府)の微笑んでいることだろう。税収が増えるからだ。

しかし悲観論もある。どういうことだろうか。それをこの文章で書いてみよう。わたしはどちらかというとアメリカの経済においては楽観視している。まず、その理由から述べてみよう。悲観論に行く前にちょっと寄り道である。

まず楽観している根拠はこうなる。国内総生産というのはかなり単純な言い方をするとこうなる。GDP=C+I+G。これは経済学部の大学生であればだれでも学ぶ。このGDPを構成する要素が伸びればいいわけだ。Cは消費のことをいう。一般の人や企業がお金を使ってくれればいい。アメリカは貯金をするよりも使う人たちが多い。それは人々がお金を使いたがり、ものやサービスを得る。お金遣いが荒いということもいえる。

それでもアメリカは消費大国といえる。次にIというのは民間投資のことをいう。主に企業が産業の発展に向けて先行投資をする。今後期待のかかる産業といえば気候変動対策や人工知能への投資といえよう。エネルギー産業の柱として自動車がある。そこではEV、つまり電気自動車への需要が高まるであろう。特にリチウムイオン電池への先行投資は進む。

日本では電気自動車に対する抵抗が強い。わたしはガソリン車でずっといくつもりであるけれども、アメリカ人は新しいものをすぐ買う傾向がある。

人工知能への投資はこれまでどおりつづく。NVideaやマイクロソフトといった巨大企業へお金が集まる。そうすると残ったのは政府であって、公共投資にどれだけお金を使えるのかであろう。

GDP=C+I+G。ここでちょっと見たいのはそれぞれの構成比はどうなっているかということだ。C(消費)はアメリカでは7割近くあるであろう。5割ということはない。つまりアメリカの経済の原動力はアメリカ人がどれだけ消費するかということ。その消費が強い需要を背景に、つまり、人々がお金を使ってモノやサービスを積極的に購入している。そのため消費がとても大きいという。これは楽観視できる安心材料だ。

次に民間投資。これも13%程度あるという。つまり金融やITといったところが人工知能をはじめとした新しい技術に投資をする。その割合と過去10年くらいの伸びをみれば楽観視できるかどうかがわかる。この民間投資においてもアメリカはとてもよい。まずそれを裏付ける一つの指標として株式市場のNYダウ指数を見るとよい。4万ドルに達しようという勢いである。そうなると企業には株式市場を通して持ち金(手元にあって自由に使える資金)が増える。そうなれば投資に向かう。

そうなると残りは政府が公共投資にどれだけお金を使うかが議論の的になる。ここまで消費(70%)と投資(13%)として実に83%がアメリカの経済を支えている。では公共投資はどのくらいあるのか。

調べてみると13%くらいであった。この13%という数字を見て楽観できるのか、それとも、悲観するのか。そこで話が割れたのである。わたしはアメリカは小さい政府を目指してきていると主張した。公共投資主導ではなく民間が経済を牽引すること。政府は小さければ小さいほど良い。

というのは公共投資というのは橋を作ったり道路を整備したりとインフラへの使途が多い。また戦争のための軍備増強。あるいは宇宙開発のためのNASA、アメリカ航空宇宙局への出費である。NASAがロケットを飛ばすのはいいであろう。それにより人々に夢が芽生えることがある。

悪い奴らをやっつけるためには陸軍の強化もやむをえないであろう。陸軍をはじめ、海軍、空軍、そして海兵隊への費用負担も増えよう。しかしこれらによって人々の暮らしが豊かになるわけではない。むしろ平和であればその費用は低いはずである。

政府が13%もの公共投資をしているはどうか。わたしは10%くらいであればなんら問題はないとしている。15%を超えているとよくない。20%でははっきりと悪い。悲観論に傾いていく。なぜだろうか。

それは国民の税負担が増えるためだ。なにも生活を豊かにすることに貢献しないにもかかわらず税金だけが増えていく。これは生活を苦しくする。例えば日本の自衛隊。台湾情勢により今後自衛隊を増強するという。わたしが計算したところでは国民ひとりあたりの税負担は毎年2万円増える。これが今後4年間に渡るという。

そういった税金による負担増ができない場合は、国の財政として借金をする。国債を発行する。中でも10年国債というのは中央銀行が発行できる債券(借金)であり、この利率によりインフレ(物価高)を調整する役割がある。しかし、借金は借金であってそれを返済するのは国民である。

中でも気にしたいのはこの債権の金利である。アメリカではその金利負担が8%程度だという。ちょっと微妙な数字である。わたしは10%を超えてくるとこれはたまったものではない。経済が過熱してしまい人々はまいってしまう。この8%というのも負担としてはちょっと重い気もしている。5%くらいであればいけるのではないか。

さて読者の大学生の皆さんはどうだろう。アメリカの経済に対して楽観的か悲観的か。そして日本経済はこれからどうなるだろう。手元に卒業後20年くらいになってどのくらい必要になるのだろうか。

わたしがコロナの前に日米の比較をしたときはこうだった。日本のGDPはアメリカの中西部地区のGDPに等しい。中西部というのはウィスコンシン州、イリノイ州、ミシガン州、そしてインディアナ州を合わせた地域をいう。知っている人はこれらの州の名前を聞いて何を思い浮かべるだろうか。

おそらくイリノイ州のシカゴくらいであろう。わたしが大学生のときにいたミシガン州。そこにあるデトロイトは車の町として有名である。しかし財政は破綻したことがあるのだ。

そして読書会で使った記事によればアメリカ経済に比べて日本の経済は10分の1程度であるという。30年前はアメリカの半分まで達した。ジャパン・アズ・ナンバー・ワンともいわれた。しかし30年を失った。

島国であって土地も限られている。国土はカリフォルニア州よりも小さい。しかも日本国民は消費は控える。将来のために。それにより家計貯蓄は過去最大の2140兆円にまで達した。借金をせず、少しだけ、慎ましく消費する。これが日本の消費の特徴だ。これはこれからも続くであろう。