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私的財産権 アルシアン

By Armen A.Alchian, Property Rights
cited from econlib.org

(著者はカリフォルニア大学ロサンゼルス校教授を務めた。彼の科学的貢献の多くは、私有財産権の経済学に関するものである。1914年カリフォルニア州フレスノ生まれ、2013年ロサンゼルスで亡くなる)
 資本主義経済体制にもっとも基本的に必要であり、また最も誤解されている概念は、財産権という強力な制度である。過去数十年間、合衆国と西欧の社会批評家たちは、”財産”権があまりにしばしば”人間”の諸権利より重視されており(take precendence over)、その結果、人々は不平等に扱われ、不平等な機会になっていると、不満を述べてきた。しかし財産権と人間の諸権利との批判されているpurporated競合conflictは幻想mirageである。財産権は人間の権利である。
 財産権の定義、配置、保護は、すべての社会が解決せねばならない、最も複雑で困難な組み合わせ問題の一つであり、また特定のやり方で(in some fashion)で解決されねばならない問題の一つである。”財産”権の社会批評家たちは、多くの部分についてこの権利の廃止を望んでいない。むしろ彼らはそれを私有から政府保有に転換することを望んでいる。ある公的所有権(あるいは同一のものである統制権)への転換は、経済をより望ましくeffectiveするが、別の転換はそうならない。財産権が廃止されたときには、はるかby far最悪の結果が生じている(コモンズ:共有財の悲劇を見よ)。
 財産権は、資源が政府あるいは個人に所有されるかいずれにせよ、いかに資源が使用されるかを決める排他的権利である。社会は所有権の所有者により選択された使用を承認している、政府の管理する力により、あるいは社会のオストラシズムによって。もし資源が政府により所有されているなら、その使用を決定する代理者は、定められた一定のルールのもとに機能しなければならない、合衆国においては、連邦議会あるいは執行代理機関executive agenciesによりその役割が付託される。
    私有財産権は資源の使用の決定に加えて、2つのそのほかの特徴attributesを有する。その一つが資源のサービス(訳注 生み出すもの)に対する排他的権利である。(中略)
 最後に私有財産権は、その権利のいかなる部分であれ、所有者が決定するどのような価格であれ、委託、貸出、売却する、交換あるいは贈与する権利を含んでいる。(中略)かくして私有財産権の3つの基礎的要素は、(1)資源の使用の選択についての排他的権利、(2)資源のサービスに対する排他的権利、(3)資源を相互に同意できる条件で交換する権利である。
 (中略)
 私有財産制度のもとで財産の市場価値は、自余の社会の選好と需要を反映している。所有者が誰であれ、資源の使用は、自余の公衆が最も価値がある使用法だと考えていることに影響される。(中略)
 私有財産権の範囲と程度は、人々が資源の統制を競争する仕方に根本的に影響する。(中略)
 弱められた私有財産権の極端な例が、”社会主義”と”共有されている”資源である。社会主義のもとでは政府から割当assignsを受けた政府の代理人が、資源に対する統制を実行する。これらの代理人が、統制している財産に行なう決定は高度に制限されている。資源により有効な使用法があると考える人がいても、権利は価格付けされて売りに出ていないので、それを行うことはない。社会主義の経営者たちは、経営によって資源の価値を増しても得るところがなく、価値が減っても失うものもないので、資源の取り扱いを気に掛けることもない。(中略)
 同様に資源の共有は、かつてのソビエト連邦であれ、合衆国においてであれ、資源の維持preserveについて、誰にも強い誘因を与えない。例えば、所有者がいない漁場は乱獲されるだろう。(釣り上げた)小さな魚をそれが成長するのを待つために(海に)戻す釣り人は、待つことで何も利益を得られそうにない。代わりに他の釣り人がその魚を捕まえるだろう。(中略)
 実際、1980年代そして1990年代初期の前ソビエト連邦の経済改革の、見世物のような失敗は、所有権を政府から事実上の共有に移したことにあった。(中略)
 私有財産権は人間の諸権利と競合しない。私有財産権は人間の権利である。私有財産権は、特定の財貨を使用し交換する人権である。私有財産権に対するどのような制約も、非人格的なものimpersonal attributeから、人格的なもの、政治的権威が承認する行いへと、権力のバランスをシフトさせる。それはなぜ強力な私有財産権の体系が選好されるかの根本的な理由である。私有財産権は個人の自由を守っているのである。


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