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共有財(コモンズ)の悲劇 ハーディン

Garrett Hardin, Tragedy of  the Commons
Cited from Econlib
 共有財(コモンズ 共有地)の悲劇は、私有財産の意味を解き明かす一つの糸口である。財産というものは適切に管理されてこそ、財産の意味がある。果たして私有財産を問題視することが正しいのか?という問題にこれはつながる。もちろん他方で、私有財産(アンチコモンズ)の悲劇も語られる必要がある。
 漁業における乱獲の問題も、漁場という共有地を過剰に利用する行為がもたらしたとも理解できる。大気汚染も、同じように理解できる。

 (著者のGarret Hardinはカリフォルニア大学サンタ・バーバラ校のhuman ecologyの教授だった。彼は1915年テキサス州ダラス生まれ、2003年にサタ・バーバラで亡くなっている。)
 一般の人々は1974年に地球の衛星写真で共有財の悲劇の視覚表現を得た。北アフリカの写真は390平方マイルの尋常でない暗闇を示していた。地表レベルの調査は、フェンスで囲われたエリアの大量の牧草を示し、その外の地表は破壊されていた。
 説明は簡単だった。フェンスで囲われた地域は私有財産で5つの部分に小分けされていた。毎年所有者は彼らの動物を別の部分に移動させる。4年間の休息期間fallow periodsは牧草地に飼養に供されることgrazingからの回復期間となる。所有者たちがこうするのは、彼らは土地の面倒を見る誘因を持っているからである。しかし牧場の外の無所有地はそうではない。移動する人nomadsとその動物に委ねられている。彼らは、カール・マルクスを知ることなく、マルクスの1875年の有名なアドバイス「それぞれはその必要に応じて」に従っている。その必要は統制されず、動物の数の増加とともに増加する。しかし供給は自然に支配され、1970年代初期の干ばつの時には劇的に減少した。自然環境が維持できる容量を動物の数が超えると、土は収縮し痩せてしまい、家畜の食用には適さない弱い植物が健康な植物と置き換わり、多くの家畜が亡くなりやがて人間も死を迎えた。
 (中略)
 料金を徴収しない公共道路の混雑は、政府が生み出した共有財の悲劇の別の例だ。もし道路が私有であり所有者が使用料を徴収するなら、利用者は道路を利用するかどうかを決めるのに、使用料(の大きさ)を考慮するだろう。また所有者は、使用ピーク時の価格を高くするだろう。(ところが)政府は収められた税金で道路を造るので、使用料を徴収しない。(そのとき)政府は道路を共有財としており、その結果が混雑なのである。


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