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♪ 趙雷 画 2011 ♪

赵雷(1986/07-)は、中国でありがちな「音楽学院」出身歌手ではない。農村出身で商売を営む両親のもとで育った。若い時、ギターを片手に上海や北京の地下道で歌を歌い、やがて猛烈に創作した。大学への進学の機会は早い段階で捨てた。エリートコースとは真逆の歩みだったが、コンテストに繰り返し参加して、ついに才能を見出された。「画」はそんな彼がまだ、全国的注目を集める前、苦闘している中の作品。2011年8月に借金して自主制作したアルバム「趙小雷」に含まれている。
2010年。彼は苦闘を続けていた。5月に長沙で行われた音楽コンテストで彼は選抜されたのだが、審査員の一人と友人関係にあることが問題視されて、公正公平を守るとの理由で選抜を取り消されてしまった。ならばと向かった、誰も頼る人がいない広州の音楽コンテストでは、審査員から酷評を受けわずかの差で上位入選を果たせなかった。北京にいる母は病気が悪化していた。そうした情況で彼は創作を進め借金をして「趙小雷」が作られ発表された。「画」はそこに含まれる曲の一つで、父と暮らす四合院の一室で製作された。このアルバム発表から3年あまりが経った2014年1月、中央テレビの番組で、審査員からこの「画」という歌を、激賞されたことは、彼が立ち直るきっかけになる。
歌詞の全訳は以下に「百日特急」さんのものを張っておく。歌詞の大意は、寂しい夜に月を描く、という歌い出しではじまり、ベッドに彼女がいて穏やかに農村で暮らす姿を前半では思い描く。そこには穏やかな母の姿も見える。そして歌の後半は、自分には争いを消す消しゴムがないと続ける。自分にできることは描いた月あかりのもとで一人歌うことだとして終わる。


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