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趙紫陽 資本主義と民主議会 2000/05/13

宗鳳鳴《趙紫陽軟禁中的談話》開放出版社,2007年,303-304,esp,304-308

2000年5月13日 趙紫陽は言った「問題は資本主義には一種の内在的自己調節メカニズムがあり、自身とまることなく、不断に更新、発展、変化しているのに、社会主義はその体制がミイラ化し停滞してしまったことにある。たとえば自由資本主義時期には、つまりアダム・スミスの自由放任理論の指導のもとでは、資本主義生産の無政府状態は資本主義を周期的に経済危機を発生させ、工場の閉鎖、労働者の失業を招いていた。1929-1933年には資本主義世界では4年続いた経済大危機が発生し、工業生産は40%低下した。
 「(しかし)その後資本主義各国はケインズ主義を採用し、工業企業に対して国家干渉(干預)を実行し、国民経済には国家調整(調控)を行い、内需の不足を国家財政で補い、減税を行い公共支出を増やすなどの措置で需要を高め、労働者を充分就業させ、「組織」化された資本主義発展の新段階を生み出した。
 「初期資本主義は最大利潤を獲得するために、徹底して搾取し賃金を押し下げ労働者を貧困線に向かわせ、これは労働者のストライキなどにいたり、労働者と資産階級の先鋭な対立をもたらした。そこで資本主義国家は「労働(労工)関係法」を制定し、労働者の最低賃金水準を規定し、企業主と労働者の矛盾を緩和。併せて社会救済や、労働保険など福利措置をとり、社会秩序を安定させ、併せて「産業復興法」を制定して経済を発展させ、労働者の就業問題を解決した。
 「さらに独占資本主義が出現して、資本主義の両極分化がますます激しくなり、社会がますます不安定になると、資本主義国家は「反独占法」「公平競争法」「中小企業支援法」などを実行し、また私人独資企業を次第に株式会社に変化させ、株券の分散を進め、企業の労働者にも株券を与えるようにした。同時に高額累進所得税と遺産税を実行し、資本家階級の財産の集中を制限した。とくに科学技術の進歩はコンピューターの出現で「情報時代」となり、第三次産業が発展、知識人、経営者、サービス労働者などが急速に増えている。このような資本主義国家では中間階級が拡大、資本家とプロレタリア労働者は相対的に縮小、資本主義国家の階級構造は変化し、社会は安定している。
 「政治面では、資本主義国家の資産階級は残酷な階級闘争を経て、闘争を抑制妥協し議会民主、多党競争を実行、権力分散制度を採用した。国家の代表は人民が選び、人民の言うことを代表する人が、指導者に選ばれる。また世論公開監督が強調され、人々は国家指導者をいかようにも批判でき、それが競争、改善、を生み、資本主義国家の社会の安定と国家指導者の安定した交代を保証している。
 「マルクスは資本主義が豊富な社会製品を創造し、人類社会を繁栄させ、現代文明を実現することを予見できなかった。マルクスは私有制を消滅させ、資本主義を転覆させて社会主義現代文明を実現しようとしたが、資本主義経済の発展が社会進歩を推し進めえるということ、滅亡以外の道を進めることを分析していない。もちろんここで我々は、マルクスがいかに偉大でも時代の限界を超えることはできないので、マルクスを非難しているわけではない。しかしマルクスのユートピア論で貨幣や商品交換や市場がないという観点はどうだろうか?矛盾がなければ動力がない。
 「マルクスとくにエンゲルスは晩年議会民主の道を認め承認していた。第二インターはマルクス主義の一つの派閥だが、この道を歩むものだ。マルクスの観点では、暴力革命の道はやむを得ず歩むものだ。マルクスが無産階級独裁を提起したのは、パリコンミューンの経験の後、資産階級の蜂起に対しては独裁を実行し、無産階級の統治を守る必要があると考えたからだ。マルクスの観点では、無産階級の独裁は、すべての階級が消滅する無階級社会に入る「過渡」においてであり、かつ彼はこの「過渡」はすごく短いとしていた。無産階級独裁というのは、レーニンが作ったもので、マルクスのものではない。「(それは結局)共産党の独裁、その指導者の独裁になってしまった。
 「無産階級独裁というこの理論を放棄しなければ、民主政治,法治の実現はむつかしい。
 「無産階級独裁社会主義国家には、国家の最高指導者がすべてを運営し、全てを統治する・・・・(そこには)全能主義がある「このような体制は個人権威の確立を必要とし、「個人権威の追求、個人崇拝を生み出すことにつながる

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