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7. 目標管理制度の歴史①テイラーの科学的管理法


前回、目標管理について本を書きたい!

なんて、思ってはみたものの、すでにいい本沢山あるんですよねー

二番煎じだと、全然売れないと思いますが

ここはnoteなので書き始めてみます。

しかも無料記事。笑


初っぱなとして、目標管理制度の歴史として、テイラーのScientific Management科学的管理法を取り上げます


先にお断りしておきますと、、


(駄文)長文です




スライド1枚まとめ

筆者作成


フレデリック・テイラーの科学的管理法


科学的管理法とは?


目標管理制度を振り返る前に、アメリカのフレデリック・テイラーが提唱した科学的管理法を見てみましょう

時代は20世紀初頭のアメリカ、当時の工場をイメージしてください。産業革命により大量生産が可能になっている時代、効率化がビジネス成功の鍵でした。

工場では多くの労働者が働いていますが、怠ける人もでてきます、個々の能力もバラバラです。

そういう環境でいかに生産性をあげればよいのでしょうか。

そんな大量生産が主流だった時代にテイラーが生み出した手法が科学的管理法(Scientific Management)です。テイラーの科学的管理法は、目標管理制度ではなくマネジメント手法に近いものですが、目標の設定、目標の達成、結果の評価という目標管理制度のエッセンスが認められます(深野2001、奥野1996)。

テイラー式のマネジメントは完コピしなくてよいと思いますが、知っていて損はない考え方なので、少し詳しく見てみましょう。

自然科学は観察と分析に基づきます。テイラーは労働者を丁寧に観察、分析することで、どのようにすれば効率を上げることができるか徹底的に研究しました。

ストップウォッチにメモを片手に、労働者の作業・動きをデータを取って分析したそうです。結構クレージーですね(笑)



科学的管理法の特徴5点


テイラーのマネジメントの特徴5点についてそれぞれ見てみましょう。全ての特徴について共通しているのは、効率化です。

テイラーは徹底的に無駄が嫌いな人間で完全無欠なロボットを目指していたのでしょうか。

私は少しぐらい隙のある人間が好きです(笑)。

①    作業の効率化
テイラーは労働者を観察することで、作業を細かい手順に分割して、それぞれ最適な方法(動作)を明確にしました。そうすることで、作業員の動き、手順が最適化され、生産性も飛躍的に向上しました。

今の日本でいうと、サイゼリアや牛丼チェーン店等のオペレーションは細部まで計算されつくしていると言われていますが、そんなイメージ


②    作業の標準化
結局、できる人はできるし、できない人はできないんだよね。なんてことをマネージャーは絶対言ってはダメです。

テイラーの時代も同じだったのか、サボる人もいるし、能力格差も大きかったようです。作業を標準化することで、誰がやっても一定の品質を確保することが重要ですね。


③    トレーニングと適材配置
その仕事を出来る人だけが、仕事をすべき。そのため、まず人材の能力を見極めて、適切な仕事を割り振ること。

そしてトレーニングを実施して、標準化された作業を確実にできるように育成する。そうすることで効率化するという理屈です。現場の労働者のみならず、マネージャーにもトレーニングは重要だと述べています。

④    インセンティブ
一定の仕事をルーチンにこなすだけでは、飽きてきたり、怠けたりするのが人間ではないでしょうか。それをインセンティブ(報酬)で動機付けを行う重要性をテイラーは主張しました。

「成果にはきちんと報いる」ことは時代を問わない普遍的な原則であり、これはマネージャー、経営陣は肝に銘じる言葉だと思います。(テイラーのニュアンスとはちょっと違う気もしますが)

⑤    計画と実行の分離
当時の工場は、現場で計画と生産を行っていたそうですが、それを組織として分離することを提案したのがテイラーです。マネージャー(管理職)とワーカー(労働者)を明確に分離して、組織化することを説いています。



科学的管理法を目標管理制度の観点で考えてみる


これらは100年以上前の話に聞こえますか?

日本式に言うならばテーラーは、気合いと根性(アメリカには気合いや根性はなさそうですが)、あるいは惰性による作業から、データに基づく合理的で効率的なマネジメント手法へ転換させました。

テイラーは目標管理について直接は言及していませんが、科学的管理法には目標の設定、達成、評価という考え方を含んでいます。

また、モチベーションや報酬、データドリブンな意思決定というテイラーの科学的手法の要諦は、現代の目標管理制度とも関連しています。


科学的管理法への批判


一方、テイラーの考え方には、労働者を人間ではなく単なる歯車として見る、ホワイトカラーとブルーカラーの分断など二極化、それによる労使の対立をもたらしたといわれ、多くのデメリットもありました。

チャップリンの映画(モダンタイムズ)を思い出しますね。今となっては、古い時代のマネジメント手法と言われる原因がここにあると思われます。

また手法が科学的であったので、データの取得方法や解釈、前提条件などについて多くの批判もあるようですが、そこを突っ込むのは目的でないので、紹介だけにとどめます。


次回はMBOを発明したドラッカーを取り上げる予定です


最後までお読み頂きありがとうございました


引用・参考文献


深野宏之. (2001). 科学的管理法に関する史的一考察 (I). 経営研究, 15(2), 189-204.
奥野明子. (1996). 日本における目標管理の現状と課題. 経営研究, 47(1), 91-116.


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