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ブラジルとワサビと食育

ブラジルに1年弱住んでいた。正直ブラジルの料理というのはさほど美味しくない。ブラジルに赴くまでは普段あまり美味しい、不味いということに興味がなかった。それでも異国に住んでやはり日本食が恋しくなるのは仕方がない。ブラジルの地方に住んでいたので会社の規定で1年の間に2回帰国することが出来た。2週間弱の束の間の日本食を堪能してブラジルに帰る。地球の裏側なので4回のフライトと約5時間の陸路でやっと戻ってくる。そのフライト中に2週間ぶりでブラジル料理を味わう。うわっ、不味い!となる。しばしの帰国でブラジル料理に慣れていた舌がリセットされたのだ。そんな経験を2回した。

味は調味料で決まるのだろうか。ブラジルの調味料は基本砂糖と塩だ。油についてはあまり印象がない。住んでいた街に唯一の日本料理店がありお寿司を堪能出来た。よく通った。現地の人はお寿司に醤油はかけるがワサビをつけるのはとんでもないと言う。あの辛いものをつける方が美味しいなんて日本人は変だと言うブラジル人すらいた。それを聞いたときなんだかブラジル人って子供の味覚ではないかという印象だった。今思えばこれも文化の違いなのだろう。食育という言葉を聞く様になってから久しいが食育というのもその土地や国や地域によって当然異なる。ワサビとお寿司は日本特有の日本食だとしたらその味覚も子供から大人に成長するにつれ育てられたものなのかも知れない。ブラジル人がワサビを味わえないとしても無理からぬことなのだ。

異国ブラジルでももちろん美味しい料理はある。良く会社の同僚や仲間と楽しんだのがシェハスコ料理だ。日本で言うところのバーベキュー。ブラジルの家にはこのシェハスコ料理を楽しむための小さな煙突が付いているところが多い。(最初は暖炉用かなと思って寒い地域でもないのに何故と不思議だった。)陽気な現地の人との食事はとにかく楽しかった。

味覚というものも子供の頃から食する料理で少しずつ育て成長とともに発達するもの。そう考えれば化学調味料や添加物の多い食べ物を避ける意識、昔からの自然な農法や製造方法に沿った食べ物を選ぶ意識は実は相当重要なのだと思う。


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