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手書きとタイピング|怪我とパフォーマンス

手書きとタイピング

手書きとタイピングではどちらが効率よく学習できるのだろうか。これに対する調査としては、2014年に米プリンストン大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者による共同研究がよく知られている。大学生にTEDトーク(世界の一線で活躍する人物たちによるプレゼン)を視聴させ、メモをPCで取ったグループと手書きで取ったグループのそれぞれが、どれだけ内容を記憶・理解していたかを比較したというものだ。結果として、キーボードの場合は話の内容を機械的に書き取るだけなのに対し、手書きの場合は耳に入った内容を要約したり、図示したりという前処理を行うために脳が活性化され、キーボードより明らかに良い成績を収めたという。

上述のような学習をする際には、文字を見る視覚野、見えたものを調べる角回、言葉を理解するウェルニッケ野、言葉を発するブローカー野、音声を聞き取る聴覚野など脳のあらゆる領域が活性化する。手書きでメモを取った場合はこれらの領域に加えて、手を動かすことによる前頭葉の運動野や頭頂葉の体性感覚野の活性化も加わる。一方、機械的にタイピングしただけでは十分に脳が活性化しないとされる。タイピングに慣れてブラインドタッチするようになると、その指先の運動は小脳で代替され、結果的に指先を動かす脳の部位の隣にあるブローカー野への血流の影響がなくなることで、効率の良い学習は難しくなってしまう。このように学習にはタイピングよりも手書きの方が適していると言える。

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