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病気というものを、奥行きを持って見るために知っておくべき知識(前編) ~吸血ダニから花粉症は生まれた~

今回は、池上 彰氏が書いた
おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか?
第4章 人間と病気
の前半部分の要約になります。

まだまだ治まる気配の見えないウィルスの流行ですが、ウィルス対する知識や病気の歴史を知れば、また違った視点で現状を見ることができるかもしれません。

特に、後編の病気の歴史は、必見です!
ニュースやインターネットの記事だけでなく、病気の歴史を知ることによって、近視眼的になることなく、奥行きのある見方で、現状を認識できるようになりましょう!

A 吸血ダニとの格闘から花粉症は生まれた

大昔には、花粉症という病気はなかった。

恐竜がまだ地球上にいた2億年前、地球で最初の哺乳類が誕生したが、
当時の哺乳類は吸血ダニに苦しめられていた。
それは、吸血ダニにたいする免疫システムがなかったからである。

そして、突然変異で吸血ダニに対する免疫システムを獲得した哺乳類だけが生き延びた。

しかし、現在の清潔な環境では、吸血ダニで悩まされることはなくなった。
そして、その免疫システムが、吸血ダニと勘違いしてスギ花粉に反応してしまっているのである。
スギ花粉が入ると、吸血ダニを退治するための物質を出す。
そのせいで、目がしょぼしょぼしたり、くしゃみをしたりすることになる。

つまり、花粉症という病気は、私達の環境があまりにも清潔になりすぎることでもたらされた病気だとわかる。

以前、インドネシアで日本人がコレラにかかり、他の外国人には影響がなかったというものと考えられる。

B 現代的な生活がつくる病

夜勤が多い女性は、乳がんの発生比率が高いという統計学的なデータがある。
例えば、女性の看護師などはリスクが高い。

そこにはメラトニンが関係している。
メラトニンは、外界から受ける光に応じて分泌量が変わる。
太陽が当たっている間は少なり、夜になるとたくさん分泌される

メラトニンが多くなると、眠くなるという仕組みが働く。
(ちなみに、夜にPCやスマホなどのブルーライトを浴びすぎると体が昼だと勘違いしてメラトニンの分泌量が減り、寝つきが悪くなるので注意!)
そして、メラトニンには、がん細胞の増殖を抑制する働きもあることがわかってきた。

つまり、夜勤をすると、夜間の照明などのなどの光を浴びてしまうので、
メラトニンが分泌されにくくなる。結果、乳がん発生の可能性が高まる。

C 細菌とウィルスの違い

人類の歴史は、病を背負い、病と戦ってきた歴史でもあり、病をもたらすウィルスと共存することで進化を遂げてきた存在でもある。

人の遺伝子にはウィルス由来のものが含まれており、それは人がウィルスを取り込むことによって、生き延びてきたことを示している。

細菌は細胞膜を持っており、細胞膜の中に核があって、そこに遺伝子が入っています。
そして、栄養を取り込んで次々に分裂をしていく。

それに対して、ウィルスには細胞膜がなく、遺伝子がタンパク質に包まれているだけである。
ウィルスは自分で分裂をすることはない。ウィルスは他の生き物の細胞に取り付いて、その栄養を取って初めて自分の分身を増やすことができる。

そして、ウィルスは細胞膜がないため、生き物と定義できない
(一般的に、生き物とは細胞を持っているもの、そして分裂して増えていくものと定義されている。)

なので、「ウィルスを殺す」という表現は適切ではなく、
「ウィルスを不活性化する」というのが正しい表現である。

D 抗生物質はウィルスには効かない

抗生物質は、体の中で悪さしている細菌の細胞壁を壊す働きがあり、細胞壁が壊れると細菌は死んでしまう。

それに対して、ウィルスに抗生物質は効かない。
確かに、インフルエンザにかかって病院などに行った時、抗生物質が処方される場合はあるが、それはインフルエンザで体が弱り、他の細菌に感染してしまうリスクをなくすために抗生物質が出されているのである。

つまり、抗生物質はインフルエンザウイルス自体には効いてないのである。

細菌と比べてウイルスの構造はあまり特徴がなく、しかも細胞の中に入ってしまう。
こうした理由からウィルスだけを標的にした抗ウィルス薬の開発は非常に難しいと言われてきた。

しかし、最近はオセルタミビル(商品名 タミフル)などの、インフルエンザウィルスに効く薬も出てきている。


今回は以上になります!

詳しく知りたい部分や間違っている所があれば、コメントしてください。
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次回は、後編の病気の歴史について取り上げていきたいと思います。


2巻では、AIとビッグデータ、キャッシュレス社会、民族紛争、地政学、
ポピュリズム、日本国憲法の6つのテーマを取り上げています。

こちらも病気の歴史の勉強になります。


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