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受験国語 随筆「実存」ウクライナ侵攻

ウクライナ侵攻でお亡くなりになった方に心よりお悔やみ申し上げ、国を守り続けている方、難民となって不自由な生活をなさっている方たちに祈りを捧げます。

「随筆文」作者の体験や見聞に対し、感想を述べる。

<構造>出来事→感想→出来事→感想→のくり返し。
日記のようなものに近い。どこが感想でどこが出来事なのかを読みとる。

必ず本文を読む前に、題名・設問を確かめる。何を聞かれているのかを知り、効率よく点を取ろう。


<題名> 「実存」

「実存」とは、「実際に存在すること」の意味。

<設問>

問1 漢字の読み

問2 雲のようすを例えているもの二つをあげよ。

問3 確かなものとは何か。20字で答えなさい。


<本文>

連日、ウクライナ侵攻のニュースが、絶え間なく目に入ってくる。
 ロシアの非人道的な所業は、過激を増すばかり。結局、不条理というものは、弱い者の所にシワ寄せが来るのだと思う。
 太古の昔から、愚かな争いで、文明は消滅してきた。
 公園のベンチに転がって、空を見た。ある一時は、完璧に美しい雲のかたまりが、時間と共に消滅していく。そしてまた、どこからともなく完璧なが沸きあがってくる。
 まるで人生のようでもあり、文明の興亡のようでもあり、確かなものがあるとすれば、今現在、目の前にあるひとかたまりの雲だけなのだと思う。
 己の運命が、どのようなものになろうとも、今ある命を精一杯生きる。報われたいとか認められたいとか、地位・名誉の類にまったく心ひかれなくなってしまった自分がいた。

<解答>

問1 漢字の読み

侵攻 しんこう→侵略し、攻撃すること。
所業 しょぎょう→おこない・しわざ
不条理 ふじょうり→理屈に合わないこと
愚か おろか→知恵がない。バカ。
一時 ひととき
消滅 しょうめつ→消えてなくなること
興亡 こうぼう→起こること、滅びること。


問2 「雲」に例えているものを二つあげよ。

直後の、「まるで~~のよう、~~のよう」という「呼応」の比喩表現に注目。

人生・文明の興亡


問3 確かなものとは何か。20字で答えなさい。

直後の「あるとすれば」という仮定表現に注意。

雲のように、今の命を精一杯生きること。

 

ウクライナ侵攻のニュースで傷つき疲れた筆者は、公園のベンチで、人生や人類の興亡に思いをはせ、やはり実存するのは、目の前に刻々と姿を変えていく、ひとかたまりの雲なのだと感じたのでしょう。
同じ雲を再現することは不可能です。二度と見ることのできない雲だからこそ、美しく悲しく、大切な一瞬一瞬なのでしょう。精一杯、生きましょう!
実存とは、この瞬間にしかない。

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