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ほやほや振動を感知
寝苦しい熱帯夜と言われても、深夜から早朝の時間帯は、スーッと温度が下がって、案外涼しい。
朝日が昇り、午前中といわれる時間が始まると、部屋の空気は膨らみだす。気温の上昇に合わせて、生温い空気はむくむくと膨らみだす。
…むくむくむく…
目に見えない空気。
それは確実にあるのだ。
部屋の中にこんなにも詰まっている。
….むぎゅうぎゅう…
扇風機の風が、跳び回る。
部屋の空気の総量が変わらないとしたら、空気たちは、ぐるぐると同じ空間を漂っている。扇風機の風に乗り、あちらへビューン!こちらへピューン!と行き来している。いや、部屋の隅にできるだけ動かずに、じっと漂うものもいるかもしれない。
何回壁にぶつかったら、
私の肌に辿り着く?
細かい振動のような風が、
ほやほやと柔らかい風が、
私をわずかに振るわせる。
…ふるふるふる…
私にぶつかり、弾かれる。
その風は、また跳んでいく。
…ほやほやほや…
扇風機は、空気を巻き取り、
大きなうねりと速さでもって、
一直線に吹いていく。
その風は何回も何百、何千回も、
壁と私にぶつかり、弾き合う。
空気中で、
勢いのある風に打ち消されたり、
打ち消されたことで
新たな風が生まれたり、
ふっ!と相殺しあう風もあるだろう。
動による無の創造だ(かっこいい)。
扇風機によって、また吸い上げられて
大きなうねりとなるものもいるだろう。
ウォータースライダーみたいに(楽しそう)。
空気の動きを線でなぞったら、
この部屋に余白などないだろう。
ふるふると肌を揺らす
ほやほやと細かい風を感知して
ほんわりと心地よい気分になる。
暑いけれど。
なんだかいい。
…うとうとうと…
そんな朝の二度寝。
…
…
…やっぱり寝苦しかったのかもしれない…
…終…
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