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「守礼の光」が見た琉球

『守礼の光』とは、米軍の心理作戦部隊が発行した沖縄社会の発展と人々の暮らしを為政者の視点で切り取ったプロパガンダ雑誌で、1959年1月から1972年5月まで、通算160号と付録の特集号が刊行された。

米軍統治下の沖縄における為政者の視点そのものを映した鏡として、歴史的価値が注目されている。

本書は、『守礼の光』からの写真を多数使用して、戦後復興の沖縄社会の様子と、その背景にある世界情勢を解説するビジュアルブックである。

ボーダーインクHPより転載。

先日、波止場書房で『「守礼の光」が見た琉球』を購入した。

当時の沖縄の写真が多く掲載されていて、写真集のようなつもりで購入したけれど、写真はもちろん、記されている内容もなかなかに濃くて、かなりおもしろい。

波止場書房は、古書店だけど、沖縄に関する新書の取り扱いもある。

そんな波止場書房で、現在、写真展が開催されている。

『「守礼の光」が見た琉球』刊行記念写真展 “RYUKYU 1959-1972”。

期間:2024年3月8日(金)〜3月31日(日)
場所:波止場書房
料金:入場無料

2024年3月16日(土)19:00からは、監修者の古波藏氏のトークイベントも開催されます。こちらは、参加費500円です。

期間中、本物の「守礼の光」も展示されている。

配布されていた当時は、無料で配られていた「守礼の光」だけど、いまでは貴重な資料。実際に手に取って、読むことができるのが、嬉しい。

沖縄県立図書館や沖縄公文書館、国立国会図書館でも、原物の「守礼の光」を読むことができるそうです。

「守礼の光」を手に取る。

第一印象は、案外しっかりしている冊子だということ。内容も詰まっている。

さまざまな特集が組まれていて、毎ページごとに、細かい文字で文章が綴られている。カラー写真やイラストもある。なかなかに読み応えのある内容だ。

英会話レッスンとして、英会話文にカタカナとひらがなを使って、ふりがなが振られていたり。

THEは「じ」と「ざ」。平仮名表記だった。カタカナのなかに平仮名があると、目立つから良かったのかな。

見開きに昔話が書かれていて、
右は日本語、左は英語で、表記されていたり。

私は、アメリカの大豆特集が印象深かった。敷き詰められた大豆の上に並べられた豆腐と味噌汁という、大豆の宣材写真。この特集のために書かれたロゴ。なんともいえない狂気を感じた(いち個人の感想です)。気になる方は、波止場書房でぜひご覧ください。

今回の写真展の写真は『「守礼の光」が見た琉球』に掲載されている写真たち。書籍でも見る事ができるけれど、大きく引き伸ばされている写真は、細部まで見る事ができて良い。

私が波止場書房を訪れたのは、写真展が開催された2日目というのもあったかもしれないけれど、この写真展を観るために、さまざまなお客さんが来場していた。

実際に守礼の光が配布されていた時期を経験しているお客さんも多い。自宅に配布されたと話す方や、まとめて置いてある場所から取ってきたと話す方もいた。配布方法は、複数あったのかな?

父親に「守礼の光」の写真展の話をしたら、その時期の経験談を話し続けたと話す娘さん。そのお父さんに『「守礼の光」が見た琉球』を見せる為に、本を購入していかれた。

他にも、雑誌「おきなわいちば」で波止場書房の記事を見て、初めて訪れた方のお話も面白かった。コザで生まれ育ち、現在のパークアベニュー(旧BCストリート)はストリップ街で、そこを通ってコザ小学校に通ったこと。嘉間良の坂道には、元々は家具屋が立ち並んでいて、芝居小屋や市場もあったこと。家具屋が無くなった今も残る材木店は、その当時の名残であること。その方は、嘉間良(かまら)を(くまら)と何度も呼んだ。

小学生の通学路が、ストリップ街。むちゃくちゃ強烈だけど、それさえも今はなき風景として、貴重に感じる。

こうやって波止場書房を訪れるお客さんから聞く話が本当に貴重で、おもしろい。

顔見知りのお客さん同士が、数十年ぶりに波止場書房で再会する場面にも遭遇した。なんとも不思議な縁だ。

そんな人生の一場面を、偶然にも共に体験するというご縁も、不思議な縁だ。

本好きが集まる場所でもあり、
本が縁をつなぐ場所でもある。

波止場書房、素敵です。

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