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新たなビジネスモデル「FSP-D」

今日のおすすめの一冊は、山口真一氏の『なぜ、それは儲かるのか』(草思社)です。その中から『新たなビジネスモデル、それが「フリー、ソーシャル、価格差別、データ」』という題でブログを書きました。
ブログの詳細はこちら☞人の心に灯をともす

山口真一氏は、ここ何年間でビジネスモデルが決定的に変わったといいます。その元になっているキーワードが「FSP-D」です。これは、「フリー(Free)」「ソーシャル(Social)」「価値差別(Price disucrimination)」「データ(Data)」という、4つのキーワードで構成されています。

ブログでは1番目の「フリー」の事は説明しましたが、あとの3つの言葉については、長くなってしまうので書けませんでしたので、ここで短くまとめてみます。

2つ目の「ソーシャル」は、ネットワーク効果だけを指しているものではない。最初はシングルメッセージ(テレビ等のCM)だったが、セグメンテーション(年代や性別などのおおざっぱなセグメンテーションでダイレクトメールを送る)になり、次は個人ターゲット(Amazonのレコメンドや、Facebookの個人をターゲットにした広告等)になり、現在はさらに進んでバイラル(SNSで消費者が口コミ投稿しやすいようにするバイラル“ウイルスという意味”マーケティングが盛んになっている。インスタ映えしやすくするのもこの一種)
3つ目の「価格差別」とは、市場にいる複数タイプの消費者に対して、同じかあるいは類似した製品・サービスを2種類以上の価格で販売することと定義される。いわゆる一物二価(あるいは三価、四価)。典型的な例は映画館の料金。学割や、レディースデー、夫婦50割(シニア割)等々がある。また、ドロップボックス等のストレージの拡張によって月額料金が変わるというものも一般的だ。さらに、細かく価格差別しているのが、スマホなどでプレイするモバイルゲーム。一部のアイテムを有料で購入するという、デジタル財課金モデルだ。これこそが究極の価格差別である。
4つ目の「データ」。たとえば、Googleは多くのサービスを無料で提供しているが、代わりにさまざまなデータを収集している。名前やパスワード、電話番号や、支払い情報等を自動的に収集されている。また、行動データや、公開情報からの情報収集も行っている。このデータは「フリー」「ソーシャル」「価格差別」と非常に相性がいい。無料でサービスを提供したとしても、データが価値の源泉であると考えるなら、継続することはできる。
この4つのビジネスモデルの中で最も興味深いのが「フリー」です。これは、インターネット業界だけでなく、あらゆる業種、業態でも応用できます。たとえば、面白い例では、米国の電子カルテ企業プラクティス・フュージョンは、「無料クラウド型電子カルテ」を武器に急速に利用者をふやし、4000万を超える患者の電子カルテデータを保有しています。他の多くの電子カルテ導入費用が今でも10万~数百万、運用費用も数万円~数十万円かかるのにも関わらず、プラクティス・フュージョンは無料です。
その収入源は、製薬会社などからの広告費やプレミアム版の課金収入などがありますが、収集した大量の医療ビックデータを活用し、それを匿名加工したデータベースを製薬会社や医療機関に有料で提供したり、医療分析ソリューションなどを提供したりして収入を得ています。これを第3者市場といい、直接はプラクティス・フュージョンは、病院とフリーで取引していますが(2者間取引)、そこで得られたデータを第3者と有料で取引しているということです。

時代の変化により、新たなビジネスモデルがどんどん発生しています。ますます絶えざる情報収集と勉強が必要な時代となってきました。

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