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次のトップになる人は

今日のおすすめの一冊は、邑井操(むらいみさお)氏の「遅咲きの人間学」(PHP文庫)です。その中から「遅咲きの心得」という題でブログを書きました。

本書の中に「次のトップになる人は」という心に響く文章がありました。

人間関係をあまりむずかしく考えることはない。せんじつめれば慧(けい)と暖(だん)とにつきる。 慧とは物事を判断、処理する心の働きだ。〝さとし"とよむ。かしこく道理に明るいことだ。 暖とは愛情のあらわれる姿だ。あたたかさだ。 

人間関係の中で慧が必要とされることの大きな一つは、人を見る目の狂わぬことだ。 "慧眼"がそれだ。

孔子は論語の中でいう。 「其の以(な)す所を視、その由(よ)る所を観、其の安んずる所を察すれば、人焉(いずく)んぞ痩(かく)さんや」 

その人の行動を観察し、ついでその人の行動の動機を調べ、さらにその人がその行為に安んじているかどうかをさぐる。この三つをもってすれば、必ずその人物の正体は明らかになるも のである、というのだ。 

長い人生に、人は実に多くの人々と出遭う。 こちらに近づく姿態は千差万別であろう。その中からその人の真贋を見分けることに成功し なければ晩成はむずかしい。 

本田技研が四十五歳の河島喜好さんを後継者の社長に選んだ時、創業者・本田宗一郎さんが 種明かしをしてくれた。 

「まず彼ほどトップのものの考え方を理解してくれていた人はない。第一番だ。それともう一 つ、彼は目障りにならぬ人だ。目障りになる人を社長にしたら、会社はつぶれますよ」

 とかく能力に自信のある人間は、おれがおれがと出しゃばるので、周囲の反感を買い、全体の調和を破るからだ。 彼はどんな場合でも、自分を売り出し、押し出そうとしたことはなく、ひたすらホンダを売り出し、押し出すべく全力をあげてきた。だから誰の目障りにもなることなく、人から敬愛されたのだ。 

「だから私と藤沢副社長(武夫)の間ではもう何年も前から、後継者は河島君ときめていました」 さすがに本田さん、人を見る目が的を射ている。 

人間関係を順調に保つための必要事は、人にだまされぬことであり、物事の判断、処理をあや まらぬ〝慧"であり、聡明さである。 それともう一つ、人に接して好感を与えるもの、人をひきつけるものは暖、あたたかさだ

とかく自分に自信があったり、タレントのような才能がある人は、でしゃばりになりやすい。口が達者だったり、パフォーマンスが得意だったり、カメラの前で物おじしないような人だ。

個人のパフォーマンスがいくら面白くても、組織としてのトップの動きとはほど遠いからだ。そういう人は、どうしても軽く、薄く見えてしまう。人としての温かさも感じられない。

トップの資質としては、深さや厚み、そしてどっしりとした重みが必要だ。

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