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#スローシャッター マガジン Vol.1 装幀担当の上田豪がお届けします

ひろのぶと株式会社


広告探偵を名乗っていた俺だ

スローシャッターマガジン。
今日は、ひろのぶと株式会社社外アートディレクター、
スローシャッター装幀担当の上田豪がお届けします。

4人は余人をもって代えがたし

2022年7月21日。

ひろのぶと株式会社から出版予定の二冊目の本について、
編集を担当する田中泰延廣瀬翼、著者の田所敦嗣
そして装幀担当の上田豪の4人ではじめての制作打ち合わせが行われた。

田所敦嗣がnoteで綴ってきた海外出張にまつわるエッセイの数々。
連載された中から珠玉の話をピックアップし一冊の本にするという。
まずは、本のタイトルをどうするかという宿題が出された。

俺は、ブランディングや広告企画を考える時にまずやることとして、
マインドマップを描くことにしている。
それをすることで頭の中を整理しながら、
そのブランドや商品にとってふさわしい世界観をどう創り上げるかを
イメージしていくことができるからだ。

今回の本の装幀も同様に、そのやり方に従って考えてみることにした。
本のタイトルを考えるということは、
つまり商品のネーミングを考えることと同じなのだ。

世界観がイメージできないまま、場当たり的にタイトル案を考えたところで、
しっくりくるものは生まれるはずがない。
世界観をイメージできないまま生み出されたタイトル案が、
この先プロモーション展開をした時のイメージを広げられるはずがないのだ。

マインドマップは印度の地図じゃない

今回は6つの切り口でマインドマップを描いていった。

●企業文化(この場合は田所敦嗣というキャラクター)
●商品
●市場
●ユーザー心理
●今の世の中
●広告方法論

それぞれの切り口から連想される事実やイメージなどを
言葉として並べていきながら、関連する言葉を線で結んでいく。
その線が多く引かれた言葉は、ブランドの世界観を表現・創造するために、
またプロモーションを考える上でも重要なキーワードになる。

何かを創るときはかならず造る。普段は絶対見せない。忘れてくれ

このマインドマップを描くことで、
自分の頭の中に世界観がイメージできてくるのだ。
ちなみにこれは、俺の企業秘密だからここだけの話ということでお願いしたい。

題名を決めないと大迷惑

そして、自分が描いた世界観を踏まえ、
いくつかの切り口でネーミング案を考えてみた。
そして7月29日の夜にZoomで行われた打ち合わせに臨んだ。

あらゆる可能性をアウトプットしてみる。普段は絶対見せない。忘れてくれ

タイトルはタイトなスケジュールで

打ち合わせで、タイトルは無事に決まった。

決まった。これだ。

「アジェンダにない旅」

プライベートな旅ではなく、出張先での話である。ただの紀行文ではない。
仕事を感じるタイトルの切り口がいいのではないかという
田中泰延のオーダーに応えられている、素晴らしいタイトルだと思う。
これは絶対売れる。ビジネスマンが食いつくことだろう。

え?

あれ?

タイトル違ったっけ?

こっちでしたぁ。ウッカリ♡

タイトルは「スローシャッター」に決定した。

そして、8月6日に行われたひろのぶと株式会社の株主ミーティングにおいて、
田所敦嗣の本が出るということ、
本のタイトルがスローシャッターであるということ、
この本づくりに関わる制作チームが発表されたのは、
これを読んでいる多くの方はご存知の通りだ。

装幀を想定する

本のタイトルが決まったところで、
装幀のイメージを考えはじめなくてはならないのだが、
マインドマップを描いていたおかげで、
表現するべき世界観はすでにある程度見えていた。

まずは、スローシャッターのロゴを創ることからはじめた。
文字のデザインは世界観を創る上で重要だからだ。
そしてなにより、本に興味を持ってもらうためには
タイトルをどう表現するかも重要なことだからだ。

とりあえず明朝形の書体、ゴシック形の書体に関わらず、
片っぱしから様々な書体、様々なウエイトで
スローシャッターと打ってみて雰囲気を確かめる。
やってみて確かめること、検証作業がデザインでは大事なことなのだ。

思い描いていた世界観のイメージ、体温や音。そしてタイトルの語感。
それらを意識しながら検証作業をしていく中で、
静けさ、心の動き、心に刻まれた時間を表現してみよう、
情緒を感じる文字のデザインにしようと決めた。

書体のショータイム

ベースとなる書体を切り刻み、
一文字一文字のフォルムを修正加工したものをプリンターで出力。
それを万年筆でトレーシングペーパーにトレースして、アナログ感を加えた。
デザインにアナログ感が欲しければ、アナログでやればいいだけのことなのだ。

えっ 本当?フォントじゃない。手書きだ。えっ ふぉんとう?


そもそも活字は手書きを元に作られている。ゴチック体はゴチック氏の手書きだという

そして、書籍タイトルのロゴは完成した。

写真を表紙に

このロゴができたあたりで、
本の装幀は写真を生かすという方向性が自ずと決まっていった。

田所敦嗣と田中泰延が撮影した写真の中から、
表紙のビジュアルとして良さそうなものをセレクト。
その中からさらに絞り込み、
アジアの夜を強く感じる一枚の写真をセレクトした。

その写真を眺めながら、
スローシャッターの世界観を装幀としてどう着地させるかを考えた。

この本は言うならば

「スローシャッターで撮った写真かのように、
 忙しく過ぎていったいくつもの海外出張の中で、
 鮮明に刻み込まれた出会いの記憶」

が綴られた本だ。
ならばカバーと表紙の関係は、「時間の概念」をギミックとして持ち込もう。
それを素直にコンセプチャルに表現しよう。

カバーがついに完成

表現コンセプトが決まった。
そして9月27日に提案したデザイン案はこうなった。

ビジュアルだけで提案はしない。コンセプトは言葉でも説明する。普段は絶対見せない。忘れてくれ
台割という。普段は絶対見せない。忘れてくれ
これはカバーを取った本そのもの、つまり「表紙」のビジュアルだったのである

これまでamazonや直販サイトでアップしていた書影は、
あくまでもカバーを外した時に現れる本の表紙の書影イメージなのだということ、

本邦初公開 これがカバービジュアルです

そして実際に書店で目にするのは、
このカバービジュアルになるということが、おわかりいただけただろうか。

そうそう挿画も描きました

「スローシャッター」は出張で世界各地を旅する男の話だ。

田所敦嗣は海産物の取引や加工のために、
地球のどこまででも出かけていく。

それは一般的には辺境と呼ばれる場所だったり、
地の果て、海の始まりの場所だったりもする。

遠く離れた異国であることを感じてもらうために、
物語によっては地図を描いた。

ベースとなる地図をひたすら見る。
それを万年筆でトレーシングペーパーに手描きして、アナログ感を加えた。
デザインにアナログ感が欲しければ、アナログでやればいいだけのことなのだ。

なんでこんなに可愛いのかよ

スローシャッター。
盟友田中泰延が手がけたこの本、
可愛い後輩である田所敦嗣の書いたこの本は、
俺にとって最高に可愛い本なのだ。

タイトルのコンセプトを考え、タイトルそのものを考え、
題名を手書きし、地図を手描きし、
写真を選び、装幀を考え、
紙を決め、印刷について考える。

つまり、ブックデザインすべてについて考えた。
手を動かすごとに、一冊の本が、可愛く感じられてゆく。

俺、Twitterでずっと言ってたでしょ?
アツシの本はすっげえ可愛い本になるぜって。

あ、そうそう。

イタズラしてます

もうひとつだけ、秘密がある。
この本にはちょっとしたイタズラを仕掛けてあります。
それは、実際にお買い上げいただいて、手に取ったり、本棚に並べてみたり、
机の上に置いたりしてみないと気づかないかもしれません。

仕掛けられたイタズラが気になるそこのあなた、
是非、買って確かめてください。

ご予約はこちらで

スローシャッター発売まで、あと22日。
予約がまだの方はこちらへ。

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