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必須アミノ酸一つ一つの効果

EAAとは「必須アミノ酸(Essential Amino Acid)」の総称で、全部で9種類(ロイシン、バリン・フェニルアラニン・トリプトファン・イソロイシン・ヒスチジン・リジン・スレオニン・メチオニン)あります。EAAサプリには、これらの必須アミノ酸が配合されています。
では、そのひとつひとつ効果はどの様なものか。


ロイシン効果

●筋肉を強化する効果
BCAA は筋繊維を構成するたんぱく質の主成分となります。その中でも特にロイシンは、体に筋肉を強化して、筋肉を失わせないようにする性質があります。また、インスリンの分泌を増加させる作用があるため、エネルギーとしてブドウ糖を筋肉の細胞に取り込むのを助けます。インスリンの分泌を促すことで、運動時の持久力や瞬発力を高めたり、運動後の筋肉を成長・修復させたり、強化する効果があります。

●肝機能を高める効果
肝臓は、消化器官で取り込んだ栄養素を全身に送り込む代謝活動や、アルコールや薬、細胞から集められた老廃物などの有害な物質の分解、体を動かすためのエネルギー源となるグリコーゲンの代謝・貯蓄などの様々な機能を担っています。エネルギーを大量に産生しては消費を繰り返しているため、肝臓には過重な負担がかかっています。肝臓が疲労して代謝が鈍ると、肝機能が低下してしまい、全身の疲れにつながる可能性があります。
したがって、ロイシンを摂取することで、肝機能の向上と身体の疲労回復が期待できます。

●ストレスを緩和する効果
ロイシンにはエンドルフィン[※5]と同様の効果があるため、ストレスを緩和する効果があります。

●育毛効果
ロイシンは、たんぱく質の構成に深く関わっているため、ロイシンを豊富に含む食材を積極的に食べると毛髪の健康状態の改善や育毛効果が期待できます。

バリン効果

●筋肉を修復する効果
バリンは、筋肉中のたんぱく質を構成する上で重要なアミノ酸です。またバリンを含むBCAAは、激しい運動後に傷ついた筋肉を修復するのに効果的であることもわかっています。
さらに、バリンは筋肉で消費されるエネルギー源でもあります。多くのアミノ酸は肝臓で分解されてエネルギーに変換されますが、バリンはグリコーゲンや遊離アミノ酸が減少した時に筋肉で消費されるエネルギー源です。              血液中には窒素が存在し、窒素を取り込むことで筋肉が成長します。ただし、体内に存在する窒素と、体外に排泄された窒素の量の差である窒素バランスが正常でなければ筋肉は成長しません。        血液中の窒素バランスが崩れると、体はバランスを整えようと筋肉組織を破壊して体外に窒素を放出します。        バリンは窒素が放出されマイナス状態になった窒素のバランスを調整し、プラスにすることで筋肉の破壊を防ぐ働きを持ちます。                                    

●肝硬変を改善する効果         バリンを含むBCAAは肝硬変患者の症状を改善する効果があります。肝硬変になると芳香族アミノ酸の血中濃度が高くなる一方、BCAAの濃度が低くなっています。このようなアミノ酸のバランスの崩れは、肝性脳症や、まれに昏睡状態を引き起こします。現在では、肝性脳症の予防をしながら必要なアミノ酸が補えるように、BCAAを用いた製剤も発案されています。また、肝硬変になると血中のアルブミン[※8]量が減少します。アルブミン製剤とともにBCAAを投与すると、肝臓のたんぱく質の合成が促され、それに伴い、血清アルブミンの量も増えるということがわかっています。BCAAはこのように、肝硬変患者の症状を改善する効果もあります。ま                   ●美肌効果              バリンはエラスチンを構成することで、肌のハリを保つ効果があります。エラスチンは肌を内側から支え、ハリを保つために欠かせない成分でバリンを含む5種類のアミノ酸が80%~90%を占め、全体で800以上ものアミノ酸から構成されています。人間の皮膚は大きく分けて、表面から角質層、表皮層、真皮層に分かれています。真皮層の厚さは約2~3mmで、主にコラーゲンとエラスチン、そして水分を保持しているヒアルロン酸などで構成されています。バリンは肌のハリを保つコラーゲン同士を結び付け、肌を内側から支えるエラスチンを構成することで、肌のハリや弾力を保つ効果があります。

イソロイシン効果                   疲労回復効果                    イソロイシンはグルコースをグリコーゲンとして貯蔵する働きを促進します。グリコーゲンは運動時の大切なエネルギー源であり、必要に応じて糖に変換されます。そのグリコーゲンが不足すると、スタミナを維持できず、体に疲れが生じます。さらに、イソロイシンには脳が感じる疲労を軽減する効果があるといわれています。脳内にセロトニンという物質が増えると、疲労を感じるようになります。イソロイシンの血中濃度が高まると、セロトニンの生成が抑制されるためです。

●成長を促進する効果          イソロイシンは甲状腺ホルモンの分泌を促し、筋肉や体の成長を促進する効果があります。甲状腺ホルモンとは、甲状腺から分泌され、全身の細胞に作用して代謝を促進する働きを持つホルモンのことです。代謝が促進されることで、身長の伸びや、筋肉の形成を促します。

●神経機能を正常に保つ効果       イソロイシンは神経の働きをサポートする役割を持つため、脳から出された指令を素早く末端組織に伝達し、判断力や反射速度を上げる作用があります。また、イソロイシンは集中力を高める効果があるといわれています。人間は、脳から命令が下されると、興奮系の神経伝達物質[※5]が放出され、脳が興奮し集中することができます。イソロイシンは興奮系の神経伝達物質の材料となるため、集中力を高める効果があります。

●糖尿病を予防する効果         イソロイシンが糖尿病に効果的ということが判明しました。イソロイシンは摂取した糖質が吸収された後に筋肉へ取り込まれることを促進することで、血糖値の上昇を抑制する効果があり、血糖値をコントロールすることも期待できます

●肝機能を高める効果          イソロイシンには肝機能を高める効果があります。肝硬変の方は芳香族アミノ酸[※6]の血中濃度が高い一方、BCAAの濃度が低くなっています。このようなアミノ酸のバランスの乱れは、肝性脳症[※7]や、まれに昏睡状態を引き起こします。現在では、肝性脳症の予防をしながら必要なアミノ酸が補えるように、BCAAを用いた製剤も発案されています。また、肝硬変になると血中のアルブミンの量が減少しますが、アルブミン製剤とともにBCAAを投与すると、肝臓のたんぱく質の合成が促され、さらに血清アルブミンの量も増えるということがわかっています。このように、イソロイシンには肝機能を高める効果があります。

●髪や肌の健康を保つ効果        イソロイシンをはじめとするアミノ酸は、髪の毛のたんぱく質の約80%を構成し、髪の潤いと健康を保っています。天然のアミノ酸は体にも存在するものであり、刺激が少ないため、シャンプーやリンスなどのヘアケア用品に活用されています。またイソロイシンが不足すると、皮膚炎症状を引き起こすことも報告されており、イソロイシンが肌の健康に重要な役割を持つと考えられています。

フェニルアラニン効果

●脳機能を高める効果          フェニルアラニンは脳と神経細胞の間で信号を伝達する役割を持つ化学物質の神経伝達物質になる必須アミノ酸です。体内でノルアドレナリンとドーパミンに転換され、神経伝達物質として働きます。気分の落ち込みや無気力を緩和し、精神を高揚させるので、うつ症状の緩和にも効果があるとされています。また、記憶力を向上させる作用があるとされています。

●鎮痛効果
フェニルアラニンには、痛みを抑える効果があり、人工的に合成されたDL-フェニルアラニンは、鎮静剤として医療現場で利用されています。外傷、骨関節炎、慢性関節リウマチ、腰痛、片頭痛、神経痛、筋肉の痙攣、手術後の痛みなど慢性的な痛みを軽減させます。脳内でモルヒネのような働きをするエンドルフィン[※9]の産出と活性を、正常なレベルにまで高めて痛みを抑える効果があります。そして習慣性、毒性がなく、長期間使用しても効果が低下することもありません。フェニルアラニンは繰り返し使うとより効果的に痛みを軽減できるという特徴を持っています。また、抗うつ効果があるため、アスピリンなどの一般的な鎮痛剤が効かない人にも効く場合が多いといわれています。

●皮膚疾患への効果

白斑(はくはん)[※10]の治療に、フェニルアラニンの経口摂取と紫外線A波の照射、あるいはフェニルアラニンの外用と紫外線A波の照射との組み合わせで有効性があるとされています。

トリプトファン効果

●不眠を解消する効果              トリプトファンは脳に運ばれると、ビタミンB6やナイアシン、マグネシウムとともに神経伝達物質であるセロトニンをつくる原料となります。セロトニンには寝つきを良くする睡眠効果や、興奮や不快感を鎮めて精神を安定させる効果があり、不足すると睡眠障害や不安感が現れます。

セロトニンは、脳の松果体でメラトニンに変換されます。メラトニンは体内時計の調整を行う働きがあり、睡眠サイクルを正常にしたり、時差ぼけに効果があるなど睡眠と密接な関係を持っています。アメリカではトリプトファンは天然の催眠剤として、催眠効果や精神安定効果を期待する人々に人気があります。

●アンチエイジング効果

トリプトファンには、体内で発生した活性酸素[※3]を除去する作用があることから、アンチエイジングの効果があるとされています。「若返りの薬」ともいわれるメラトニンの分泌量は年齢を重ねるほど減少するといわれており、脳内のトリプトファン濃度が高まればセロトニンが増えてメラトニンとなり、老化防止に効果があると期待されています

●鎮痛効果
アメリカのテンプル大学健康科学センターで、トリプトファンが鎮痛剤としての働きを持つことを証明する実験が行われました。あごに慢性的な痛みをもつ患者のグループにトリプトファンを投与してセロトニンの濃度を高めたところ、痛みの軽減に加え、歯に痛みが加えられたときの耐性も強くなったとの報告があります。

●集中力、記憶力を高める効果
トリプトファンは、ドーパミン[※4]やノルアドレナリン[※5]といった神経伝達物質をつくるために、チロシンと一緒になって働きます。ドーパミンとノルアドレナリンとは、ホルモン調節に関わり、気分を高揚させてやる気を生み出すホルモンです。これまでの研究では、脳や行動障害の治療に役立つことが分かっており、不眠症やうつ病治療への効果も期待されています。オハイオ州立大学医学部の研究によれば、子どもたちに1週間トリプトファンを与えたところ、学習能力について良い結果が得られたという報告もあります。

●月経前症候群(PMS)を改善する効果
トリプトファンを摂取することで、鎮痛作用や精神を安定させる効果があるため、月経前のイライラや体の不調を改善できる効果があるといわれています。

ヒスチジン効果

●成長を促進する効果
​ヒスチジンは、発育に不可欠なアミノ酸です。大人は体内で合成することができますが、子どもは合成できないため、魚や肉、乳製品などの食品からヒスチジンを摂取することで、成長促進の効果を得ることができます。

●慢性関節炎を緩和する効果
ヒスチジンは、体内で交感神経を刺激するヒスタミンに変換され、外傷や薬などの刺激により血管を拡張する作用があります。血管が拡張されることで、慢性関節炎の痛みやストレスをやわらげます。

●ダイエット効果
ヒスチジンは、交感神経を刺激するヒスタミンに変換されることにより、神経機能に働きかけ、脂肪細胞において交感神経を刺激することで脂肪燃焼を促進する効果があるとされています。また、食欲を抑制する効果もあるとされ、近年ではヒスチジンには2つの肥満防止作用があることが明らかとなり、ダイエット効果が期待されています。

●脳神経を保護する効果
最近の研究では、脳梗塞などの急性期の脳虚血疾患による脳組織の死滅が抑制される可能性が動物実験により明らかになっています。

リジン効果                   
リジンは、体内でのたんぱく質の組み立てに必要不可欠な必須アミノ酸のひとつです。たんぱく質は体内で細胞や細菌・ウイルスの侵入を防ぐ抗体の材料として用いられるため、リジンの摂取は成長と免疫力の向上に大きな役割を果たします。

●疲労回復効果、集中力を高める効果
リジンには、体の組織を修復し成長に関わる働きがあります。たんぱく質の吸収を促進させ、ブドウ糖の代謝を良くして疲れをとり集中力を高める効果や、骨を丈夫にするカルシウムの吸収を促進する働きを持っており、健康的な生活を送るためには欠かすことのできない栄養素です。

●肝機能を高める効果
リジンには、アルコール摂取などで弱った肝臓の機能を高める働きがあります。弱った肝臓に活力を与えることでリパーゼ[※3]の働きを活発にして、脂肪酸が適切に利用されるようになります。よって、リジンが不足すると血中に飽和脂肪酸やコレステロールなどが増えやすくなるといわれています。また、肝臓の機能が高められたことでホルモンを産出し、受精率を高める作用があります。

●単純疱疹(ヘルペス)を予防・改善する効果
リジンには、唇などに疱疹を起こす単純疱疹の原因となるウイルス感染を予防・改善する効果があり、感染症に対して抵抗力を高める効果を持っているとされています。

●脳卒中の発症を抑制する効果
リジンには、血圧を降下させ、脳卒中発症率を低下させる作用があるとされています

●髪の健康を保つ効果
リジンは、男性脱毛症の改善に有効であるとされ、近年では育毛剤の成分としても注目されています。
イギリスにあるバイオサイエンティフィック社が、性別を問わず様々な原因による薄毛、抜け毛の治療にリジンの摂取がとても有効であることを証明し、米国特許を取得しています。この研究の対象には、ジヒドロテストステロン(強力な脱毛作用のある男性ホルモン)などによる男性型脱毛症も含まれており、広範囲な抜け毛対策に有効な成分であることがわかっています。リジンの摂取により、様々な原因からの薄毛、抜け毛に対する著しい発毛効果が挙げられています。

スレオニン(トレオニン)効果

●脂肪肝の予防効果

肝臓に中性脂肪が蓄積すると、脂肪肝を引き起こします。脂肪肝とは脂肪の多い食事やアルコールの飲みすぎなどが原因で、肝細胞の30%以上に中性脂肪が蓄積されている状態のことをいい、この状態が長期間続くと、動脈硬化などの生活習慣病につながる危険性があります。
スレオニンは代謝を促すことによって肝臓への脂肪蓄積を防ぎ、脂肪肝を予防する効果があります。

●成長を促進する効果
スレオニンは、新陳代謝を促し新しい細胞をつくり出すことで、成長を促進する効果があります。身体の各機能が正常に発達するように促します。

●胃炎を改善する効果
スレオニンには胃炎を改善する効果があります。胃炎は飲みすぎや食べすぎ、アレルギーなどで胃の粘膜に炎症が起こることをいいます。スレオニンは胃酸の分泌のバランスを調整する働きがあるため、胃炎を予防する効果があり、食欲を増進させます。

●美肌効果
スレオニンは、肌の潤いを保つ天然保湿成分(NMF)にも存在します。
肌は表面から角質層、表皮層、真皮層に分かれます。角質層がウイルスや細菌などの異物から体を守り、肌のダメージを抑えます。その上、肌の水分が逃げないように水分を保持してくれます。
角質層の細胞はケラチン繊維[※7]と線維間物質から構成されており、線維間物質に肌の潤いを保持する天然保湿成分(NMF)が存在します。スレオニンをはじめとするアミノ酸は、天然保湿成分(NMF)の約40%を占めています。肌荒れを起こしやすい人は角質層に含まれるアミノ酸が不足しているという研究結果もあります。
スレオニンは、体内でコラーゲンを合成する際の材料となります。コラーゲンは、肌の真皮に存在し、ハリや潤いを保つ役割を担っています。これらのことから、スレオニンの積極的な摂取で肌の健康状態を保つ効果が期待できます。

●髪の潤いを保つ効果
スレオニンは髪の潤いを保ち、ハリを出す効果があります。
毛髪は主にケラチンと呼ばれるたんぱく質から構成されています。ケラチンはスレオニンを含む18種類のアミノ酸から構成されています。ケラチンを構成するアミノ酸の中には、食事からしか摂取できない必須アミノ酸もあるため、偏った食事は髪の毛の美しさまで損なわせてしまいます。
ケラチンを構成するアミノ酸のひとつであるスレオニンは髪の潤いとハリをつくるために必要な成分です。

メチオニン効果

●アレルギー症状を緩和する効果

アレルギーは、免疫細胞が、外部からの刺激に過剰に反応することにより、発生します。この際免疫細胞から放出されるのがヒスタミンで、メチオニンはアレルギーを引き起こすヒスタミンの働きを抑制する作用を持っています。メチオニンを摂取することによって、血液中のヒスタミン濃度を抑えることができ、アレルギー症状を抑制する効果が期待できます。

●うつ症状を改善する効果

メチオニンは、神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなど、うつ病を改善させる作用を持つ脳内物質の材料となります。記憶力の向上や、認知症の予防・改善といった脳の活性に効果があると期待されています。

●老化防止の効果
メチオニンを摂取することで、細胞の老化抑制や免疫力を高める効果が期待できるといわれています。メチオニンは、抗酸化ミネラルであるセレンを運搬する役割を担っており、体内の抗酸化作用を高める働きを持ちます。
また、アルギニンやグリシンとともに、クレアチンを生成する際の材料となることから、体内エネルギーの産出に重要な役割を果たしています。加齢とともに体力が衰える原因のひとつにクレアチン合成能力の減少が挙げられることから、メチオニンは老化を抑制する重要な役割を持っている成分といえます。

●ヘアケア効果
メチオニンは、毛髪の健康はもちろん、薄毛や男性型脱毛症、抜け毛対策を考える上でも重要視されている要素となっています。
髪の99%は、約18種類のアミノ酸が結合してつくられたケラチンというたんぱく質からできています。メチオニンが毛髪に占める割合は1%程ですが、毛髪の健康に深く関係しているのです。メチオニン不足が続くと薄毛や抜け毛の原因となるといわれています

●その他の効果
メチオニンは、ミネラルのセレンと一緒に働くことで、水銀や鉛、カドミウムなどの有害重金属を体外へ排泄してくれます。さらには、脳神経細胞や中枢神経に有害重金属が蓄積することを防ぐ働きも持っているため、デトックス効果に期待が寄せられています。

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